食卓ではおなじみの「納豆」。しかし、その食べ方は好みが別れるところだ。「混ぜれば混ぜるほど美味しくなる」という人もいれば、「混ぜない食感の方が好き」という人もいる。

 ほかにも「混ぜた方が栄養価が高くなる」「熱々のごはんに乗せると熱で栄養価が失われるからそのまま食べないとダメ」など、様々な意見がある。では、実際のところどうなのか。全国納豆協同組合連合会(以下、納豆連)の広報担当者に確かめてみた。

◆白熱する「納豆」論争の歴史

 まず、「納豆は混ぜた方がいいのか、混ぜない方がいいのか教えて欲しいのですが……」と切り出すと、納豆連広報担当が開口一番に言う。

「そうしたご質問をよく頂くのですが、納豆連としては“召し上がる方のご意思を尊重する”方針です。“これが正解です”ということは提示しないようにしているんですよ」(納豆連広報担当、以下同)

 納豆の食べ方については各地方の風習で異なる。個人の好みも様々であり、「これが正解」と決めてしまえば、それ以外の食べ方をしている人からの反発が大きいそうだ。

「たとえば、納豆の発祥がどこかについて。茨城であるという説、秋田であるという説、関西の豊臣秀吉を由来とする説など諸説あります。

 納豆連としてもどれが真実かわかりません。ですので、“正解はひとつじゃない”という見解です。だからこそ、居酒屋なんかで飲みながら話題になることが嬉しいと思っています」

◆美味しい食べ方は「自分で見出してほしい」

 食べ方や発祥だけでなく、深いところまで納豆に対し熱い想いを抱いている人も多いとか。その長い歴史を振り返る。

「昭和50年代後半に関西での納豆の消費を増やすことを目的として“納豆の日“を7月10日に制定しました。平成11年頃から“7月10日は納豆の日“ということが定番化し、全国で周知されるようになりました。

 それに伴って、熱心な納豆ファンから納豆連に対し、『納豆の季語は冬、というのは知っていますか? それなのに7月10日に業界記念日を制定するのはおかしいのでは?』というご意見が出るようになったのです。7月10日に制定したのは関西らしい語呂合わせだったのですが……。

 そこで多くの会議を経て、1月10日にも“糸引き納豆の日“を新たに制定することにしたという経緯もあります。業界記念日ひとつを取ってもそのようなご意見がありますから、美味しい食べ方についても“ご自身で好きな食べ方を見出してくださいね“としているのです」

◆歴代の納豆連会長もそれぞれ食べ方が違っていた

 とはいえ、それでも……何が美味しい食べ方なのか知りたいと思ってしまう。主観としてはどうなのか。

「そういう質問もよく頂きます。そんな方には歴代の納豆連会長の食べ方をお伝えしています」

 鎌倉で50年以上続く老舗納豆屋「鎌倉山納豆」の社長で、納豆連の会長である野呂剛弘氏がYouTubeで『納豆の美味しい食べ方講座』を公開しているという。

 動画では野呂氏が自ら自社製品の納豆を器に盛り、「まず普通に40回くらいかき混ぜ、次にネギを入れ20〜30回混ぜ、最後にタレを入れてざっくり軽くかき混ぜた後にからしを入れて、ご飯に乗せて食べましょう」と解説している。

 ちなみに前任の会長の食べ方は「右に50回かき混ぜ、ネギとからしを入れてから左に30回かき混ぜ、好みで醤油を数滴たらしてから再度混ぜて食べる」だったとか。歴代の会長でも好みの食べ方は異なるという。それだけ納豆の食べ方の好みは多岐にわたるということだ。

◆タレの先入れ・後入れ問題

 混ぜ方以外にも「タレの先入れ・後入れ」問題がネット上でたびたび論争となる。 これも納豆連としては“お好みで好きなように”というスタンスだが、担当者個人としては“後入れ派”。