LANケーブルが変わると速度がどれほどアップするか38種類テスト結果まとめ

2012年6月12日 22時59分

LANケーブルを買いに家電量販店に行くと、フラット・極細・より線・カテゴリー5・5e・6・6a・7などいろいろな種類のものがそろっていますが、LANケーブルを選ぶ際に重要視するポイントはカテゴリーで、5・5e・6・6a・7に分けられ、5・5e・6・6a・7の順に通信速度・伝送帯域などが高性能になり高価になります。また、同じカテゴリーでもLANケーブルの形状が通常より平らになったフラットケーブルや細くなっているものがあるので、通信速度に違いがあるのか実際に計測して確かめることにしました。

◆集めたLANケーブル

会社ごと・製品ごとの違いを確かめるため、家庭でも使えて売れ筋の長さが5メートルで、なおかつカテゴリー5e・6・6a・7が全部そろっていること、という条件で探していった結果、エレコム・サンワサプライ・バッファロー・ミヨシの4社のLANケーブル、合計38種類を計測することに決定。

実際に集めたLANケーブルはこちら。

ダンボールから出したところ。どっさり。

カテゴリーごとの通信速度・伝送帯域別に分けると以下の通りになります。

カテゴリー5e（CAT5e）通信速度1Gbps 伝送帯域100MHz

カテゴリー6（CAT6）通信速度1Gbps 伝送帯域250MHz

カテゴリー6a（CAT6a）通信速度10Gbps 伝送帯域500MHz

カテゴリー7（CAT7）通信速度10Gbps 伝送帯域600MHz

◆計測環境

カテゴリーが「7」に近づくほどノイズの影響を受けないような作りに理論上はなっていくため、ノイズを防ぐシールドの効果を確認するためにも、計測はノイズが多いサーバー室で行いました。サーバーが置いてあるラックの前面と背面に色違いの同じ種類のパソコン（レッツノートSX1）を置いています。

まず、一台のパソコンにLANケーブルを取り付けます。ポートの速度は1Gbpsまで対応しており、Intel製。

サーバーの前面を通り。

上へ。

サーバーを置いている棚の上を通過させます。

そしてサーバーの背面を通り……

もう一台のパソコンにつなぎます。実際にサーバーの近くを通ることで、サーバー群からのノイズの影響をケーブルが受けやすくした、というわけです。

計測するソフトとして最新のLAN速度計測専用ソフト「LAN Speed Test v2.0.8」を使うことにします。このソフトを選んだ理由は、Windows自体のシステムが持っているキャッシュ機能の影響を除外できるため。単純に用意したファイルの読み書きによる転送ではキャッシュによって差が出る場合が多々あるため、このソフトを使うことでより本当の計測値を出してみよう、というわけです。

計測ルールとして、1本のLANケーブルにつき5回計測し、Writing（書き込み）とReading（読み込み）の結果を記録しました。単位はMbpsを使用。カテゴリー6a・7は10Gbpsに対応しているわけですが、今回は10Gbpsではなく1GbpsのGigabit Ethernetアダプターを搭載したパソコンを使って計測しました。また、速度に影響を与えるアンチウイルスソフトといった常駐するソフトはすべて停止させ、計測以外の通信やフィルタリングは一切かからないようにしています。さらに、極端な誤差を抑えて平均化するために、各ケーブルごとの最大値と最小値は除外し、残った値で各ケーブルごとの平均値を算出しています。

◆計測結果

まずはエレコムから。

・エレコム

これがテスト結果、Writing（書き込み）速度の分布図。横軸は製品ごとの結果を表し、縦軸は速度を表しています。

次に、書き込み速度の平均値を最大値と最小値の除いた値で求め、速い順に並べ替えてみました。

・書き込み速度のランキング
1位 ELECOM イーサネットLANケーブル(青)5m LD-CT/BU5：630.2529893Mbps

2位 ELECOM GigabitスーパーフラットLANケーブル(青)5m LD-GF/BU5：629.5147307Mbps

3位 ELECOM プロテクタ付きGigabitイーサネットLANケーブル(青)5m LD-GP/BU5：627.9276213Mbps

4位 ELECOM CAT6準拠 GigabitやわらかLANケーブル 5m(ブルー) LD-GPY/BU5：627.1469307Mbps

5位 ELECOM LANケーブル CAT6A フラット 5m ブルーメタリック LD-GFA/BM5：626.591072Mbps

6位 ELECOM LANケーブル CAT6準拠スタンダード 5m ブラック LD-GPJ/BK5：624.0143253Mbps

7位 ELECOM ウルトラフラットGigabitイーサネットLANケーブル(青)5m LD-GU/BU5：623.013224Mbps

8位 ELECOM LANケーブル CAT6準拠極細 5m アイボリー LD-GPS/BE5：620.340712Mbps

9位 ELECOM CAT5e準拠やわらかLANケーブル 5m(ブラック) LD-CTY/BK5：618.8632987Mbps

10位 ELECOM CAT7対応 LANケーブル 5m(ブルーメタリック) LD-TWS/BM5：610.6242453Mbps

11位 ELECOM LANケーブル CAT6A スタンダード 5m ブルー LD-GPA/BU5：607.0591973Mbps

同様の手順でテストしたReading（読み込み）速度の分布図がこれです。横軸は製品ごとの結果を表し、縦軸は速度を表しています。

同じようにして読み込み速度の結果から平均値を求めランキングにしました。

書き込み速度は最高が約630Mbps、最低が約607Mbps、その差は約23Mbps。読み込み速度は最高が約752Mbps、最低が約740Mbps、その差は約12Mbps。一体、カテゴリーごとの差は思っていたほど大きくはないという結果が両方とも出ています。果たしてコレがエレコム特有のものなのか、それとも他社も似たような結果になるのか、次のメーカーのテストに移ります。

・サンワサプライ

Writing（書き込み）速度の分布図。横軸は製品ごとの結果を表し、縦軸は速度を表しています。

・書き込み速度のランキング
1位 SANWA SUPPLY UTPエンハンスドカテゴリ5より線フラットケーブル 5m ライトブルー LA-FL5-05LBK：630.3672907Mbps

2位 SANWA SUPPLY カテゴリ7LANケーブル5m KB-T7-05NV：629.1433147Mbps

3位 SANWA SUPPLY エンハンスドカテゴリ6フラットケーブル 5m ライトブルー KB-FL6E-05LB：628.8673493Mbps

4位 SANWA SUPPLY KB-FL6-05LB カテゴリ6フラットケーブル5m(ライトブルー)：627.606128Mbps

5位 SANWA SUPPLY カテゴリ6準拠極細LANケーブル 5m ブルー KB-SL6-05BL：627.275872Mbps

6位 SANWA SUPPLY エンハンスドカテゴリ6LANケーブル5m KB-T6EPK-05LB：626.1387893Mbps

7位 SANWA SUPPLY KB-T6L-05BL カテゴリ6UTP単線ケーブルブルー 5m：624.5290987Mbps

8位 SANWA SUPPLY エンハンスドカテゴリ5単線LANケーブルブルー 5m KB-T5T-05BL：623.0632293Mbps

9位 SANWA SUPPLY KB-10T5-05 10BASE-Tケーブル(ライトグレー 5M)：621.7658533Mbps

10位 SANWA SUPPLY KB-CP5-05 アンダーカーペットLANケーブル(5m)：620.9387893Mbps

11位 SANWA SUPPLY KB-FL7-05BL カテゴリ7フラットLANケーブルブルー 5m：620.5510853Mbps

12位 SANWA SUPPLY KB-STP-05LB STPエンハンスドカテゴリ5単線ケーブル5m：619.7264773Mbps

13位 SANWA SUPPLY STPエンハンスドカテゴリ5より線ケーブル 5m グレー KB-STP-05K：611.845416Mbps

14位 SANWA SUPPLY エンハンスドカテゴリ5より線LANケーブルライトブルー 5m KB-T5Y-05LB：595.0322053Mbps

Reading（読み込み）速度の分布図

書き込み速度は最高が約630Mbps、最低が約595Mbps、その差は約35Mbpsとなっており、かなり差が出てきました。が、読み込み速度の差は最高が約754Mbps、最低が約746Mbps、その差はわずか約8Mbps。一体カテゴリーごとの差は何なのか？と疑わざるを得ないような結果に。なんだか段々とイヤな予感がしてきました。次のメーカーのテストに移ります。

・バッファロー

まずはWriting（書き込み）速度の分布図。横軸は製品ごとの結果を表し、縦軸は速度を表しています。

・書き込み速度のランキング
1位 iBUFFALO ストレートLANケーブルカテゴリ6E ブルー5M ETPC6E5BLA：630.229656Mbps

2位 iBUFFALO カテゴリ7 LANケーブルブルー 5M ETPC75BLA：623.9474027Mbps

3位 iBUFFALO カテゴリ6 5M 青 ETPC65BLA：619.6421413Mbps

4位 iBUFFALO カテゴリ5eフラット5M青 ETPC5eF5BLA：619.5753893Mbps

5位 iBUFFALO カテゴリ5e 5M 青 ETPC5e5BLA：618.780856Mbps

6位 iBUFFALO カテゴリ6 フラット 5M 青 ETPC6F5BLA：613.646432Mbps

Reading（読み込み）速度の分布図

・読み込み速度のランキング
1位 iBUFFALO ストレートLANケーブルカテゴリ6E ブルー5M ETPC6E5BLA：752.4784667Mbps
2位 iBUFFALO カテゴリ6 5M 青 ETPC65BLA：751.624936Mbps
3位 iBUFFALO カテゴリ7 LANケーブルブルー 5M ETPC75BLA：749.9671493Mbps
4位 iBUFFALO カテゴリ5eフラット5M青 ETPC5eF5BLA：749.40472Mbps
5位 iBUFFALO カテゴリ5e 5M 青 ETPC5e5BLA：748.1221147Mbps
6位 iBUFFALO カテゴリ6 フラット 5M 青 ETPC6F5BLA：735.509584Mbps

書き込み速度は最高が約630Mbps、最低が約613Mbps、その差は約17Mbps。読み込み速度の差は最高が約752Mbps、最低が約735Mbps、その差は約17Mbps。今度も、一体カテゴリーごとの差は思っていたほどではないという結果に。しかも、既に3社連続で1位がカテゴリー7ではないという事態になっており、イヤな予感が現実と化してきました。いよいよラストのメーカーのテストです。

・ミヨシ

Writing（書き込み）速度の分布図。横軸は製品ごとの結果を表し、縦軸は速度を表しています。

・書き込み速度のランキング
1位ミヨシ MCO リール付カテゴリー6aフラットLANケーブル 5m ホワイト TWF-605A/WH：631.9003707Mbps

2位ミヨシ MCO CAT.6スタンダード LANケーブル 5M ホワイト TWC-605WH：630.9475867Mbps

3位 MCO カテゴリー5eLANケーブル 5M TWC-505MK ミルキーホワイト：629.405904Mbps

4位ミヨシ MCO CAT.7 LANケーブル 5M ホワイト TWC-705WH：624.320048Mbps

5位ミヨシ MCO カテゴリー6準拠スリムLANケーブル 5M ホワイト TWM-605W：622.3586453Mbps

6位 MCO カテゴリー6準拠フラットLANケーブル 5m TWF-605W ホワイト：616.269736Mbps

7位ミヨシ MCO カテゴリー7フラットLANケーブル 5m ホワイト TWU-705WH：615.8115467Mbps

Reading（読み込み）速度の分布図

書き込み速度は最高が約631Mbps、最低が約615Mbps、その差は約16Mbps。なぜか最下位がカテゴリー7に……。そして読み込み速度の差は最高が約753Mbps、最低が約746Mbps、その差はわずか約7Mbps。一体カテゴリーごとの差は何なのか？と疑わざるを得ないような結果が出てしまいました。というか、「カテゴリー7とは一体、何だったのか？」と言わざるを得ない事態です。

◆38本のLANケーブルを比較

今度は横軸はReading（読み込み）速度に、縦軸はWriting（書き込み）速度として設定し、ランキングで使用した製品ごとの平均速度をプロットしてみました。LANケーブルの点がグラフの右上にあれば比較するLANケーブルの中で通信速度が早く、左下に行くほど通信速度が遅いことがわかるグラフにしました。このグラフを見ると、各社のLANケーブルは右上に集中していることが分かります。

次に、LANケーブル全38本の書き込み速度と読み込み速度をランキングしてみます。

最高速度は約631Mbps、最低速度は約595Mbps、その差は約36Mbpsとなりました。さすがに全種類で並べると結構差があることがわかります。しかし、1位はカテゴリー6aとなっており、カテゴリーが上であればあるほど高速になるというわけではないようです。

最高速度は約754Mbps、最低速度は約735Mbps、その差は約19Mbpsとなりました。またしても1位はカテゴリ6、というか上位に占める割合的にカテゴリー6が安定して入っており、カテゴリー7はやっと10位に出てくるレベル。おそらく、カテゴリー6の方が生産されている時期が長くて歴史もあり、割と安定した品質で生産できるものの、逆にカテゴリー7はまだ歴史が浅いので品質が安定していないのではないか？と予想されます。というか、それ以外にこれだけの差が出る理由が現状ではわかりません（2012/06/13 10:41追記、カテゴリー7はUTP(unshielded twisted pair)ケーブルではなくSTP(shielded twisted pair)ケーブル、つまりシールドされているため、「STP対応」を明記している機器を使って接地、つまり「アース」を行う必要があり、STP対応機器でなおかつちゃんとアースをしていないと「外皮のアース部分が伝導体となって、異なる電位（アースがきちんと行われていない機器にたまっている電圧）の機器が接触し、ケーブルの中を流れたり、場合によってはスパークし、逆にノイズを発生する」ことがあるため、今回のテスト結果のように「カテゴリー7なのに速度が低下する」という事態になるのではないか？と推測されます。なお「STP対応」を明記している1Gbps対応のLANハブは民生用現行機種ではほとんど存在していません）。

また、この結果を見る限り、現時点ではLANケーブルのカテゴリーごとの差というのは実は民生用途の1Gbps程度で使う場合、大して体感できるほど差が無い、ということになります。要するにどれを選んでもパッケージ裏面などに書いてあるカテゴリーごとの違いについては効能書きでうたっているほどの差が無い、というわけです。こうなってくると、カテゴリーの差よりも価格の差の方を気にすべきです。
というわけで、最後にコストパフォーマンスがいいLANケーブルをランキング化してみました。Amazonで表示された価格と計測した通信速度から、1円で何Mbpsの速度（Mbps/円）が出ているかを比較し、ある意味、最もお得なLANケーブルを見てみましょう。

・書き込み速度のコストパフォーマンスランキング
1位 ELECOM イーサネットLANケーブル(青)5m LD-CT/BU5 630.253Mbps 282円 2.235（Mbps/円）
2位 ELECOM CAT5e準拠やわらかLANケーブル 5m(ブラック) LD-CTY/BK5 618.863Mbps 360円 1.719（Mbps/円）
3位 MCO カテゴリー5eLANケーブル 5M TWC-505MK ミルキーホワイト 629.406Mbps 450円 1.399（Mbps/円）
4位 iBUFFALO カテゴリ6 フラット 5M 青 ETPC6F5BLA 613.646Mbps 491円 1.250（Mbps/円）
5位 ELECOM プロテクタ付きGigabitイーサネットLANケーブル(青)5m LD-GP/BU5 627.928Mbps 536円 1.172（Mbps/円）
6位 ELECOM LANケーブル CAT6準拠スタンダード 5m ブラック LD-GPJ/BK5 Mbps 624.014Mbps 582円 1.072（Mbps/円）
7位 iBUFFALO カテゴリ5e 5M 青 ETPC5e5BLA 618.781Mbps 605円 1.023（Mbps/円）
8>位 ELECOM CAT6準拠 GigabitやわらかLANケーブル 5m(ブルー) LD-GPY/BU5 627.147Mbps 618円 1.015（Mbps/円）
9位 iBUFFALO カテゴリ5eフラット5M青 ETPC5eF5BLA 619.575Mbps 612円 1.012（Mbps/円）
10位 SANWA SUPPLY KB-FL6-05LB カテゴリ6フラットケーブル5m(ライトブルー) 627.606Mbps 645円 0.973（Mbps/円）
11位 ELECOM GigabitスーパーフラットLANケーブル(青)5m LD-GF/BU5 629.515Mbps 664円 0.948（Mbps/円）
12位 iBUFFALO ストレートLANケーブルカテゴリ6E ブルー5M ETPC6E5BLA 630.230Mbps 690円 0.913（Mbps/円）
13位 ELECOM LANケーブル CAT6A スタンダード 5m ブルー LD-GPA/BU5 Mbps 607.059Mbps 666円 0.912（Mbps/円）
14位 ELECOM LANケーブル CAT6準拠極細 5m アイボリー LD-GPS/BE5 620.341Mbps 682円 0.910（Mbps/円）
15位ミヨシ MCO CAT.6スタンダード LANケーブル 5M ホワイト TWC-605WH 630.948Mbps 705円 0.895（Mbps/円）
16位

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