◆彼氏は裏切るけど、仕事は裏切らない

――彼氏に断られて、住み込みの、いわゆるリゾートバイトをされたとか。

岳野めぐみ:そうです、リゾバ自体は高校時代に実家の焼肉屋が休業する年末年始などに経験がありました。実家での働き方を経験しているので、外で働くほうが楽で、しかもきちんと報酬をもらえるのが嬉しくて。「これだけの労働で月40万円ももらえるんだ」と感動したのを覚えていますね。彼氏は裏切るけど、仕事は裏切らない――というような考え方が定着したのも、この頃かもしれません。極端に言えば、「金しか勝たん」みたいな。

――しかし27歳で結婚されていますよね。

岳野めぐみ:はい、確かに結婚しているんですが、正直に言えば、当時は愛情というものがよくわかりませんでした。あの頃は銀座の女将をやっていて、そこの板前さんと結婚したんです。求婚されたとき、ちょうど彼に外務省の公邸で料理を作る仕事が入って。私は銀座の店が居心地が良かったので随行したくなかったんです。ただ、フランスなら行きたいなと思っていたところ、フランスに行けることになったので結婚しました。「自分も結婚すれば、愛情がわかって、真人間になれるかも」という期待もありました。

――“愛情”がわかるようになったのは、もっと先ですか。

岳野めぐみ:そうですね。フランスで大統領の交代があって、外国人の就労について厳しくなり、私は労働が禁止されたんです。働くことは今も昔も生き甲斐なので、いよいよフランスにいる理由がなくなり、帰国しました。もともとアニメ好きだったこともあり、一念発起して秋葉原のメイドカフェで働くなどしているうちに、オタクサークルを立ち上げ、アニソンイベントを取材し始め、そこで仲間の必要性などを学んだ気がしますね。

◆「男性に対する怒り」も

――ところで、お母様には成人後も悩まされたとか。

岳野めぐみ:結婚の少し前、早朝に警察が来て、「大阪府のこの物件に差し押さえ令状が出ている」というんです。よく調べてみると、母が私の印鑑を無断で使用して親子ローンを組んでいた物件であることがわかりました。急いで大阪に帰って問いただしても、「あんたも帰る家が必要やろ」などと開き直るばかりで、話し合いになりませんでした。

 その前から、クレジットカードを作ろうとして断られることがあり、「なんでだろう?」とは思っていたんです。自分名義での滞納があるため、私は銀行から借りて起業することが難しくなったと思いました。それで当時の彼と結婚した、という打算も少しあります。

――岳野さんの根底にはお母様に対する負の感情はもちろん、男性に対する怒りもありますか。

岳野めぐみ:昔から、おじさんと相性がよくないんですよね。セクハラ、パワハラを受けやすいかもしれません。ホストクラブの広報として事務職をしたこともありましたが、あまりにおじさんたちが旧態依然としていて、「自分で事業をやろう」と舵を切った経緯があります。

――具体的に旧態依然と感じた点を教えてください。

岳野めぐみ:私が経験したことでいうと、「岳野さんは1回もお茶を汲んでくれない」「朝、(全体に挨拶を言うのみで)俺のところに個別に挨拶に来ないのはおかしい」みたいな、業務効率と無縁の小言でしょうか。それから広報のために接待にお土産を持っていったりしていると「遊びに行って給料もらっていいね」とか。

――岳野さんが感じる“おじさんのよくないところ”はどんなところでしょう。

岳野めぐみ:「◯◯ちゃん」呼びに代表されるように、基本的に女性を格下にみてリスペクトがないところでしょうか。それから、上から目線のアドバイスをするわりに、実際に頼ろうとすると意外とあてにならない点も落胆させられますね。自分の経験則だけが唯一の指針で、新しいものを受け入れられない点も改善すべきだなと思います。私がおじさんと相性がよくないのは、おそらく、幼少期から実家に出入りしていたおじさんたちに辟易していたことが根底にあると思います。