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廉価版でも312ps 笑みを浮かべる力強さ

新たに「エボ」を名乗る、BYD アット3。今回試乗した、廉価グレードで後輪駆動のデザインでも最高出力は312psあり、最大トルクは56.9kg-mもある。0-100km/h加速は5.5秒が主張され、その力強さは笑みを浮かべてしまうほど。

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高速道路の追い越しは至って余裕で、交差点からの加速では、少し深めに右足を傾けただけでスタビリティ・コントロールが介入する。この電子制御で安定性は保たれるが、そこまでの馬力が必要なのか、疑問を抱くことも事実だ。


BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

試乗できていないが、四輪駆動のエクセレンス・グレードは449psで、0-100km/h加速は3.9秒。フォルクスワーゲン・ゴルフ Rを上回る鋭さを誇る。

ソフト過ぎるサス ヘビー過ぎるステアリング

他方、サスペンションは馬力に対してソフト過ぎる。アクセルペダルを踏み込むと、ボディは後方へ明らかに傾く。カーブでも、外側へ傾く。安定性が低下するとトラクション・コントロールが効き、アタフタした状態へ陥ってしまう。

デフォルトのドライブモードでは、ステアリングは重めでレシオはスロー。センタリング性が強く、左折時などは想像より力を込めて切る必要がある。フィードバックも希薄。駐車時は、パワーアシストがないかのように重ステ。もう少しまとまりが欲しい。


BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

スポーツ・モードを選ぶと、ステアリングは僅かに軽くなり、扱いやすさが向上する。しかしアクセルレスポンスが鋭くなり、望んだ以上のパワーを引き出しがち。少なくともブレーキは強力で、グッドイヤー・タイヤのグリップ力は高いが。

過剰なパワーは、運転の楽しさを高めることがある。だが、アット3 エボには当てはまりにくいかも。

乗り心地は概ねしなやか 実航続は430km

乗り心地は、ソフトなサスペンションのおかげで、概ねしなやか。舗装の剥がれた穴を通過しても、強い衝撃はなだめられる。反面、古いアスファルトなど細かな凹凸が目立つ区間では、小さな揺れが伝わってくる。

車内の静寂性は良好で、タイヤの転がり音やボディの風切り音は、このクラスの平均レベル。静かなパワートレインと相まって、高速道路でも穏やかに会話できる。


BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

運転支援システムは、精度が今ひとつ。車線維持支援は、実際には逸脱していなくても警告することがあり、制限速度警告は標識を読み取れなくてもブザーを鳴らす。これらの機能はオフにできるが、タッチモニターのメニューを掘り下げる必要がある。

今回、気温20度のスペインで試乗した電費は、高速道路や市街地などを交えた平均で5.8km/kWh。1度の充電で430kmほど走れる計算になる。比較的好条件といえたが、このクラスのバッテリーEVとしては、まずまずの持久力といえるだろう。

少し期待外れな走りの印象 訴求力は高められる

モデルチェンジ級の改良を受けた、アット3。インテリアの質感や実用性は向上し、約3万7000ポンド(約777万円)からという価格を考えれば、競争力は確かに高められた。

しかし従前と同様に、走りの印象は少し期待外れ。大幅にパワーアップし、加速力は見事といえるものの、それによって新たな影響も生まれている。いくつかの弱点を解決できれば、訴求力ある電動ファミリーカーになれる可能性はある。


BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

◯:競合を上回る内装素材の質感 広々とした車内空間と充実した装備
△:大パワーを受け止めきれないサスペンション 重すぎるステアリング もう少し伸ばしたい航続距離

BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)のスペック

英国価格:約3万7000ポンド(約777万円/予想)
全長:4455mm
全幅:1875mm
全高:1615mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.5秒
航続距離:508km
電費:5.8km/kWh(試乗時の平均)
CO2排出量:−g/km
車両重量:1880kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:74.8kWh
急速充電能力:220kW(DC)
最高出力:312ps
最大トルク:56.9kg-m
ギアボックス:1速リダクション/後輪駆動


BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)