関連画像

写真拡大

日帰りバスツアーに参加した友人から「一部の参加者がツアー中に集合時間を守らず遅刻を繰り返している」という話を聞いた人が、この問題をSNSで取り上げたところ、多くの共感が寄せられている。

Threadsの投稿によると、友人は青い花・ネモフィラを見に行くバスツアーに参加。その際、「50代の女性2人組」が集合時間にたびたび遅刻したという。

投稿者は、こうした参加者について「そんな奴は置き去りにしろ」と不満をあらわにしている。

観光地で集合時間に遅れる参加者がいると、他の客は待たされ、ツアー全体のスケジュールにも影響が出てしまう。

では、旅行会社やバス会社などの主催者は、遅刻を繰り返す参加者をその場に残して出発する──いわゆる「置き去り」にすることができるのだろうか。

旅行業者の顧問もつとめ、消費者トラブルにくわしい池田誠弁護士に、法的観点から聞いた。

●「置き去り出発」が認められるケースも

──バスツアー参加者が集合時間に繰り返し遅れた場合、その参加者を置いて出発してもよいのでしょうか。

例外的ではあるものの、旅行会社が遅刻した参加者を置き去りにできる場合もあります。

1つには、旅行会社が参加者との契約を解除するケースです。

多くの旅行会社では、国土交通省の「標準旅行業約款(募集型企画旅行契約の部)」を採用しており、一般的なツアーにも適用されます。

参加者の遅刻が、円滑な旅行の実施のための添乗員の指示に違反(18条1項2号)すると判断される場合、旅行会社は理由を説明したうえで契約を解除し、その後の旅程に参加させないことができます。

ただし、通常の旅程は多少の遅れを見込んで組まれているはずです。そのため、契約解除が認められるのは、旅程に変更を余儀なくさせるような重大な遅刻に限定されると考えられます。

●自分の意思でツアーを脱退する場合も

──ほかにも「置き去り」にできるケースはあるのでしょうか。

もう1つあります。参加者の行動が、自らの意思でツアーを脱退したとみなされる場合です。

過去に、海外ツアーで置き去りにされたとして、旅行会社に損害賠償を求めた裁判例で、脱退の考えが採用されたものがあります。

このケースでは、参加者が旅行会社や他の参加者とトラブルとなり、単独行動をとったり、自力で帰国手段を探し、現に旅行会社の手配でツアー外で帰国した経緯がありました。

裁判所は、こうした事情を踏まえ、自らの意思でツアーを脱退したと判断し、旅行会社の責任を否定しました。

バスツアーでも、予定外の行動によって大幅に遅刻した場合には、同様に自発的な離脱と評価されて、置き去りが認められる可能性があります。

●安全確保に留意

──置き去りにされた参加者がその場で動けなくなるなど、安全に問題が生じた場合、主催者に法的責任はありますか。

前述のようなケースでは契約関係は終了していると考えられるため、原則として、置き去りになった参加者の安全について、旅行会社が責任を負うことはないと考えます。

ただし、置き去りにした場所が危険であったり、自力で帰宅手段を確保できない状況であったりする場合には、安全な場所までの移動手段を確保する義務が発生する余地もあります。

本人の健康状態もわかりませんから、ツアー途中で契約を終了する場合、国交省約款20条の趣旨に沿って、本人の意向を確認したうえで、出発地まで戻る手段を有償で手配するなどの代替案を提示することが、トラブル防止の観点から望ましいといえます。

【取材協力弁護士】
池田 誠(いけだ・まこと)弁護士
第1種旅行業者を含む幅広い分野の顧問業務を務める下町の弁護士です。
事務所名:にっぽり総合法律事務所
事務所URL:https://nippori-law.com/