記事のポイント
従来のSEOでは不十分となり、老舗ブランドが生成AI検索対策を本格化している。
PDPや商品情報を再構築し、AI検索上での正確性と可視性を高めている。
AI活用は商品開発の最適化とチーム効率向上に直結させている。


2月11日に開催されたGlossy主催のAIマーケティング戦略イベントにおいて、老舗スキンケアブランドの幹部らは、ひとつの事実を明らかにした。それは、従来型のSEO戦略だけではもはや不十分であるということだ。

オアシス・アセンブリー(Oasis Assembly)で登壇したボルゲーゼ(Borghese)のCOOであるドーン・ヒラチク氏と、ロック・スキンケア(RoC Skincare)のCMOであるヒラリー・ハッチソン氏は、AI主導型検索が商品発見のあり方をますます左右するなかで、自社チームがいかに「生成エンジン最適化(Generative Engine Optimization)」最適化、すなわちGEOに適応しているかを説明した。

70年以上の歴史を持つイタリア発のスキンケアブランドで、ファンゴトリートメントで知られるボルゲーゼと、皮膚科医の推奨と深く結びついた米国発のマスマーケット向け臨床系ブランドであるロックは、この変化に対して異なる角度からアプローチしている。

しかし両社に共通しているのは、AI検索プラットフォーム上での正確性、権威性、そして可視性を確保するために、コンテンツと商品データを再構築している点である。

ロックのAI戦略3本柱



ロックにとって、その緊急性は消費者行動に裏付けられている。

「現在、消費者の40%以上が生成AI検索を通じて新しい商品を発見していることがわかっている」とハッチソン氏は語った。

全体としてロックは、AI戦略を3つの領域に集中させている。生成AI検索での可視性、コンテンツ最適化、そしてコミュニティエンゲージメントである。

コンテンツ面では、ロックはAIツールを活用してPDP(商品詳細ページ)のテストと改善を行っている。

「PDP画像からメディアパフォーマンスまで、あらゆる要素をA/Bテストできるパートナーを活用している」とハッチソン氏は述べた。

ボルゲーゼが「プロジェクトPDP」を始動



一方ボルゲーゼでは、自社の主力商品であるファンゴトリートメントがAI検索結果に表示されにくい問題が、変革のきっかけとなった。

「生成AI検索でそれを見つけるまでに14回も検索しなければならなかった」とヒラチク氏は語る。

「ナンバーワンのSKUを誰もがアクセスできる状態にしたいのに、それでは大きな問題である」。

その気づきからはじまったのが「プロジェクトPDP」である。

2026年立ち上げられた社内プロジェクトで、ボルゲーゼ商品のオンライン上での構成、説明、配信方法を再構築することを目的としている。

「これは全社的な取り組みである」とヒラチク氏は述べた。

「慣習的だったやり方を徹底的に見直し、真に事実に基づいた情報に絞り込み、科学的な情報を抽出し、コピーを書き直し、ページをデザインし直している。長文コンテンツも作成している」。

ウィキペディアや外部メディアも活用



この戦略は自社チャネルにとどまらない。

ボルゲーゼは最近、ファンゴ専用のウィキペディア(Wikipedia)ページに掲載するコピーを承認した。これは、生成モデルに情報を提供するプラットフォーム全体に、検証済み情報を広く行き渡らせるための取り組みの一環である。

「AIは、そこから取得する情報の質に左右される」とヒラチク氏は語る。

「その会話に我々が存在していなければ、ツールに主導権を握らせてしまうことになる」。

ロックもまた、同様に実務的なアプローチを取っている。

AI検索最適化プラットフォームであるプレ(PRE)のAIシミュレーションツールを活用し、どの情報源が生成AI検索ランキングにもっとも影響を与えているのかを特定し、それを改善している。

「小売業者のドットコム上にあるPDPは、生成AI検索トラフィックの大きな情報源である」とハッチソン氏は述べた。

「さらに意外だったのは、ヴォーグ(Vogue)やアリュール(Allure)のように今ではデジタル化された昔ながらの紙媒体雑誌である」。

この発見により、ロックは有料掲載よりもアーンドメディアに注力する方針を強めた。

「アーンドメディアの観点からアプローチしている」とハッチソン氏は語る。また、AI検索環境における消費者の質問形式により適合させるため、400以上のQ&Aセットを商品詳細ページに直接組み込んだ。

AI活用には懐疑と統制が不可欠



両氏は、AI導入には社内のガードレールも必要であると強調した。

「我々はAI懐疑論者であることについて話し合い、チームにも懐疑的になるように教える必要がある」とヒラチク氏は述べた。

「ChatGPTはどこから情報を取得しているのか。Geminiはどこからか」。

また、規制面でのレビュー、AI生成コンテンツに対する人的監視、そしてツールが複雑さを増すのではなく効率を向上させることを保証するための明確なKPI要件が必要であるとも語った。

AI分析で既存商品の価値を再発見



こうした精査は、ボルゲーゼにとって不要な商品開発を回避する助けにもなった。

既存処方をAIで分析した結果、自社商品にはすでに注目度の高いロングジェビティ効果が組み込まれていることが判明したのである。

「我々の処方には、肌のロングジェビティを高める優れた効果があることがわかった」とヒラチク氏は述べた。

「ただ、そのストーリーを伝えていなかっただけである」。

ロックにとって、AI施策はパフォーマンス指標と密接に結びついている。

「AIに関する取り組みはすべて、チームの効率向上と消費者への価値提供につながらなければならない」とハッチソン氏は語る。

「チームを支援するものであるべきで、圧倒するものであってはならない」。

[原文:Legacy skin-care brands are restructuring PDPs to stay visible in GEO AI search

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)