「背表紙の学校」[著]奈倉有里ある文脈で使われる「現実」という言葉に、ずっと違和感を抱いてきた。それと対置されがちなのは、「理想」という言葉だ。丸腰で平和を願うのは理想論であって、国際情勢を考えれば現実路線をとらざるを得ない、という風に。でも、「現実」という語のこうした用法は実に粗雑だ。それは唯一の「現実」を断定し、それ以外は認めないという強迫である。そんな息苦しくなるような「現実」に、風穴