【漢字トリビア】「呂」の成り立ち物語
「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「お風呂」の「呂」。十一月二十六日は日本浴用剤工業会が制定した「いい風呂の日」。数字の語呂合わせから制定された記念日です。今回は「呂」に込められた物語を紹介します。

「呂」という漢字は象形文字。
青銅器などの材料となる銅の塊を二つ並べた形です。
また、脊椎の骨の連なる形と解釈し、背骨を表わすという説もあります。
うかんむりをつけると「宮」という漢字になりますが、その場合、この「呂」という字が意味するのは、大きな神社や寺院のお堂や建物が並ぶ平面図のこと。
「呂」という象形文字が表わす共通の概念は、貴重で重要なもの、人の根幹をなすものである、ということ。
この「呂」という漢字はひらがなの「ろ」のもとにもなっていますが、「いろは」とはまさに、ものごとの基本を示すことば。
「呂」という文字には、大切である、という意味がこめられているのかもしれません。
火山の国・日本列島におけるいにしえの人々は、地下から噴き出す蒸気による「蒸気浴」、いわゆる蒸し風呂を楽しんでいた、といわれています。
「風呂」の語源は、自然の洞窟や岩屋を利用した蒸気浴の部屋、「室」からきているという説もあるのです。
お湯を浴びる、つかるといった現代の「風呂」の様式は仏教伝来に始まるといわれ、入浴とは穢れた体を洗い清める「禊」に通ずる行いでした。
当時、寺院には湯堂と呼ばれる浴場が設けられ、庶民にも入浴を施したといいます。
その後、鎌倉時代に銭湯が誕生、江戸の世では庶民も楽しめる娯楽となり、昭和の高度経済成長期に、内風呂が一般化していくのでした。
ではここで、もう一度「呂」という字を感じてみてください。
神前の大釜で立てた湯に笹の葉をひたし、それを振り回して人々に湯をかけ、無病息災を願う「湯立て神事」。
神道では、お湯を沸かすことを「立てる」と呼び、もくもくとあがる湯煙を、神の霊が立ち現れる様子と見立てたのです。
お風呂に身をひたし、湯を浴びるのは神さまから新しい命を授かるようなもの。
江戸時代の滑稽本、式亭三馬の『浮世風呂』には、こんな一説もあります。
「湯を浴びんとて裸形(はだか)になるは、天地自然の道理、釈迦も孔子も、於三も権助も、産まれたままの容(すがた)にて、惜しい欲しいも西の海、さらりと無欲の形なり」
世俗の垢も煩悩も、洗い清めてきれいさっぱり。
そんなひとときをもてたなら、一年を気持ちよくしめくくるための答えが、湯船にぽっかり、浮かびあがってくるかもしれません。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『お風呂と脳のいい話』(茂木健一郎、山崎まゆみ/著 東京書籍)
*参考サイト
東京都浴場組合ホームページ『東京銭湯』(http://www.1010.or.jp/)
12月3日の放送では「払」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

「呂」という漢字は象形文字。
青銅器などの材料となる銅の塊を二つ並べた形です。
うかんむりをつけると「宮」という漢字になりますが、その場合、この「呂」という字が意味するのは、大きな神社や寺院のお堂や建物が並ぶ平面図のこと。
「呂」という象形文字が表わす共通の概念は、貴重で重要なもの、人の根幹をなすものである、ということ。
この「呂」という漢字はひらがなの「ろ」のもとにもなっていますが、「いろは」とはまさに、ものごとの基本を示すことば。
「呂」という文字には、大切である、という意味がこめられているのかもしれません。
火山の国・日本列島におけるいにしえの人々は、地下から噴き出す蒸気による「蒸気浴」、いわゆる蒸し風呂を楽しんでいた、といわれています。
「風呂」の語源は、自然の洞窟や岩屋を利用した蒸気浴の部屋、「室」からきているという説もあるのです。
お湯を浴びる、つかるといった現代の「風呂」の様式は仏教伝来に始まるといわれ、入浴とは穢れた体を洗い清める「禊」に通ずる行いでした。
当時、寺院には湯堂と呼ばれる浴場が設けられ、庶民にも入浴を施したといいます。
その後、鎌倉時代に銭湯が誕生、江戸の世では庶民も楽しめる娯楽となり、昭和の高度経済成長期に、内風呂が一般化していくのでした。
ではここで、もう一度「呂」という字を感じてみてください。
神前の大釜で立てた湯に笹の葉をひたし、それを振り回して人々に湯をかけ、無病息災を願う「湯立て神事」。
神道では、お湯を沸かすことを「立てる」と呼び、もくもくとあがる湯煙を、神の霊が立ち現れる様子と見立てたのです。
お風呂に身をひたし、湯を浴びるのは神さまから新しい命を授かるようなもの。
江戸時代の滑稽本、式亭三馬の『浮世風呂』には、こんな一説もあります。
「湯を浴びんとて裸形(はだか)になるは、天地自然の道理、釈迦も孔子も、於三も権助も、産まれたままの容(すがた)にて、惜しい欲しいも西の海、さらりと無欲の形なり」
世俗の垢も煩悩も、洗い清めてきれいさっぱり。
そんなひとときをもてたなら、一年を気持ちよくしめくくるための答えが、湯船にぽっかり、浮かびあがってくるかもしれません。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『お風呂と脳のいい話』(茂木健一郎、山崎まゆみ/著 東京書籍)
*参考サイト
東京都浴場組合ホームページ『東京銭湯』(http://www.1010.or.jp/)
12月3日の放送では「払」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/
