19回目の挑戦で手にした悲願の栄冠 福永祐一の手綱さばき

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2018年の日本ダービーをワグネリアンが優勝 福永祐一悲願のダービー制覇 写真:伊藤 康夫/アフロ


GIの大舞台で見せた"名手"というべき手綱さばき

競馬界には「馬7:騎手3」という格言がある。

レースの結果を左右するものとして馬の実力が7割、騎手の実力が3割と言われているが、時に騎手の腕が最大限に生かされて勝利、好走したといういわゆる"神騎乗"と呼ばれるレースも存在する。

そんな騎手のスゴ技をテレビ東京スポーツYouTubeチャンネル「競馬大好きママ のスナック美馬女 #3神騎乗」の動画内で数多く紹介されていたが、惜しくも動画内で紹介されなかった騎手たちの神騎乗レースをここでは紹介。

【第4選】福永祐一&ワグネリアン(2018年 第 85回日本ダービー)

かつて「天才」と称された父・洋一と同じく、騎手の道を志した福永祐一。

父は1977年の皐月賞でハードバージに騎乗した際、曲芸師のようなスゴ技でインコースを捌いて勝利したという伝説を持つが、2018年のダービーで見せた福永の騎乗もまた、それに負けず劣らずのものだった。

皐月賞で1番人気に支持されながら7着に大敗したワグネリアンに騎乗した福永だったが、この日は先手が取りづらい8枠17番からのスタートに。

ところがゲートが開くと、福永はワグネリアンを4番手に付けて先行させるという意外なレース運びに。

道中の折り合いをキッチリとつけた状態で迎えた直線ではあらかじめ外に出していたことで前がふさがれるということもなく、反対にワグネリアンよりも内側にいた1番人気のダノンプレミアム、2番人気馬ブラストワンピースらの進路をふさぐ形で追い出しを開始。

これにより、外に持ち出してスパートをかけたいブラストワンピースはワグネリアンを先に行かせてから外に出すというロスが生じたためにスパートが遅れてしまう。

ダノンプレミアムに至ってはインコースから動くことができずラストスパートすらかけられないという不完全燃焼のレースに。

図らずして、福永の神騎乗に見事にハマった形になってしまった。

一方のワグネリアンは自身の進路をふさがれることなく、直線ではしっかりとスパートを打ち、最後は皐月賞馬エポカドーロを半馬身だけ振り切り勝利。

福永は19回目の挑戦でダービージョッキーの栄冠に輝いた。

父・洋一ですら勝てなかったダービーを制したことで何かが変わったのかこの年以降、福永はコントレイル、シャフリヤールでもダービーを勝利。

2022年は前人未到となるダービー3連覇への期待がかかっている。


■文/福嶌弘