世界初、iPS細胞で作った製品実用化…1回5500万円のパーキンソン病治療薬

写真拡大

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)で作ったパーキンソン病治療のための製品について、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は13日、公的医療保険の適用とすることを了承した。

 公定価格は1回約5500万円となる。iPS細胞由来の製品が世界で初めて実用化される。

 製品は、iPS細胞から作った神経の細胞が入った「アムシェプリ」で、製薬大手の住友ファーマが開発した。脳内で神経細胞が減り、手足の震えや歩行困難が起きるパーキンソン病の患者のうち、従来の治療薬で十分な効果が得られない人が対象となる。治療では、患者の頭蓋骨に小さい穴を開け、脳内に移植する。

 京都大病院で行われた初期段階の臨床試験では、移植後2年で重い副作用はなく、6人のうち4人で運動障害が改善した。全員の移植した細胞から、運動機能に関わる神経伝達物質が出ていることも画像検査で確認された。1回の治療で効果が長く続くとみられる。

 こうした結果を基に、厚労省は3月、安全性が確認されたものの有効性は推定段階にあるとして、2033年までの期限付きで製造販売を承認した。

 この日の中医協では、医薬品として保険適用の審議を進め、価格は1回約5500万円とした。保険適用は20日からの予定だ。高額療養費制度などを利用すれば、患者の自己負担額は多くても数十万円となる。

 住友ファーマは、国内7施設で治療できるようにする計画だ。26年にも1人目の治療を始め、29年頃までに35人のデータを集めて安全性と有効性を分析し、本承認をとるための申請を目指している。発売から10年後には年約130人に使うと予測している。

 中医協では、製品を使う際の留意点などを盛り込んだ指針が了承された。指針は、移植した細胞が腫瘍に変化していないかを確認するため、定期的な画像検査の実施を求めた。

 ◆iPS細胞=体の様々な細胞に変化でき、皮膚や血液などの細胞に数種類の遺伝子を導入して作製する。山中伸弥・京都大教授が開発した。英語では「induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)」と表記し、その頭文字を取っている。