詳しくいうと、トレーニングによる生理的機能は、疲労(ダウン)−回復(アップ)−超回復(トレーニング前以上に高くなる)−元へ戻る(ダウン)、というサイクルでアップダウンを繰り返している。アミノ酸を長期的に摂取すると、回復から超回復へ向かう速度を早めると同時に、回復の大きさを高める可能性があると考えられているのだ。

 前出のアンケートで8割以上のアスリートが「アミノ酸が体調管理やパフォーマンス向上に重要」と考え、7割が実際に使用しているのは、こんな理論的背景からである。

 味の素(株)イノベーション研究所でスポーツ栄養科学の研究に取り組んでいる尾道一哉氏によると、同社はアスリートのニーズから生まれたアミノ酸やノウハウをJOCに提供している。また、その成果と新しいニーズのフィードバックを受け、それを次のアミノ酸やノウハウに生かして提供している、という。

 例えば、前述の杉田氏が重要視するのは、疲労回復=ロイシン高配合必須アミノ酸、質の良い睡眠=グリシン、免疫力の維持=シスチンとテアニンという3つのタイプのアミノ酸。

 ロイシンは高い筋タンパク合成機能をもっている。この必須アミノ酸は乳清たんぱくには24%含まれているが、味の素(株)が提供するロイシン高配合必須アミノ酸は、ロイシンを40%含有。ヒト評価では、筋肉痛や疲労感、筋の損傷が改善されたという。なお、このアミノ酸については、先日、同社より、ロンドンオリンピック日本代表選手団専用として独占供給の開始が発表されたばかり。今後注目される素材となりそうだ。

 グリシンは体内でつくることができ、神経伝達物質としても働いている。試験では、就寝前に摂取することによって、起床時の疲労感が低減し、日中のパフォーマンスがあがったという。

 シスチンとテアニンは同時に摂取すると分解・合成によってグルタチオンという物質になる。グルタチオンを補給することで炎症を調節し、それによって免疫の機能が低下したり、筋が崩壊することを抑制できるという。また、シスチン・テアニン食の摂取によって、風邪にかかりにくい体にもなれるという試験データもある。

 難しい話が多くなったが、要するにメダルを取るためには、選手の頑張りだけではなく、いろいろな面からのサポートが大切だということ。

 紹介した3種類のアミノ酸は、ロンドンオリンピック日本代表選手団にも提供されているという。

 海外の選手たちにも当然、国や民間のサポートがあるはずだ。

 しかし、ここは日本の研究力、技術力、開発力に期待したい。

 アミノ酸サポートで、どこまでメダル獲得数を増やせるか。

 がんばれ、ニッポン!

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