将棋の藤井聡太名人(竜王、王位、棋聖、棋王、王将、23)に糸谷哲郎九段(37)が挑戦する第84期名人戦七番勝負第4局が5月16・17の両日、大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で行われ、藤井名人が123手で勝利を収めた。この結果、シリーズ成績を4勝0敗とした藤井名人がストレート防衛を果たし、名人戦4連覇を達成した。

【映像】藤井名人が防衛4連覇を決めた瞬間の表情

 「将棋のまち」高槻市を舞台に争われた注目の第4局。先手番の藤井名人が雁木、後手の糸谷九段が矢倉に構え、1日目の早い段階から前例のない力戦へと突入した。明らかなリードを奪う者がいないまま持ち時間も並ぶ互角の展開で1日目を終えると、2日目は藤井名人が歩を突き捨てて本格的な攻めへと踏み込んだ。

 背水の陣で初白星を狙う糸谷九段も、後手番ながらうまく反撃の形を作り、盤上にのしかかるような深い前傾姿勢で盤考を重ねて対抗。しかし、藤井名人は中盤の難解な勝負所で冷静に急所を突き、相手の攻めをいなしながら徐々にリードを拡大していった。終盤に入ってもその精密な指し手は揺るがず、最後は挑戦者の粘りを振り切って勝利を掴み取った。

 本局の勝利により、藤井名人は無傷の4連勝で今期のシリーズを制覇し、4期連続の名人位防衛を果たした。これにより、規定の通算5期獲得による「永世名人(二十世名人)」の資格獲得まで、いよいよあと1期と迫った。王将戦、棋王戦と冬季のタイトル戦ではいずれもカド番に追い込まれる大ピンチがあったものの、それを跳ねのけてそれぞれ防衛。3月5日の叡王戦準決勝で敗れて以降は約2カ月間負けなしとなっており、本局の勝利で公式戦の連勝を「10」に伸ばす圧倒的な強さを示している。

 防衛を果たした藤井名人は、「本局は終盤まで苦しいところも多かったので、防衛についての実感はあまりない。シリーズとしても力戦形が多く、これまでとは展開としては大きく異なるシリーズだった。一手一手考えてその中で自分の中で良いところ、悪いところが両方色々あったと思いますが、なんとか結果を出すことができたことは嬉しく思う」とコメント。一方、敗退した糸谷九段は「実力不足が露呈した。藤井名人の実力はわかっていたつもりだったが、9時間ということでさらに読みが深く指されたと感じた」とシリーズを振り返っていた。

 偉業達成の余韻に浸る間もなく、次なる戦いもすぐに幕を開ける。6月4日には、服部慎一郎七段(26)を挑戦者に迎えるヒューリック杯棋聖戦五番勝負が開幕する。息つく間もなく続く過酷な防衛ロードで、最強の王者が新進気鋭の挑戦者を相手にどのような将棋を魅せてくれるのか。ファンの熱視線が途切れることはない。

◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王5期、名人4期、叡王3期、王位6期、王座2期、棋聖6期、棋王4期、王将5期、の通算35期。永世竜王、永世王位、永世棋聖の資格保持者。棋戦優勝は14回。2023年10月には第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。現在保持しているタイトル数は6冠。通算成績は451勝96敗、勝率は.824。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)