台湾の住民守った旧日本兵題材の小説、台湾で出版 日本人作者「新たな文化交流に」
海軍のパイロットだった杉浦は1944(昭和19)年、台南を空襲した米軍機を迎え撃つため、戦闘機で出撃したが、搭乗した機体が被弾。落下する中でも集落の人々が被害を受けるのを避けようと、最後まで畑や養殖池のある場所へ操縦し、命を落としたとされる。自らの命を犠牲に人々を守ったとして、杉浦は地元住民から尊敬を集め、71年、地元住民らが杉浦を祭る祠を建立。93年に飛虎将軍廟(びょう)として改築され、現在も祭られている。
中国語版の翻訳を務めた映画監督の三木克彦さんは、この小説をベースにした映画制作に着手している。「40年代のことは台湾でもあまり語られてこなかった」とし、「小説と映画で伝えていきたい」と力を込めた。菅野さんは「飛行兵同士の友情や部下を思う愛、杉浦さんの自己犠牲の人類愛を感じてほしい」と語った。
4月22日には、林百貨で出版を記念する会見が開かれた。台南市の葉沢山(ようたくさん)副市長は「杉浦さんの精神は、この本によって羽ばたき、世代を超えて伝えられていくだろう。この本には杉浦さんのだけでなく、台南という都市に対する菅野さんの愛が込められている」と述べた。
今後、日本でも日本語版が発売される予定だという。
(中村充孝)
