高須幹弥「これから美容クリニックで大量リストラが始まる」医師の二極化と“自己プロデュース能力”の重要性

高須クリニックの高須幹弥医師が、自身のYouTubeチャンネルで公開した動画「これから全国の美容クリニックが大量閉院し大量リストラが起こります」の中で、美容クリニック業界の現状と未来について警鐘を鳴らした。

動画冒頭で高須氏は、「これから美容クリニックで大量リストラが始まります」と衝撃的な予測を披露。その理由として、現在の美容クリニック業界が「過当競争」、いわゆる「レッドオーシャン」状態にあることを挙げている。

かつては参入障壁が高かった美容医療業界だが、現在では美容外科医や美容皮膚科医を目指す医師が急増し、クリニックが乱立している状況にあると指摘。「脱毛なんか（の業界）が特にひどいんですけど、これから美容外科とか美容皮膚科も同じような状況になっていって、倒産（する）」と述べ、脱毛サロンや医療脱毛クリニックで相次いでいる倒産・閉院が、美容外科や美容皮膚科の分野でも起こりうるとの見解を示した。

高須氏によると、美容医療を目指す医師が増加している背景には、「楽して稼げる」「コスパがいい」といった動機があるという。保険診療では診療報酬の点数が国によって定められており、「どんなに手術がうまい人でも、どんなに下手くそなフレッシュマン（新人）でも同じ手術をすると同じ保険点数」と説明。一方、美容医療は自由診療であるため、クリニックが自由に価格を設定できる。

さらに、保険診療の点数は国の財政状況を背景に今後引き下げられる可能性が高く、インフレの影響も考慮すると、実質的な収入減につながる可能性もある。こうした状況から、より高収入が見込める美容医療へ医師が流れる傾向が強まっているが、高須氏は「楽して稼げるっていう時代はほぼ終わっていますね」と現状を分析している。

競争が激化するなか、一部のクリニックでは過剰な広告宣伝費をかけ、低価格を餌に患者を集め、カウンセラーが高額な契約を迫る「悪徳ぼったくり」の手法が横行しているとも指摘。「広告を打って患者さんを一人来院させるのに、だいたい一人あたり3万円とか5万円とかかかるわけですよ」「（広告で謳う）9800円で（施術して）帰したら、広告費すらペイできない」と述べ、高額請求につながりやすい構造を解説した。

このような状況下で、高須氏は今後の美容外科医に求められるのは、技術力や経験に加えて「自己プロデュース能力」であると強調。「どんなだけ手術がうまくても自己プロデュース能力がなかったら、その人を選ぶ患者さんがね、今ほとんどいないんですよ」と述べ、医師個人がSNS（Instagram、TikTok、YouTube、場合によってはXなど）で発信し、集客する重要性を説いた。「手術がうまいだけじゃダメです」とも断言している。

その結果、技術や経験が乏しいだけでなく、SNS発信などの努力を怠る医師、特に「昔は楽して稼げる時代だったんで、楽していい思いをしてきて稼いでた人たちが、今更努力できない」ような年配の医師は淘汰され、「まず解雇されるんじゃないかなって思いますね。給料分の仕事をしていないっていう状態」と予測。美容クリニック業界は、医師や看護師の大量リストラ・失業時代に突入するとの見方を示した。

一方で、この淘汰が進むことで、地域医療の人手不足問題の一因とされる、研修医が安易に美容医療に流れる「直美（ちょくび）」問題に歯止めがかかる可能性も示唆。ただし、美容医療界全体にとっては厳しい時代の到来を予感させる内容となっている。