伊藤りの容疑者(Twitterより)

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 5月4日の午後7時42分、神奈川県警平塚署は、同県平塚市のJR平塚駅そばの歩道上で、自称無職・伊藤りの容疑者(28)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕。職業不詳の男性Aさん(49)の腹部をナイフで刺して殺害しようとしたのだった。

【写真】伊藤りの容疑者の「得意技」、男性との生々しいやりとりなど

「事件は7時30分ごろ、容疑者がみずから“人を刺した”と110番通報したことで発覚。署員が現場に駆けつけたところ、Aさんは腹部から血を流してしゃがみ込み、近くには血のついたナイフが落ちていた。容疑者は抵抗することなく確保され、被害者となったAさんは病院に搬送。命に別条はないものの、重症です」(全国紙社会部記者)

 伊藤容疑者は警察の取り調べに対して「殺すつもりでやった。お腹を2回、ナイフで刺した」と素直に、かつ堂々と供述しているという。

 被害者であるAさんは、事件現場から2キロメートル弱、車で10分ほどの一戸建てに住んでいた。

「Aさんは独身で、母親と2人暮らし。10年ほど前までは父親が自宅で青果店を営んでいたが、一昨年に亡くなっていて、今は70代半ばの母親が清掃の仕事で家計を支えているんです」(近所の主婦)

“何でもアリ”状態の裏アカ

 一方、伊藤容疑者は、岐阜県岐阜市の出身で国立岐阜大学を卒業していると自身のSNSには記載されている。上京して東京都新宿区に居住していたともあるが、警察は住所について調査中だとして、公表はしていない。

 容疑者は、ツイッターの裏アカ(裏アカウント)で、売春行為を思わせる記述をしていたことが明らかになっている。

《条件 ゴム1/生中1.5/泊まり2 時間(回数)無制限 ※他のご予約の関係上、希望の時間などお伝えください》

 1は1万円、1.5は1万5000円、2は2万円と金額を表しているのだろう。他にも“どんな行為ができるのか”などの内容もあり、詳細な説明は避けるがまさに“何でもアリ”だった。

《条件把握したらDM下さい。それ以外のお誘いDMはお会いしません。ごめんなさい。先払いお願いします》

 容疑者本人はこれらの行為を“P活”(パパ活)と表記していて、加工で盛った自身の卑猥な画像も載せていた。

 彼女は、いったいなぜAさんの殺害を図ったのか。“裏アカ”を詳しく見てみると、男性とトラブルになっていた様子が。

「伊藤容疑者は上京後、主にマッチングアプリを利用して、金銭面の“条件付き”で募集をかけてパパ活を行っていましたが、ここ最近になって、複数人で性行為を行う“パーティー”に参加。ツイッターでは、そこで出会った男性と、パーティーへの参加をめぐりトラブルになったことが綴られています。どうやら、友人の女性をその男性に紹介しようとした際、金銭の授受を巡って揉め事になったようです」(前出・社会部記者)

出会い系サイトにも登録

 事件当日、容疑者はツイッターで、

《自分の発言に責任持てよ? 自分がチキンだからって私も同じだと思うな》
《本当に許せない。頭がおかしい人なら仕方ないけど、自分がまともと思ってるなら責任は取ろうね。責任とらずに逃げるのは頭のおかしい人のやることだよ。》

 と、犯行予告ともとれる怒りに満ちた書き込みをしていた。

 Aさんとトラブルになり、感情のままナイフを突き立てたのか。伊藤容疑者の素性を探るべく取材を進めると、彼女と会ったことがあるという男性に話を聞くことができた。

「伊藤容疑者はツイッターだけでなく、出会い系サイトでもパパ活の相手を募集していました。私は2022年にそこで知り合い、身体だけの“割り切った関係”を持ちました。報道を見て、話題になっている裏アカとサイトに登録されている名前が一緒だったことで気づき、とにかく驚きました……」

 容疑者が登録していたサイトのプロフィールを確認すると、

《20代後半》《ぽっちゃり》《Dカップ》《自由業》

 などの情報とともに、

《初回デート費用:男性が全て払う》
《将来の夢:貯金500万円貯める!》

 といった記述が。

 さらに《高校卒》という記載もあり、SNSでの情報とは齟齬があるようだ。

「希望のタイプ」の欄には、

《年齢:30代前半〜50代前半》
《スタイル:スレンダー〜ポチャポチャ》

 とあり、中年層を中心に容姿などは問わない様子。

「自己評価」の欄では、「かわいさ」「セクシー度」に最低評価の星1つをつけるなど、容姿に自信があったわけではないようだ。

自己紹介文には、

《28歳、155cm、73kg、明るい、お喋り、エロい、甘えっ子です!》
《泊めてくださる方募集中です》
《私を大切に思ってくれる人しか、大切にしません。優しい人にはサービスしまくりますが、そうでない人には塩対応です!》

 と記述されており、新宿や池袋で“割り切り”の相手を募集していた書き込みも確認できた。

「会ったときの条件は、彼女がツイッターでいう“生中”で1万円くらいだったので、サイトのほうが安く募集していたのかも。相場から考えると、かなり安いです」(前出・容疑者と会った男性、以下同)

 男性は、今年2月にも容疑者と関係を持ったという。

「そのときは彼女の20歳くらいの友人女性を含め、3人で行為をする募集がかけられていました。といっても、友人女性が1人でパパ活をするのが怖いから、伊藤容疑者は付き添いとして“おまけ”でいるとか。条件は友人女性に2万円、伊藤容疑者に5000円でしたが、私は複数人で会うことを望んでいなかったので、結局容疑者のみ、1万円で会うことになりました」

ネカフェ暮らしの生活ぶり

 伊藤容疑者と再び会おうと思った理由について尋ねると……。

「出会い系ではよくあることで、“場所や時間の条件が合った”というのがいちばんの理由ですが、提示している金額の安さに加えて、とにかく愛想がよかった。街中を歩いているときも腕を組んでくっついてきたり、そういう“イチャイチャ”な雰囲気が好きな人にはウケがよかったんじゃないかな」

 さらに、こんな理由も。

「出会い系には、バックに怖い人がついて組織ぐるみでパパ活をしている女性や、風俗店のキャストといった、いわゆる“業者”も多い。人によってはサービスが雑だったり、回転率を上げるために“やっつけ仕事”をされたり、ときには財布を盗まれたりだとか、物騒なこともあります。そんな界隈の中で考えると、彼女は個人的に活動しているだけだったし、時間も無制限で、会ったときに嫌な思いをした記憶がなく、悪くなかった。容姿に関しては、確かに彼女もプロフィールに書いている通りかわいいというわけではなかったけど、出会い系にはもっとすごい人もいるので……」

 プライベートに関する話はほとんどしなかったというが、容疑者の生活ぶりについてはこんな話が。

「会う約束をしたときは、午前中にもかかわらずネットカフェから来ていました。おそらく、生活の拠点になっていたんだと思います。友だちの家にいた時期があるなんて話も聞いたし、定住している家はなかったんじゃないかな。“パパ活女子”には裕福な生活をしている女性もいますが、服装などをみる限りとても余裕があるようには見えませんでした」

 2月に会ったときには、ある“仕事”の話も。

「行為を終えた後、“お店のママに働かないかって誘われて、写真がいるから撮ってほしい”と、携帯で写真を撮影するよう頼まれました。具体的にどんなお店なのか詮索はしませんでしたが、スナックなどで働いていたのかもしれません」

 仕事を始めて、新たな生活を送ろうとしていたところだったのか……。

 ツイッターや出会い系を利用してパパ活を行い、さらには複数人での“パーティー”にも参加していた伊藤容疑者。警察は動機を詳しく調べているが、その真相は――。