JRT四国放送

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障がいを理由に一度はあきらめた自動車整備士への夢を、再び目指して奮闘する男性が徳島市にいます。

「働きたい」、その純粋な想いに迫りました。

小さい頃から「車」が大好きでした。

車が走る仕組みに興味が膨らみ、「ミニ四駆」づくりに明け暮れました。

「いつかは自分の車を一から組み上げてみたい」

大人になった今でも、その夢を追い続けています。

新居卓也さん40歳。

軽度の知的障がいがあります。

(新居卓也さん)
「車に触れることが楽しいんで、毎日が仕事が楽しいって感じ」

到着したのは、徳島市応神町の自動車販売店。

新居さんは今ここで、自動車整備士の見習いとして働いています。

(先輩職員)
「オイル交換とワイパー交換、リフトアップしてもらえますか」

(新居卓也さん)
「上げます」

今は先輩職員が付き添いながら、オイル交換やタイヤ交換など、資格がなくてもできる業務で経験を積んでいます。

新居さんの障がいの等級は「知的障がいB2」。

日常生活に支障はなく、情緒面も良好。

ただ、学習面の理解や判断に時間がかかるとされています。

(新居卓也さん)
「小さい頃はやんちゃと言われていた。人より物を覚えるのがちょっと低い、遅いんで」

高校時代は国府養護学校に通い、陸上競技に励みました。

卒業後は洗車スタッフや運送業など、自動車関係の職を転々としました。

その中で、夢見ていたのが自動車整備士です。

(新居卓也さん)
「元々車が好きだったので、目指したいな」

しかし、抱いた夢は心無い一言で打ち砕かれます。

以前の職場で浴びせられた言葉が。

(新居卓也さん)
「なんでお前みたいな障がい者に、整備士の勉強させなあかんのな」
「悔しかったし(自分でも)『ほんなもんかな』」

一度は障がいを理由に、夢をあきらめた新居さん。

しかし、2025年11月に転機が訪れます。

自動車販売店に併設されている障がい者就労を支援する事業所で働いたところ、新居さんの高い技術と意欲が評価され、正式に整備士見習いとして採用されることとなりました。

新居さんにとっては、初めての一般就労です。

(日産サティオ徳島・藤村泰之 社長)
「多くの人は『障がいがある人は整備士になれないと思い込んでいる』そして、挑戦するという発想もないんじゃないか」
「新居さんにはモデルケースになってほしい。障がいがあってもチャレンジできる、障がいがあってもプロフェッショナルになれる道を作ってほしい」

さらに追い風となっているのが、深刻な整備士不足です。

整備士の志願者数は、20年前のピークから半減。

業界の高齢化も進んでいます。

こうした状況を受け、国は2025年に法改正を行い資格取得に必要な条件を緩和しました。

新居さんが目指す「三級自動車整備士」の資格には、これまで1年間の実務経験が必要でしたが、「半年」へと短縮されました。

(先輩職員)
「ワイパー交換、外して ゴムだけ換えます」

(新居卓也さん)
「ゴムだけ」

(先輩職員)
「ガイドに全部通すようにやってください、つけたら確認してください」

(新居卓也さん)
「最初、本当にタイヤ交換も知らなくて、ゼロから教えてもらってやった」
「(タイヤ)外すのもどうやって外すん」

(日産サティオ徳島・中井英樹さん)
「もう実技は全然(大丈夫)やることが分かっているから、本当に段取りがいい、三級 勉強しないとね」

休みの日には動画を見て、整備士になるための勉強を欠かしません。

いつか一人前の整備士として、好きなことに打ち込む姿を愛する家族に届けたい。

(新居卓也さん)
「車検は一通り自分でやってみたい、覚えることも多いけど自分が一番楽しいんで」

障がいがあっても、やりたいことはあきらめない。

新居さんの情熱が放つ輝きは、障がい者就労の未来を照らす一筋の光となっています。

障がいのある人が自動車整備士になることは、全国でも珍しいことだそうです。

新居さんの目指す三級は、半年の実務経験と学科試験をクリアしなければなりません。

実務は先輩職員からもお墨付きもらえていますので、新居さんには頑張って学科もクリアしてもらいたいですね。