「段ボール入り肉まん」は中国テレビ局の「捏造」だった(中央テレビより)

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   「段ボール入り肉まん」として中国のテレビ局が報じた「スクープ」は、テレビ局の「捏造」だった。北京を大パニックに陥れた「段ボール入り肉まん」だが、国内外でも大反響を呼び、「段ボール入り」を実際に作ったりした日本メディアはバカを見た形だ。ただ、「ヤラセ放送」が横行する中国テレビ界では、珍しくない出来事だったようだ。

「段ボール肉まん」を再現した日本マスコミ

   北京テレビは2007年7月18日夜、同局が「スクープ」した「段ボール入り肉まん」の放送が「捏造」だったことを放送のなかで明らかにし、謝罪した。

   問題となった「段ボール入り肉まん」は、北京テレビが「透明度」という番組内で、北京市朝陽区で販売されていたと報じた。使用済みの段ボールをカセイソーダ(水酸化ナトリウム)の溶液に浸して変色させ、やわらかくした上で、煮込み、本物の肉と混ぜて(豚肉と段ボールの割合は4対6と段ボールの方が多い)、肉まんの中身として使用していた、というもの。
   近所の肉まん販売店員のインタビューや隠し撮り風のシーンもあり、その生々しい内容から、中国国営の中央テレビもこの「スクープ」を取り上げ、国内外で大きな反響を呼んだ。

   「バカを見た」のは日本のメディア。7月13日に放送された日本テレビの情報番組「スッキリ!!」では、料理学校の先生を使って「段ボール肉まん」を再現(ただしカセイソーダは使用していない)。試食した番組レギュラーの加藤浩次さんも「最初に口に入れた瞬間は肉まん」などと本物の「肉まん」との類似を指摘していた。

   また、インターネットニュースサイト・アメーバニュースは同日にカセイソーダ入りで「段ボール入り肉まん」を忠実に再現。「精製過程を知っている私は決して食べることはできなかった」としている。夕刊フジも7月19日の紙面で中華料理人の金萬福さんに実際に調理してもらっている。「捏造」が明らかになった7月19日の「スッキリ!!」では、「段ボール入り肉まん」を食べた加藤浩次さんが「末端の被害者は俺らじゃないですか!」と吠えていた。

北京市は「大パニック」、誰も肉まん食べなくなった

   一方で、日本のワイドショーのコメンテーターやネット上の書き込みなどからは「捏造だとする報道が捏造なのでは」

「実際に段ボール入り肉まんはあったはずだ」
「単なる中国政府の見せしめだったのでは」

といった見方もある。
   しかし、北京にいるメディア関係者はこうした見方には否定的だ。中国の大手新聞社「経済日報」の王建鋼さんはJ-CASTニュースに対して次のように語る。

「(「段ボール入り肉まん」報道後に)北京市当局は真相究明のためにかなりの調査をしたと思います。北京市工商局などは、調査をして『段ボール入り肉まん』がなかったことを公表して、記者に『本当はあったんじゃないか』と物凄く追及されました。それでも自信を持って『なかった』と主張してましたから。私の得ている情報では100パーセント(北京テレビの)『捏造』だったんだと思います」

   王さんによれば、「段ボール入り肉まん」報道で北京市は「大パニック」に陥り、誰も肉まんを食べなくなった。むしろ、こうしたパニックを受け、北京市や中国当局は「火消し」に躍起になり、警察からは徹底した捜査が行われたという。

   もっとも、ヤラセや捏造の類いは中国のテレビ局では頻繁に行われる。
   王さんも「テレビで謝罪を見るのは初めて。日本と違って(中国のテレビ局は)間違っても訂正すらしないですから」と明かす。今回は、「ヤラセ体質」のテレビ局のスクープが計らずも国際的な反響を呼び、番組担当者が逮捕される事態にまで発展してしまったようだ。

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