《360万円着服発覚も》愛子さまの昼食代…天皇家の「内廷費」3億2400万円の使い道と、物価高でも増額見送りの真意
数々の公務をこなす天皇家も、われわれと変わらず日常生活を送っている。しかし、その“お財布事情”について知る機会は少ない。
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内廷費の内訳は人件費が3分の1、物件費が3分の2という割合
「天皇ご一家と上皇ご夫妻のプライベートな生活費にあたる“内廷費”は、私費とはいえ、宮内庁が厳密に予算を立てて、管理しています。金額は皇室経済法で定められており、現在は年額3億2400万円が支給されています」(皇室ジャーナリスト)
制度の詳細や具体的な使途について、皇室解説者の山下晋司さんに尋ねた。
「まず前提として、“お金をどこから出すかは時代によって変わる”ということを念頭に置いてください。それを踏まえてお話ししますが、内廷費の内訳は、人件費が3分の1、物件費が3分の2という割合になっています。人件費とは、宮中祭祀や私的なご研究に関わる助手などの給与です。物件費は、身の回り品や食事関連、災害のお見舞金や私的な交際費、研究や教養関連、神事関連、医療費など、多岐にわたります」(山下さん、以下同)
人件費も捻出される中、“公費”と“私費”の境界線というのはあるのだろうか。
「その行為が公的か私的かによって、お金の出どころが決まるのが基本です。例えば、天皇陛下のご趣味であるテニスやカメラ関係、ご一家でのご静養、愛子内親王殿下が日本赤十字社でとる昼食などは私的な行為と位置付けられるため、内廷費からの支出となります。一方で、ご静養に同行する職員の出張費は“公務”なので公金から。判断が難しいものもありますが、この考え方が基本になります」
物価高の現状などを鑑みて増額要求は見送りに
内廷費といえば、昨年5月に侍従職による“360万円着服事件”が発覚した。実際、宮内庁はどのような管理体制を敷いているのだろう。
「公金を扱う会計組織の責任者は『皇室経済主管』で、内廷費の責任者は『内廷会計主管』です。役職名は違いますが、担うのは宮内庁職員で同一人物です。公金を扱うほかの職員も内廷費は扱いますが、公金と内廷費がまざらないように対策が講じられています。毎年の予算は、侍従職や上皇職から提出された予算要求書が『内廷会計審議会』という場で審議されたうえで決まります。当然、年度末の決算も行われます」
もちろん、厳格な管理の末に節約されたお金も存在する。
「“内廷基金”と呼ばれる天皇家の私的な財産を指すものがあり、これは一般の貯金にあたります。内廷費が余った場合、国には戻さずに内廷基金に移され、逆に内廷費が足りなくなった場合はここから補填されます」
昨今、日本は物価高に悩まされている。その状況を踏まえ、山下さんはこう指摘する。
「昭和43年に、東京23区の物価上昇率と国家公務員の給与ベースアップ率を内廷費の物件費と人件費の割合にそれぞれ掛けて、1割を超えた場合は増額を要求する、という目安がつくられました。現在その基準は超えているようですが、物価高に直面する国民生活の現状などを鑑みて、増額要求は見送られました。個人的には、この機械的な基準を適用しないと、今後増額するタイミングが難しくなるのでは……と危惧しています」
厳格な管理のなか、国民と共に物価高を耐え忍ぶ天皇家の“清貧”の姿勢が共感を呼ぶのだろうーー。
山下晋司 皇室解説者。23年にわたる宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行う
