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小学校で女子児童のスカート内を盗撮したとして、警視庁が、都内の公立小学校に勤める男性教諭(39)を性的姿態撮影処罰法違反の疑いで逮捕したと報じられました。

報道(共同通信、4月20日)によると、男性教諭は「教師になった約17年前から、小学生から高校生までを盗撮していた」と供述しているとのことです。

17年前に遡ると、盗撮の証拠がなかったり、被害者が特定できなかったりする場合もあると思われます。実際にさかのぼって処罰される可能性があるのでしょうか。簡単に解説します。

●「17年分」のうち、どこまで起訴できるのか

まず、スカート内の下着が写るよう撮影する行為は、性的姿態等撮影罪にあたる可能性があります(性的姿態撮影処罰法2条1項1号イ。3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。

下着の撮影が全て同条にあたるわけではなく、下着の中でも「通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る」とされており、そのような下着の中でも、「現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」に限られることには注意が必要です。

ただし、同法は令和5年(2023年)7月13日に施行されたものです。それ以前の行為には適用できません。

この法律が施行される前は、盗撮行為は各都道府県の迷惑防止条例などで処罰されていました。

●児童ポルノ禁止法違反も問題となる

盗撮の被害者が18歳未満の子どもの場合、性的姿態撮影処罰法とは別に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(児童ポルノ禁止法)の適用も問題になります。

この法律でいう「児童」は18歳未満の人を指します。

スカート内や裸の姿を盗撮して画像・動画を作り出すと、「ひそかに児童ポルノを製造した」として処罰される可能性があります(同法7条5項。3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。

今回のケースでは、教諭は「小学生から高校生までを盗撮していた」と供述しているとのことです。被害者が18歳未満であれば、性的姿態撮影処罰法だけでなく、児童ポルノ禁止法にもあたり得ることになります。

なお、性的好奇心を満たす目的で、撮影データを今も持ち続けている場合は、別に「児童ポルノ所持罪」(同法7条1項。1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)も問題となりえます。

これは過去の撮影行為そのものではなく、「現に児童ポルノを手元に置いていること」を処罰する規定です。

●処罰の対象は、直近3年以内の行為に限られる

刑事事件には「公訴時効」という制度があり、一定期間が過ぎると起訴できなくなります。

性的姿態撮影処罰法2条1項違反の公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項)。

この法律が施行された2023年7月より前の行為は、先に述べたように各都道府県の迷惑防止条例により処罰される可能性があります。しかし、条例違反の公訴時効も同じく3年です。

さらに、児童ポルノ禁止法の「ひそかに児童ポルノを製造」した罪の公訴時効も3年です。遡れる範囲はやはり直近3年程度にとどまります。

ただし、17年にわたって盗撮をしていたことが裁判で認定された場合には、これが量刑上重く評価される可能性はあります。

なお、児童ポルノの所持罪については今所持している児童ポルノについて問題となるため、時効の問題は考えなくてよいといえます。

●被害者が見つからなくても処罰できる

17年間の盗撮だと、昔の盗撮の被害者は分からないから、処罰しようがないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。

たしかに盗撮では、被害者本人が気づいておらず、被害者が不明であるケースも多々あります。

しかし、被害者が特定できなくても処罰されることはあります。

まず制度上の問題として、性的姿態撮影処罰法や各都道府県の迷惑防止条例は「非親告罪」です。被害者の告訴がなくても起訴できます。

次に、撮影データという客観的証拠が残っています。スマートフォンや記録媒体に残された動画・画像が押収されれば、被害者を特定しなくても盗撮の事実を立証することは可能です。

実際に被害者不詳でも有罪となった事例は数多くあります(たとえば高松地裁観音寺支部令和6年(2024年)1月11日)。

今回の教諭についても、端末のデータなどの証拠により、被害者が名乗り出なくても処罰される可能性があります。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)