無料で動画や音楽を再生できる「VLC」の開発元であるVideoLANが、「VLCがインドでブロックされている」と主張しています。

VLC Media Player banned in India, website and VLC download link blocked - Technology News

https://www.indiatoday.in/technology/news/story/vlc-media-player-banned-in-india-website-and-vlc-download-link-blocked-1987361-2022-08-12

VLC says India internet providers blocking site poses threat to users | TechCrunch

https://techcrunch.com/2022/08/17/vlc-india/

VideoLAN claims that its VLC media player is being blocked in India - Neowin

https://www.neowin.net/news/videolan-claims-that-its-vlc-media-player-is-being-blocked-in-india/

Did India quietly ban VLC media player over Chinese hacking? - Quartz India

https://qz.com/did-india-quietly-ban-vlc-media-player-1849421897

VideoLANによると、インドのインターネットサービスプロバイダー(ISP)が少なくとも2022年2月13日以降、VLCの公式ウェブサイトへのアクセスをブロックしているそうです。これについては、VideoLANの社長兼主任開発者であるJean-Baptsite Kempf氏が海外メディアのTechCrunchに語っているだけでなく、VideoLANの公式Twitterアカウントがツイートしています。

Kempf氏によると、インドは全世界のユーザーベースの約10%を占めており、「VideoLANにとっての最大市場のひとつ」となっているそうです。しかし、インドのISPがVLCの公式ウェブサイトへのアクセスをブロックしたため、同サイトのトラフィックはブロック前と比較して約20%も減少することになった模様。Kempf氏は詳細は明らかにしなかったものの、「インドのISPがさまざまな方法で公式ウェブサイトへのアクセスをブロックし続けている」と言及しています。

VLCの公式ウェブサイトへのアクセスがブロックされている件については、複数のインドメディアが報じています。VideoLANはこの報道を引用しながら、「インドにお住まいの方はお助けください」とツイートし、IPSによるアクセスブロックについて周知しようとしています。

なぜインドのISPがVLC公式サイトへのアクセスをブロックしているのか、VideoLANおよびインド政府から公式な声明などは一切発表されていません。ただし、テクノロジーメディアのNeowinは、「インドのISPが2022年初頭に行われたセキュリティ指導を誤解した結果である可能性がある」と言及。

また、2022年4月には中国が支援するハッキンググループの「Cicada」がVLCやその他の一般的なアプリケーションを利用してサイバー攻撃を行っていたことが明らかになったため、これがインドのISPによる警戒をさらに強めることにつながったとNeowinは指摘しています。なお、Kempf氏はインドの政府機関からアクセス遮断に関する連絡は何もなかったため、「今回のアクセス遮断は何らかの誤解によるものだろう」と強調しています。

ただし、インドのISPがブロックしているのは公式ウェブサイトへのアクセスのみであるため、既存ユーザーがVLCを利用することに影響を与えるものではありません。また、公式ウェブサイトからのダウンロードは不可能ですが、サードパーティーのウェブサイトからVLCをダウンロードすることに制限はありません。

なお、Kempf氏は「サードパーティーのウェブサイトからVLCをダウンロードするということは、オープンソースソフトウェアにマルウェアをバンドルする怪しげなウェブサイトにユーザーが誘導される危険性があるということを理解しなければいけません」と警告しています。