@AUTOCAR

写真拡大 (全2枚)

マツダの新しい試み ロータリーは最適解となるか?

マツダの新型プラグインハイブリッド車「MX-30 eスカイアクティブR-EV」は、発電機を駆動するためにロータリーエンジンを採用した初の量産車となる。

【画像】待望のロータリーエンジン復活【マツダMX-30 eスカイアクティブR-EVを写真でじっくり見る】 全26枚

レンジエクステンダーEVの歴史は深く、さまざまな自動車メーカーが関心を寄せてきたが、初期のモデルは技術的にも未熟であった。


往復運動する部品がない滑らかなロータリーエンジンは、ハイブリッドに理想的なユニットかもしれない。    マツダ

当然というべきか、風変わりなアイデアを好むシトロエンもレンジエクステンダーの可能性を探っている。1990年代後半にはニカド電池と排気量200ccの2ストローク2気筒エンジンを搭載する実験的なサクソ・ダイナボルトを発表した。その1年後には、500ccのロンバルディーニ製4ストローク2気筒エンジンで約100kmの航続距離を実現したベルランゴ・ダイナボルトを発表した。

こちらは従来のレンジエクステンダーとは異なり、作った電力をそのまま電気駆動モーターに供給し、夜間はバッテリーが空の状態で拠点に戻り、プラグイン充電ができるようにするというものであった。ロータス開発のレンジエクステンダー・ユニット(発電機内蔵の2気筒)を使ったジャガーのリモグリーンなど、同様のコンセプトの自動車はその後も数多く登場している。

2010年にアウディが「A1 eトロン」を発表するまでは、レンジエクステンダーは2気筒エンジンが主流であると思われていた。A1 eトロンは12kWhのリチウムイオンバッテリーを使用し、リアのスペアホイール用のスペースに配置された排気量254ccのロータリーエンジン(5000rpmの回転を維持)で15kWの発電機を駆動するというものである。

コンパクトにまとまっており、エンジンの音はほとんど聞こえず、フル充電の状態で12Lのガソリン(満タン)で240km近く走行することができた。マツダのR-EVは、排気量830ccのシングルローター式の8C型ロータリーエンジンで、A1 eトロンとほぼ同じ働きをするが、リアではなくフロントに搭載される。

ローター半径は120mm、全幅は840mmとかなり小型のエンジンだ。17.8kWhのバッテリー単体での航続距離は85km、モーター出力は170ps、トルクは26.5kg-mである。マツダのロータリーエンジンはこれまで、トルク不足、燃費の悪さ、排出ガス規制の問題などがたびたび指摘されてきた。しかし、今回のように機械的な駆動系から完全に切り離されたことで、ようやく理想的な役割を見出すことができたのかもしれない。

8C型は初めて直噴式を採用し、圧縮比を11.9:1に高め、ローターシールを2mmから2.5mmに拡大したほか、スロットル入力に対する過渡なレスポンスも必要なくなった。A1 eトロンとは異なり、エンジンは定常回転ではなく2000〜4500rpmの範囲で回転数を増減させる。これは、エンジン音とドライビング・エクスペリエンスの間に、より直接的な相関関係を持たせるためだ。

また、ピストン運動する部品がないためロータリー固有の滑らかさがあり、ハイブリッドのパワーユニットとしては最適解となる可能性もある。