樋口 苦瓜は、当社のファンドマネジャーの中でも、最も数多くの企業と面談しているマネジャーです。最近でこそWeb面談で在席している姿を見ますが、コロナ前は自席にいることがほとんどありませんでした。徹底して企業を調べ、企業取材で得た知見から、新たな投資アイデアを見つけ出して、それによって新たな関連企業を調査するということを延々と繰り返しています。投資のことしか考えていないような毎日を送っていて、言葉を選ばずに言えば、「バリュー株オタク」です。

 国内株式を割安な株価で買って、市場が評価してくれるまで待つことは、個人投資家の方々が、ご自身の判断で実行することができると思います。しかし、割安な株価の評価を市場がいつ評価してくれるのかは全く分かりません。1年や2年、もっと長い期間待っても株価がほとんど動かないということもあります。多くの場合は、株価が市場で評価されるのを待ち切れずに、収益を挙げられないまま売却してしまいます。ファンドとして169銘柄に分散投資しているからこそ、常に市場で評価される銘柄があり、長期に投資を続けられるのです。小型バリュー株への投資は、ファンドというカタチを使うことによって収益につなげられる投資方法だと思います。

 ――当ファンドの運用を理解しやすいような典型的な成功事例は?

苦瓜 8月末時点で組入上位銘柄に入っている大紀アルミニウムは、アルミ2次合金地金の国内トップ企業なのですが、主にやっていることは、国内やアジア各国からアルミ製品の廃棄物を広く集めて、そこからアルミ合金を再生産することです。特別な技術革新があるわけではない地味な業態なのですが、ここにきて金属製品など資材価格が上昇し、同社の利益率が高まったことが評価されて、株価が年初から2.4倍に値上がりしました。

 大紀アルミは、新興国市場がブームだった頃に取材したことがあったのですが、2018年のはじめに約12年ぶりに取材しました。その場でビジネスモデルの優位性、そして、株価に大きな割安感が感じられたのでファンドへの組入れを始めました。同社が長年にわたって築いてきたアルミのスクラップ収集ルートは、他社の参入が難しいネットワークであり、大きなチャンスを感じました。そして、徐々に買い増していたのですが、それが突然、今年になって市場の評価を得たのです。株価が上がってもPERは未だに7.5倍という水準にあります。

 大紀アルミを18年に買い始めた時のように、市場がその価値に気づかない時に購入し、株価が上がってくると、利益確定のタイミングを探すという投資に徹しています。企業取材や面談を積極的に実施していますが、1つの企業に四半期ごとに取材しているわけではありません。大紀アルミに12年ぶりに取材したように、その時々の市場や経済環境の変化を踏まえて、市場が見落としている価値はないかと幅広に調査していて、特定の企業について継続的に面談して企業の変化を捉えるという調査活動とは大きな違いがあります。

 ポートフォリオの業種別構成では適度に分散が効いているように見えますが、厳密な組入比率の管理を行なっているわけではありません。常に、市場が気付いていない価値を10以上の切り口で保有しておくように心がけ、その結果が分散投資につながっています。

樋口 当ファンドの運用は、相場の下落に強いという特性があります。ファンドの設定来パフォーマンスは、TOPIX(東証株価指数)の下落時には、基準価額が7割〜8割の下落にとどまり、反対に、TOPIXが上昇している時にはTOPIXを10%程度上回る上昇率になっています。優良な中小型株式を見出して割安な価格で投資してきたからこそ、下落に強く、上昇に追随できるポートフォリオが構築できていると思います。

 ――パフォーマンスが良いにもかかわらず、ファンド残高が125億円と小さいのは?

樋口 国内の中小型株を投資対象にして割安な価格で投資するというコンセプトを維持するために、当ファンドは運用上限を500億円にしています。2014年当時に純資産残高が400億円を超えた時に販売をストップしたことがあります。ここ数年のバリュー株に厳しい運用環境の影響もあって現在は新規で購入していただける枠がある状況です。

 これまでの米国ハイテク株式を中心とした相場で、米国株やハイテク株に投資するファンドを多く保有されている方は、米国ハイテク株とは大きく異なる値動きが期待される国内中小型バリュー株を、資産分散の観点でご検討ください。また、当ファンドは下落時に下落率が市場平均を下回るという特性がありますので、中長期の資産形成を考えて新たに投資を検討されている方にも投資を検討していただきやすいと思います。じっくり持って長期で大きなリターンが期待できる当ファンドを是非ご活用いただきたいと思います。(グラフは、「ニッポン中小型株ファンド」設定来のパフォーマンス推移)