左から大久保麻梨子さんと一青妙さん

写真拡大 (全2枚)

(台北 24日 中央社)女優で作家の一青妙さんによる自身の家族を描いたエッセーの舞台化作品「時光の手箱:我的阿バ和カー桑」の公演が来月、台北市内で行われる。日本統治時代後半から戦後の台湾を主な舞台としており、セリフの約7割が日本語で進められる。一青さんは、日本統治下に生きていた台湾人がどういう思いだったのか、現代の人々にも分かってもらえればと期待を寄せている。(バ=父の下に巴、カー=上の下にト)

台湾人の父と日本人の母の間に生まれた一青さん。妹は歌手の一青窈さん。父の恵民さんは台湾五大豪族の一つに数えられる名家、顔家の長男で幼い頃から日本で教育を受けた。舞台では、母かづ枝さんとの馴れ初めや顔家との軋轢(あつれき)、台湾と日本での生活、病気、死別など家族にまつわる物語を一青さんが本人役で出演し、回想する形でストーリーが展開していく。

原作は「私の箱子」と「ママ、ごはんまだ?」で、2017年には日台合作で映画化されている。舞台化は今回が初。映画では料理や家庭など母かづ枝さんに関する話が中心となっていたが、舞台では父恵民さんにもスポットが当てられた。名家の跡取りとしての期待を背負いながら、日本と台湾の間でアイデンティティーに悩み、葛藤する姿が描かれる。

恵民さんとかづ枝さんを演じるのは、台湾人俳優の鄭有傑さんと、台湾を拠点に活動する女優の大久保麻梨子さん。原作に登場する恵民さんとかづ枝さんの手紙の実物を一青さんから見せてもらったといい、大久保さんは文字から伝わってくる思いの強さに衝撃を受けたと話した。手紙を読んで役柄に対する見方が変わったという鄭さんは、「何か吹き込まれた感じ」と表現し、言葉では表せない気持ちを感じたと振り返った。

一青さんは、これまでの本や映画化とは違って、舞台では鄭さんと大久保さんが演技を繰り広げる様子を目の前で見ることができ、「両親が存在している」と感じると話す。「あの時、自分だったらこう言ってあげたかった」という思いがこみ上げてきて、涙が止まらなくなることがあるという。舞台を通じて家族の大切さが伝わればと語った。

来月7日から10日まで、台北城市舞台で上演される。

(楊千慧)