連続飛び降り自殺で非難集中 iPadも生産する中国・富士康のOEM哀史 ストライキは日系企業にも飛び火
富士康(FOXCONN、フォックスコン)総裁の郭台銘は、5月26日に深セン市で飛び降り自殺した社員の親族の前で深々と頭を下げて、3度ほどお辞儀をした。富士康は台湾系で、世界最大級のEMS(エレクトロニクス機器の受託製造)企業である。富士康では、自殺未遂も含めて、12件の自殺が連続して発生した。郭総裁はそれに何らかのメッセージを発しなければならない。絶対にマスコミに開放しない工場も、この日だけはすべて開放した。その日、四川省知事と台湾での会合があるので、郭総裁は、飛行機でいったん台湾に戻ったが、深センにいないその夜に、13件目の自殺事件が起こった。
(北京在住ジャーナリスト 陳言)
無料のインターネット・カフェ、無料のプール、富士康の進出によって30万人も40万人も労働者が集まった富士康工場ゾーンでは、娯楽施設はほかのところよりは整備されている。なのになぜ若者はこんなに死を急ぐのだろうか。
富士康の工場では上司のことを「ボス」と言い、ワーカー同士では人を罵る言葉である「ディアオ・マオ(もともとは日本語で男性器を意味する言葉)」で呼び合う。同じ宿舎に住んでいても、互いに名前も知らない。チップの組み合わせをしている彼ら自身も、いつの間にか名も知らず「チップ」になってしまった。マスコミが騒がなければ、チップは1人また1人亡くなっても何でもない。
相対的に条件のいい日系企業は、自殺までワーカーを追い込んでいないが、深セン市からそんなに離れていない仏山市にあるホンダの部品工場では、5 月17日からストライキが行われた。その後、ホンダは中国での車両生産の全面ストップに追い込まれた(6月1日時点)。台湾系企業の自殺余波は、ストライキの形で日系企業に飛び火している。
続きはこちら(ダイヤモンドオンラインへの会員登録が必要な場合があります)
■関連記事
・自分を過大評価し昇給を求める中国人への説得の仕方は?【柏木理佳コラム】
・上陸したiPadは“Windows 95”以来の黒船か?日本企業がアップルに勝てない本当の理由・ドコモの回線で「iPad」を使用 NTTがひっそり始める“裏技”
・ノーベル賞経済学者 ゲーリー・ベッカー 自殺の経済学を手がけた真意 市場万能論が看過する社会を動かす“生身の人間”の行動
・世界中で技術系ベンチャーを買いまくるグーグル 狙いはアップルのiPhone&iPadの独走阻止
