「ハッキリ言って、なめられているんですよ」ゲーム会社社長が明かす、“不合格”になった就活生の“ヤバい提出物”〉から続く

 ゲーム制作会社・サイバーコネクトツーの松山洋社長は、本業とは関係ないにもかかわらず、15年以上にわたり、年間100回ほどの学校講演を行っている。どのような狙いがあるのか。同氏の著書『ゲーム業界の攻略法』(KADOKAWA Game Linkage)の一部を抜粋して紹介する。

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年間100回の学校講演を実施する理由

 私は年間(ゲームソフト開発という本業の傍らで)およそ100回ほど学校講演を実施しています。イベント仕事や打ち合わせのついでに、その地域のゲーム系専門学校や大学を訪問してゲームセミナーという講演を行っています。

 もうかれこれ15年以上、こういったことを続けています。

 年間のべ3000人から4000人くらいの学生さんと(講演を通じて)向き合っています。

 なぜそんなことをするのか? というと、答えというか目的は明白でして「優秀な人材を獲得&採用したい」からなんです。全国を回りながら優秀な人材に直接声をかけてスカウトして回っているような感覚だと思ってください。

「人材募集中です!」といくらWEBサイトなどに掲示していても、肝心な応募者が全くの準備不足状態で作品を送ってこられて、また不合格者を大量に生み出すことになってしまうので。「ここまでやればギリ合格です」というボーダーラインをハッキリと見せますし、伝えています。

 私はいつもこういった講演を実施する際には、ゲーム業界の攻略法とそのための準備というものをかなり具体的かつストレートにお伝えしています。

「あれ、この人、先生と同じこと言ってる、ひょっとして本当にそこまでやらなければ合格出来ないの?」とこの段階で気づいてくれる人は一定数いますので、そのために講演をやっているような感覚です。

 100人全員を目覚めさせて合格させよう、なんて考えていませんよ。

 “気づき”により一定数の覚醒者を呼び起こして、その中の一人を採用出来ればいいな、と思ってやっています。

「PS5を買えないような貧乏人はゲーム業界には入れないってことですか」という学生の声

 以前、SNSを通じてゲーム系専門学校の生徒が所持する家庭用ゲーム機のアンケート結果をまとめてから投稿したことがありました。その内容は要約すると、「驚くほどみんな家庭用ゲーム機を所持していない(特にPS5の所持率が低い)」ということなんです。私自身も驚いて悲しくて思わずSNSに投稿をしたのですが、その後にSNS上で多くの人から反響があったのです。

「PS5を買えないような貧乏人はゲーム業界には入れないってことですか」

「持っているゲーム機の数で合否が決まるわけないでしょ」

「大事なのは能力でしょ」

 その通りです、大事なのは能力なんですよ、ゲームソフトを開発するための一定の技術と知識さえ備わっていればOKなんですよ。

 それなのに調べることもなく、何の準備もしないままに応募してくる無謀者だらけなので伝えているんです。

 現在のゲーム業界で使用されている技術や知識を商品から学ぶことだって大切なんです。

 知らないのなら体験してもらうしかないんです。


写真はイメージ ©AFLO

頼むから邪魔をしないでほしい

「PS5を買えない」のなら、買うための努力をしてもらうしかないんです。

 多くの人が自分自身のインプットを増やして隙無くいろんな情報と知見と経験を積み上げるために、アルバイトをしてお金を貯めて、抽選に何度も何度も応募してようやくPS5を手に入れて、学んでいるんです。

「そこまでしないと駄目なんですか?」

 そんな声も聞こえてきそうですが、知らんよ、そこまでしなくても大丈夫かもしれんし、合格出来る人も中にはいるかもしれませんね、たぶん1万人に1人くらいは、そんな突出した異常的才能を持った人もいるかもしれません。

 けど、その1万人に1人の才能を持った人間が自分だと思いますか?

 そんなわけはないんです。だから言っているんです。伝えているんですよ。好きだったら努力できるし、自動的にたどり着くし、そうでない人はそんなに好きじゃない人なんですよ。

 外野が的外れな意見で、志望者の覚悟を鈍らせるのは避けるべきです。真剣に努力している人間の邪魔をしないでほしい。それは、夢に向かう若者への侮辱でしかないからです。

「家庭用ゲームを作っている会社に入りたいです」なのに…?

 これは講演をやる度に、聞くようにもしているし、学校の先生にもヒアリングしていることなのですが、ちょっと意外なんですよね。

 驚くほど、ほとんどの学生さんが「家庭用ゲームを作っている会社に入りたいです」とおっしゃるんです。それなのに家庭用ゲームを遊んでいないんですよね。

 それどころか持ってもいないし。PC(Steam)とSwitchとスマホで終了です。所持しているPCだって勉強に使用しているノートPCなので決してハイエンドマシンでは無いんですよね。だからPS5やXboxなどのハイスペックが求められるゲームソフトは動かない(だから遊んでもいないということ)。

 逆に皆さんがスマホゲーム(アプリ)開発をやりたい! と思われているのであれば、それでいいとは思うんですけどね。家庭用ゲームが作りたい! と思われているのであれば、相応の準備はしておきましょうね、という話です。

クリエイターは裕福な環境で育った人ばかりではない

「それでも忙しくてアルバイトの時間も取れない人はどうすればいいんですか?」とか言われても、それはもう知りません、自分で考えましょう。裕福な環境で育った人ばかりがクリエイターになっているわけではありません。むしろ、経済的な苦労をしながらも、知恵を絞って環境を整えてきた人たちばかりです。

「どうすれば合格出来るのか? そのボーダーラインがどこか? 何を1%ずつ積み上げていけば良いのか?」

 そう考えて行動して積み上げてたどり着いた人たちです。

 そして、それらの攻略法やすべきことは全部講演を通じてお教えしていますので、あとは自身で考えて行動する人はやってください、そうじゃない人は別の道を選んでください。

 私は皆さんに無駄な努力をさせないように、せめてその努力が報われてほしいと思っているので、いろんな手段でお伝えしていきますよ。

 あんまり周りの観客(モブ)に惑わされないように、しっかりと自分の中心で物事を見極めつつ考えて行動していきましょう。

 世の中の80%の人たちは、常に皆さんのような成功者となるべく努力している人を蹴落とそうと狙っていますので。

(松山 洋/Webオリジナル(外部転載))