株式会社アストロスケールホールディングスのフランス子会社であるAstroscale France SAS(アストロスケールフランス)と、フランスで衛星プラットフォームの設計・製造・運用を手がけるExotrail(エクソトレイル)は、衛星の軌道離脱ミッションを開発する契約を締結したと発表しました。地球低軌道(LEO)で役目を終えた衛星を安全に除去する技術を、2030年までに共同開発することを目指します。


【▲ アストロスケール本社を訪問した高市総理大臣とマクロン大統領(Credit: 内閣広報室)】

本契約の締結は、2026年4月2日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領と高市早苗内閣総理大臣がアストロスケールの東京本社(東京都墨田区)を訪問した機会にあわせて発表されました。


1月の戦略的パートナーシップを具体化

両社は2026年1月に、低軌道における衛星の軌道離脱能力の構築に向けた戦略的パートナーシップを締結しています。今回の契約は、その協力枠組みを具体的なミッション開発へと進めるものです。


ミッションの構成としては、アストロスケールが持つ、対象物に安全に近づく「ランデブ・近傍運用(RPO)」の技術や軌道上での観測能力と、Exotrailが開発する電気推進システムを搭載した軌道輸送機「SpaceVan(スペースバン)」の機動性を組み合わせることが想定されています。これにより、役目を終えた対象衛星を運用軌道から離脱させ、大気圏再突入へと導きます。


本件について、マクロン大統領は「フランスと日本がそれぞれの産業および技術的強みを活用できることを示すもの」とコメントしています。


日仏の宇宙分野における民間連携の象徴として

アストロスケールは日本に本社と開発拠点を置き、英国、米国、フランス、イスラエルでグローバルに事業を展開する宇宙企業です。同社はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の「商業デブリ除去実証(CRD2)」フェーズIにおいて実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」を運用し、世界で初めて実際のスペースデブリ(宇宙ごみ)への接近と近距離からの撮影を達成しました。現在はCRD2フェーズIIとして、同じデブリをロボットアームで捕獲・軌道離脱させる「ADRAS-J2」を2027年度に打ち上げる予定で開発を進めています。


今回のExotrail社との契約は、フランス政府の国家投資計画「フランス2030」の支援も受けており、軌道上サービスおよびデブリ対策における欧州の産業基盤強化にも貢献することが期待されています。日仏首脳の訪問中には、アストロスケールのこれまでのミッション成果やフランスでの事業拡大計画についても意見交換が行われ、日仏の宇宙分野における民間企業間協力の力強い進展を示す場となりました。


 


文・編集/sorae編集部


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