「食」に対しひとつの思想を持つ若き女将(蒼井優)を中心に
様々な人間模様が描かれる人情ドラマ「おせん」。
東京の下町にある有名料亭『一升庵』に板前見習いとしてやって来た江崎ヨシ夫(内博貴)は時代遅れともいえる一升庵のやり方に驚きつつ、古き良き時代の「真心」を込めたおもてなしに次第に魅かれていく…。


蒼井優が演じる女将がこのドラマの見どころと言っても過言ではないだろう。
大正から昭和初期の着物を身にまとい、花魁言葉で話す蒼井「おせん」は何といっても魅力的だ。
しかしこのドラマ、第7回まで観てきても内容が残らない。
1話完結で描かれているせいもあるのだろうが、口当たりはよくても濃度のない、さらりとした和風だしみたいな印象なのだ。

毎回、何かしらの形で扱われる食材はシンプルかつ豪華で、とてもおいしそうにみえる。
しかし強烈に訴えかけてくるものがない。今すぐこれが食べたい!と思えるような料理が出てこない。
なんというか敷居が高い。高級料亭で出される料理であるのだから、当然といえば当然なのだが…。

物語は『一升庵』を中心にそこに関わる人々の人間模様を描いている。
板前見習いとして奮闘する江崎ヨシ夫は今どきの若者の典型のように描かれているが、おせんに出会い少しずつ成長していく。
変化していくヨシ夫に大して寄り添うことができれば、思い入れを持ってドラマを楽しめると思うのだが、どうにも壁がある。とにかく全体的に薄味なのだ。

時代遅れのやり方のなかに美しさがあると謳うなら、見ている私たちの心を強く動かす何かが欲しい。
今を生きる私たちにはいつも時間がなく、速きことは良きことのように常に急かされているのだから。

しかし、オープニングの歌と映像は秀逸。
ドラマ本編で伝えきれていない部分が、ここに凝縮されているのではないだろうか。

(編集部 松本直樹)

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