LSDの100倍の幻覚作用“神のお茶”を再び…オカルト研究家・角由紀子がアマゾン奥地で“死んだ”夜
そして1リットルの水を一気飲みさせられ、シャーマンが太鼓をズンドコ叩きながら「カンボ〜カンボ〜」と歌い始めて20秒後、地獄が訪れた。
目が回り、吐き気と頭痛が同時に襲う。40度の熱にうなされている感覚の、さらにその上のキツさ。「水を飲め」と促されるが、一滴も入らない。太鼓の音が煩わしく、殺意すら湧くが、「やめてくれ」という声すら出ない。
無理やり水を数滴飲んだ瞬間、まるでマーライオンのように大量の水を胆汁とともに吐き出した。それを2回繰り返すと今度は体が石のように硬直し、全身に「ピピピピピ」という電子音のような音が駆け巡った。毒ガエルが全身をスキャンしている、と直感した。
「わ、わたしは……カエル……」
混乱する意識の中で、一言そうつぶやいたことは忘れない。そこから5〜10分程度、強く激しい全身の痺れが続き、「カエルの毒で死ぬんかな……人生アホらし……」と、後悔の念と絶望が続いた。
30分後、苦しみも徐々に和らいでいき、ようやく「生還した」という実感が得られた。だが、すぐに回復するわけではなく、夜まで下痢と頻尿でトイレから離れられなかった。
◆臨死体験と「泣ける人生」の意味
効果が出たのは翌日だった。朝日が異様に美しく感じ、感動にむせび泣きながら起きて立ち上がると体が羽のように軽かったのである。
思わずガッツポーズをし「カンボオオオオオ、ウオオオオオ!」と四股踏むと、足からエネルギーが沸きあがり、そのまま裸足でバナナを買いにお店までダッシュした。走らずにはいられなかったのである。大地を踏み締め、限りなく広がる空を視界に入れて走りたかったのだ。
そういえば私は子どもの頃に走ることが大好きで、常に誰よりも走っていたことも思い出した。カンボで肉体に溜まった悪いものが、一気に抜けた感覚があった。そして晴れやかな気持ちでアヤワスカの儀式へと向かった。
儀式は夜8時から行われた。ローソクが一本だけ灯った真っ暗な部屋で、シャーマンが祈りの言葉を唱える。
その後、参加者一人ひとりにアヤワスカを煎じたお茶が渡され、それを一気に飲み干す。そして、体を横たえ、シャーマンの歌う聖なる歌「イカロ」を聴きながら変化に身をまかす。それが、朝の5時頃まで続くのだ。
今回は3年前とは比べ物にならない地獄を見た。私は儀式中、死んだのである。完全に意識を失っている間、世界中の人の死に様を見せられ、次に、親や友人など愛する人たちが次々と死んでいくビジョンを見せられた。
「ああ、死ぬんだ……さようなら、みんな……さようなら、自分……」
と思った瞬間、「角さん、大丈夫かな……」という日本語の話し声が突然耳元で聞こえ、一気に意識が戻って呼吸と共に目が覚めた。
声の主は、日本人の参加者たちだった。私が死んだかもしれないと思い、状況を見守っていたらしい。シャーマンがどんなに揺すったり持ち上げたりしても、私は完全脱力で動かず「極めて重症だった」と後から言われた。
今回もアヤワスカで得た情報は膨大だったが、カンボで徹底的に掃除したことで、より深いところまで連れて行かれた気がする。
その結果、今の私はこれまでぼんやりしていた「自分」という存在にピントが合っている状態だ。悪い過去・未来・現在、全部含めて自分自身なのに、私は今まで、現実から目を背け、その歪みが、生きる力を少しずつ削っていたことがわかった。つらいことから逃げたり、その場しのぎの嘘をつくと、そのツケは「自分を濁す=生きる力を奪う」というカタチで回ってきていたのだと感じた。
