野菜を絶対摂取すべき理由、最低3つ言えるか?

写真拡大

私は買い物カゴ・ウォッチャー。カゴの中身を覗けば、その人の食生活や健康状態がおおよそ推測でき、食生活の改善ポイントが見えてきます。

夕暮れ時のスーパー。20代後半のOLさんが持つ買い物カゴには、レタスやキュウリ、ドライプルーンなどが入っています。いいですね、野菜中心でヘルシーです。おまけにカゴの底に切り干し大根の煮物パックがチラッと見えました。きっとお母さんから食の教育をしっかり受けているOLさんだと思い、オバサンは安心しました。

「毎日、野菜を350g以上食べましょう」と国は推奨しています。

なぜ、たくさん野菜を食べることを推奨するのでしょうか?

最初に思いつくのは、野菜には多くの食物繊維が含まれているから、かもしれません。確かに、その通りです。肉や魚は栄養豊富ですが、食物繊維はありません。食物繊維は腸内環境を整え、大腸癌などを抑制する働きや、便秘予防にもつながるといわれます。

では、推奨理由その2は何か。

日本人の死因の半分以上は3大生活習慣病と呼ばれるガン(28.9%)、心臓病(15.5%)、脳卒中(9.0%)によるものです。これまでに国内外の数多くの疫学研究で、この予防に対し、カリウムや食物繊維、抗酸化ビタミンなどが効果的に働くことが明らかにされています。

野菜にはこれらの成分が多く含まれていますが、予防効果を示す量を摂取するためには350〜400gが必要であると推定されています(国民健康づくり運動“健康日本21”、厚生労働省)。

では、理由その3は? 野菜の素晴らしさは、免疫力や抗酸化力をアップするのに役立つ機能成分(フィトケミカル)が含まれ、そのうえ低カロリーだということです。酸化は、多くの病気や老化の原因といわれ、がんや認知症、生活習慣病とも密接な因果関係があるといわれています。肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などの予防・改善を考えるなら、「毎日、野菜を350g以上食べましょう」を常に意識したいものです。

■20代女性は推奨量の「半分」しか食べてない

それでは、現在、日本人は野菜をどれくらい摂っているのでしょうか?

ズバリ、答えは242gです(平成25年国民健康栄養調査、中央値)。年代が上がるほど健康への意識が高まるためか、野菜の摂取量は多くなっていますが、それでも350gにはまだまだ手が届きません。

目を疑いたくなるのは、20代女性の平均189gという量です。

現在、若い女性のやせ過ぎが健康問題になっていますが、ダイエットに励む女性は、美しくなることではなく、体重計に出る数字を小さくすることを目標にしているのかしら? と悩んでしまいます。

「生野菜サラダを毎日たっぷり食べているから私は大丈夫」と思っている女性は、山盛りの生野菜を電子レンジでチンしてみましょう。思いのほか、量が少ないことに驚くことでしょう。

では、野菜の摂取量を増やすためにはどうしたらいいのか。

煮物やお浸しのように「加熱した野菜」が一番です。ちなみに、日本で最も野菜を多く食べているのは長野県民で、男性が378g、女性が365g。男女ともに“日本一の長寿”であるのも、納得できる量ですね。

野菜不足対策(1)“おふくろの味、切り干し大根煮“で野菜不足対策

OLさんが手にした煮物パックはおよそ小鉢1杯分(60g前後)。材料の切り干し大根は15g前後ぐらいでしょう。切り干し大根は生大根を重量ベースで約1/10に乾燥させたモノです(写真2)。

大ざっぱに言えば、OLさんは、この日、生の大根150g前後に相当する量を食べたことになります。もちろん、乾燥過程でビタミンの一部が失われるため、切り干し大根15gで生の大根150gの栄養分を全て摂れるわけではありません。

けれども、乾燥過程で失われない食物繊維やミネラルは十分に価値ある量を摂ることができます。

たとえば切り干し大根1人分(15g)で、

鉄0.5mg(プルーン5個分)
カルシウム81mg(ヨーグルト小カップ約1個分)
食物繊維3.1mg(レタス中ぐらい1個分)
カリウム480mg(バナナ2本分)

が摂れます(次ページに写真)。

野菜不足が気になる人にとって、切り干し大根は救世主的存在になるかもしれません。切り干し大根は1袋(30g前後)が100円ぐらいで、常温で保存できる食品。食べない手はありませんね。

■野菜のすべての栄養素をいただく方法

野菜不足対策(2)切り干し大根を煮る時は、戻した水も“食べる”

切干し大根煮の作り方は、とても簡単です。サッと洗ってから水に数分〜10分漬けて戻し、砂糖と醤油を入れたダシで煮るだけ。この時、戻した水を捨てる人が多いようですが、実は、それはあまりにも、もったいない話です。戻した水には、切り干し大根に含まれるカリウムの約6割が溶け出ていることが実験で確かめられています。

さらに、切り干し大根15gには、糖分が砂糖小さじ約2杯(8g)、うま味成分(グルタミン酸)が昆布6cm×7cmに相当する量が含まれていますが、やはりその6割が戻した水に溶け出しています。戻した水をダシ代わりに使えば、調味料として入れる砂糖の量も減らせます。栄養の面でも、おいしさの面でも、「戻した水を捨てないで使う!」が切り干し大根煮の鉄則です。一度にたくさん作って冷凍しておけば、いつでも切り干し大根が食べられます。

野菜不足対策(3)切り干し大根の活用術

野菜不足を補うためには、切り干し大根は煮物にするだけではなく、“インスタント食品”として、いろいろな料理に使うのがオススメです。1袋分を洗ってジッパー付きの袋などに入れて冷蔵庫に置いておけば、いつでもすぐに使えます。

たとえば、

(1)味噌汁やスープ、シチュー、煮物の具材にする。作り始めに入れれば軟らかい食感になり、仕上げの段階で入れれば、シャキッとした歯ごたえの食感になる。即席味噌汁やスープの素の場合には、カップに湯を注ぐ前に入れる。
(2)野菜炒めで、野菜などから水分が出てきてベチャベチャになりそうな時に入れる。カラッとシャキッとした炒め物に仕上がる。野菜などから水分と共に溶け出した栄養を全て摂れる。
(3)煮物などで、煮汁が多すぎた時に入れれば、余分な煮汁を吸う。
(4)蒸し麺1人前(150g、297kcal)の半分を切干し大根(20g)にすれば、3割強のカロリーカットになる。麺代わりに使う時には、水で少し戻して軟らかくして使う。

若いOLさんが“おふくろの味”の陰に隠れた“知恵”を生かしながら、350g以上の野菜を食べて健康に毎日を過ごされるよう、オバサンは願っています。

(栄養士 佐藤秀美=文)