「ニッポン中小型株ファンド」は、過去1年間のトータルリターンが32.03%と日経平均株価の21.39%を大きく上回った。(グラフは、「ニッポン中小型株ファンド」設定来のパフォーマンス推移)

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 日経平均株価が31年ぶりの高値を更新するなど、日本株式への見直し機運が高まっている。前年までは米国大型成長株が市場の圧倒的なリーダーだったが、昨年の年末から株式市場の物色の流れに変化が現れている。日本株式が「出遅れ感」から世界の投資家に見直されているのも新しい動きの1つ。三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「ニッポン中小型株ファンド」は、過去1年間のトータルリターンが32.03%と日経平均株価の21.39%を大きく上回った。同ファンドの運用の主担当を務めるシニアファンドマネジャーの苦瓜達郎氏と投信営業部マネジャーの樋口嘉一氏に、同ファンドの運用の現状等について聞いた。

 ――「ニッポン中小型株ファンド」は、21年8月末現在で「国内小型バリュー」カテゴリーで過去1年のトータルリターンが第1位になっている。日経平均株価などインデックス(株価指数)を大きく上回るリターンをあげている理由は?

苦瓜 今年に入るまでの過去2年半程度は、私が中小型バリュー株運用をやってきた20年ほどの経験で、バリュー投資に最も厳しい逆風の時代でした。この間、組入銘柄の業績は悪いわけではなかったのですが、大型グロース株ブームのあおりを受けて株価が一向に上がりませんでした。そもそも割安なバリュー株に投資する当ファンドは、一段と割安な価格で放置されました。現在は、その巻き返しの動きが出てきたと考えています。放置された期間が、かつてなく長かっただけに、挽回の期間も長く、かつ、大きくなるとみています。

樋口 国内の小型バリュー株は、5年くらいの周期でパフォーマンスが良い時期と悪い時期を繰り返しています。前回良かった2013年〜17年は、2013年に米国で「バーナンキ・ショック」と言われたテーパリング(金融量的緩和の縮小)の時期を起点としています。現在も米国でテーパリング開始の時期が模索されているように、状況は2013年当時に似ていると思います。当ファンドで組入れている小型バリュー株に動きが出ているのは、これから数年にわたって続く「バリュー株時代」の予兆なのかもしれません。

 ――割安株を選ぶ時の基準は?

苦瓜 独自に算出する基準株価と現在の株価を比較し、下方かい離率が大きく、割安に放置されている銘柄から購入するようにしています。最も重視しているのは、中長期のEPS(1株当たり利益)の成長力です。そこに対して、企業ごとの特性に応じた適正なPER(株価収益率)をかけて、適正と考えられる株価である基準株価を算出しています。たとえば、数年間にわたって年間EPS成長率が30%以上の企業はPERが50倍に評価されても適正といえると思います。安定成長企業であれば、PER15倍程度が適正でしょうし、高成長は見込めないものの業績が下向きでない企業はPER10倍程度を適正と考えます。この適正PERに対して、現在の株価が60%以下の水準に低迷している場合に購入し、適正PERの80%程度の水準に値上がりした時に売却するイメージです。

 企業の実態を知るための企業取材は積極的に行っています。2019年までは年間900件ペースで企業取材していましたが、2020年からはWebで取材ができるようになり、年間1000件を超えるペースで取材できるようになりました。現在、ファンドの組入れ銘柄は169銘柄ですが、株価が下がれば買いたいと考えている銘柄は800銘柄ほどあります。常に投資候補銘柄を多数持って、投資チャンスが来れば迷わず買う、そして、株価の値上がりをじっと待つという投資スタンスで運用しています。私には「市場は間違っている」という信念があります。当ファンドで保有しているのは、間違って安い値段に放置されている銘柄ばかりです。待っていれば、必ず適正に評価されることになります。