清宮幸太郎は「本塁打争いも見えてくる」 専門家が挙げた一流打者への“条件”
第2打席、田中将の内角直球を右中間フェンス直撃の二塁打に
■楽天 3ー1 日本ハム(30日・エスコンフィールド)
日本ハムの清宮幸太郎内野手が、30日に新たな本拠地球場「エスコンフィールド北海道」で行われた楽天との開幕戦に「5番・一塁」でスタメン出場し4打数1安打をマーク。プロ入り6年目で初の開幕スタメンを勝ち取った大砲候補に、オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任した野球評論家の新井宏昌氏は「左投手への対応ができれば目標とする40発、本塁打争いも見えてくる」と語った。
楽天先発・田中将の完全投球を打ち砕いた。5回1死で迎えた第2打席。内角への147キロをフルスイングした打球は右中間フェンス直撃の二塁打となった。“チーム1号”はお預けとなったが、厳しいコースを弾き返した一打に球場は大盛り上がりだった。
昨季は自己最多の129試合に出場し、打率.219ながら自己新、チームトップの18本塁打をマーク。2018年にドラフト1位で入団してからは苦しいシーズンが続いていたが、一歩ずつ成長する大砲候補に新井氏は「田中から放った二塁打は、右腕を小さく使いコンパクトにして強い打球を放った。難しい球をあれだけうまくさばいた」と、高く評価した。
新井氏は球界を代表する投手の田中将から放った一打を称えつつ、一方で課題も見えた打席があったという。
「いいタイミング、いいスイングをしたがファウルにしてしまった。あれをフェアグラウンドに入れられるようになれば、アベレージも上がり、本塁打も増えてくると思います」
5回の第3打席では惜しい打球が「1球で仕留めることが必要」
注目したのは、1点を返しなおも2死二、三塁で迎えた6回の第3打席。田中将に代わり2番手でマウンドに上がった左腕・鈴木翔が投じた初球のスライダー。完璧にとらえたように見えたが、打球は右翼ポールのわずか右に着弾しファウルとなった。
「左投手は体の側面からボールがくるので、体の開きがどうしても早くなる。あと、ほんの少しだけ我慢できていれば逆転3ランだった。打席の中で甘い球はそうはこない。1球で仕留めることが必要。左投手への対応、準備することが一流バッターになる条件になってくるのではないでしょうか」
今季の清宮は40本塁打を目標に掲げている。並々ならぬ思いでキャンプからアピールを続け、オープン戦でも12球団トップの5本塁打を放つなど、自慢の長打力に磨きをかけている。「彼が目指す40本。本塁打争いに期待できる。そのためにはもう一段階、レベルアップすることを期待したい」と新井氏。
新庄監督が「優勝しか目指さない」と“真剣モード”に入り、ファンの期待もふくらむばかり。最下位からの巻き返しを狙うチームに、清宮の長打力は必要不可欠だ。進化が問われる2023年シーズンが始まった。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)