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 郵便局のキャッシュレス決済対応が始まった。ちょっとした荷物を送る時、郵便窓口でのキャッシュレス決済は非常に便利である。そもそも、ゆうちょ銀行も独自のQRコード決済銘柄「ゆうちょPay」を運営している。にもかかわらず、なぜ今までゆうちょPayですらも郵便局で利用できなかったのか……という声は確かにある。

 しかし、「郵便局のキャッシュレス化」は「クレカのショッピング枠の現金化」を可能にしてしまうという背景もある。

◆「ユニバーサルサービス」がキャッシュレス決済を普及させる可能性

 せっかく独自のキャッシュレス決済銘柄を作ったのに、どうして郵便局自体がキャッシュレス化しないのか?

 ユニバーサルサービスの末端である地方の局はともかくとして、それらを束ねる主要局ですらも決済は「現金のみ」だった。これを理由に、郵便局が「時代遅れのセクター」のように言われていたことは事実だ。そんな郵便局が、今年2月3日からクレジットカードやキャッシュレス決済アプリでの支払いに対応した。当初は全国主要65局での導入から開始し、5月までに8500局に対応を広げるという。

 これは地方隅々にまでキャッシュレス決済の利用を促す上でも、非常に重要な決定だ。郵便局のユニバーサルサービス、即ち「全国各地で均質なサービス」はコンビニのように簡単に店舗を閉鎖させることができない代わりに、新しいシステムを普及させる拠点になり得る。が、郵便局の販売する商品は非常に特殊なものでもある。

◆au Payのキャンペーンを利用した転売

 筆者はauユーザーである。従ってau Payをよく利用しているのだが、長年のauユーザーだから月数万円まで『auかんたん決済』でau Payの残高に充当させることができる。その分の支払いは後日、通信料金に合算されるという仕組みだ。

 要は少額ショッピング枠限定のクレジットカードのようなもので、auかんたん決済でチャージした残高は現金化することができない。しかし、郵便局を通せばその限りではなくなる。

 au Payで切手を購入し、それを金券ショップに売るという手法である。現在、au Payは20%還元キャンペーンを実施している。それを利用し、なおかつ金券ショップに行って元値の90%で切手を売った場合、10%分の利益が転売者の懐に入る。実際にそのような動機で切手を大量購入していたというTwitterでの投稿も見受けられ、大きな話題となった。

 しかし、第2週目のスタートを前にキャンペーンの条件変更が発表され、2月17日より郵便局での利用はポイント付与の対象外となった。こうした転売行為に対して黙って見ているわけではなかったのだろう。

◆ショッピング枠を現金化

 だが、手持ちのクレカのショッピング枠を現金化したいという人にとってはどうだろうか。或いは、筆者と同じauユーザーがすぐにでも万単位の現金を手にしたいと考えた場合、「切手金融」という手段がどうしても思い浮かんでしまうはずだ。

 数年前、メルカリで問題になったのは「現金の出品」である。1万円を1万2000円で売る、というようにクレカのショッピング枠を現金にする狙いでそのような取引が行われていたのだ。このような取引を利用する人は、当然ながら「訳アリ」の人でもある。

 郵便局のキャッシュレス決済対応により、今後そのような民間金融が横行する可能性も確かにある。

◆切手以外にも……

 もっとも、ショッピング枠やキャッシュレス決済残高の現金化に利用されるのは切手だけではない。つまりは「金券」である。商品券、ビール券、AppleやGoogleの発行するギフトカード等、これらは金券ショップで換金できる。繰り返すが、これらを転売する理由は利益を得るためではなく、それを何が何でも現金化したいからだ。なぜそう考えるのか……という部分については敢えて触れないことにする。

 キャッシュレス決済は、我々に様々な場面での利便性を与えてくれるが、最先端テクノロジーが人々の心の闇を映し出してしまうということも、また事実なのだ。<文/澤田真一>

【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』