親のために子どもを授かりたい。娘が負い目を感じて卵子提供にすがるのは是か非か【著者インタビュー】

【漫画】本編を読む
出産経験のない女性のもとに、ある日突然「あなたの子どもです」と少女が訪ねてくる。少女は、女性の“卵子提供”によって生まれた子どもだった--。『egg わたし、あなたの子どもです。』(鳥野しの/KADOKAWA)は、他人の卵子や精子を利用することで誰でも子どもをつくることができる制度“egg”がある架空の社会の物語。
--4話の主人公・アキさんは、過去に卵子提供を経験した女性です。それから20年経った頃、自分の卵子から生まれた子どもがどんな人に育っているのか…と想像するのですが、そんな自分を「気持ち悪い」と自己嫌悪もしています。彼女の複雑な心境をどう表現しようと思いましたか?
鳥野しのさん(以下、鳥野):彼女は、ひょんなきっかけで出会った相手にもわかりやすくegg制度のいびつさを伝えようとして、自重を含めて伝えた言葉が「気持ち悪いでしょう」だったんだと思います。「あなたはこんなふうになってはいけないよ」と。
--その相手は自分自身がレシピエント(卵子提供で生まれた子)で、自分に多額のお金をかけてくれた親のために「自分もドナー(卵子提供者)になろうか」と迷っていましたね。
鳥野:作中で明言していませんが、その子はおそらくアロマンティックかつアセクシュアルな人なので、自然にしていたら生殖が人間関係の延長線上に訪れづらい人でもあります。そのことに負い目を感じてeggを利用するのが、本人のためになるのかどうか。そこをよく考えてもらうため、アキさんにはあえて強い言葉で伝えてもらいました。
※アロマンティック…他人に恋愛感情を抱かない、または抱きにくい恋愛的指向のこと
※アセクシュアル…他人に性的な欲求や魅力をほとんど、あるいはまったく抱かない性的指向のこと
取材・文=吉田あき
