鶏の唐揚げ、天ぷら、チキンナゲットの違いは?

写真拡大

 定食やお弁当の定番、鶏の唐揚げは国民食と言っても過言ではありませんが、衣を付けて調理する鶏肉料理は唐揚げだけでなく、鶏の天ぷらやチキンナゲットなどもあります。鶏の唐揚げは、鶏の天ぷら、チキンナゲットと何が違うのでしょうか。食材や調理方法の違いについて、一般社団法人「日本唐揚協会」(東京都渋谷区)の八木宏一郎専務理事に聞きました。

18世紀に中国で生まれた?

Q.唐揚げの発祥は。

八木さん「もともと、18世紀の中国で生まれた料理といわれていますが、国内で提供されるようになったのは1932年です。三笠会館という東京・銀座の飲食店が提供を開始しました。その後、1974年に日清製粉が『日清 からあげ粉』を発売したことで一般家庭にも浸透していきました」

Q.そもそも「唐揚げ」とは、どのような料理を指すのでしょうか。

八木さん「基本的には、片栗粉や小麦粉などの粉を具材にまぶして揚げた料理と当協会では定義しています。竜田揚げやチキン南蛮、フライドチキン、手羽先などは唐揚げです。一方で、パン粉を使うものは、カツやフライ、水で溶いた小麦粉を使う場合は、天ぷらとして、唐揚げには含みません」

Q.もも肉ではなく、むね肉など他の部位を調理した場合も「鶏の唐揚げ」といえるのでしょうか。また、鶏肉以外の食材を揚げた場合は。

八木さん「他の部位で調理した場合も『鶏の唐揚げ』といえます。そもそも、鶏肉以外の肉、魚や野菜などで揚げたものも協会では唐揚げと定義しています。また、しょうゆだれや塩だれなどで具材に下味を付けてから調理するのが一般的ですが、下味を付けずに揚げる場合も唐揚げと定義しています」

Q.チキンナゲットは唐揚げとは違うものでしょうか。

八木さん「一般的に、小麦粉や薄力粉を使うことが多いため、当協会では唐揚げと定義しています。チキンナゲットは、鶏のむね肉やもも肉を包丁やフードプロセッサーでひき肉の状態にした後、一口サイズに形を整え粉をまぶしてから揚げます」

Q.唐揚げがよく食べられる地域はあるのでしょうか。

八木さん「最もよく食べられるのは青森県で、1人当たりの1カ月の消費量は32個です。八戸港(青森県八戸市)には、1970年代からブロイラー(食用の若鶏)を飼育している場所が存在し、そこを起点に県内で養鶏場が増えたことが背景にあるのかもしれません」

Q.全国のご当地唐揚げには、どのようなものがありますか。

八木さん「新潟県は『若鶏の半身揚げ』が有名で、カレー粉をまぶしてから揚げるのが特徴です。また、兵庫県西宮市には『甲子園ヒーロー揚げ』と呼ばれる鶏の手羽中の唐揚げがあり、甲子園球場から半径5キロ以内にある約20の飲食店が提供しています。骨がむき出しになっている外見から、『漫画に出てくる肉』『打者が構えた姿』とも言われています」

Q.一年で唐揚げがよく食べられる時期は。

八木さん「最も食べられるのは10月、その次は5月です。10月は全国各地で運動会が行われ、お弁当のお供に持参するケースが多いためです。また、5月、10月とも行楽シーズンに当たり、旅先で唐揚げを食べる機会が増えるのも要因です」