愛の巣へ還れ!


 作家・樋口美沙緒氏の大人気BL「ムシシリーズ」がついに完結――。2026年5月1日(金)、同シリーズの最新刊にして最終巻となる『愛の巣へ還れ!』(樋口美沙緒:著、街子マドカ:イラスト/白泉社)が発売された。

 第1作『愛の巣へ落ちろ!』から始まったムシシリーズは、虫の特性を受け継いだ新人類を描いた擬人化チックファンタジー。これまで10作が刊行されている人気BLシリーズで、作品ごとに異なるカップリングが展開される点も大きな魅力となっている。

 物語の舞台となるのは、数千年前に生態系の危機に瀕した人類が、強い生命力を持つ節足動物と融合したことで生まれた世界。そこで生きる人類は虫の特性を引き継いでおり、さらに弱肉強食の「強」に属するハイクラスと「弱」に属するロウクラスに分断されている。

 たとえば第1作目『愛の巣へ落ちろ!』の主人公・翼は、シジミチョウ出身のロウクラスに属する人物。ハイクラス名家の御曹司であるタランチュラ出身の澄也に憧れて、全寮制の男子校・星北学園に入学するが、そこではロウクラスであるがゆえのさまざまな困難が待ち受けていた。同シリーズでは、そうした階級世界を背景に、愛と生きることの尊さが描かれていく。

 ほかにも「クロオオアリ×クロシジミチョウ」「タランチュラ×カイコガ」「ヘラクレスオオカブト×オオスズメバチ」「オオムラサキ×ナナフシ」など、これまで多彩なカップリングの物語が紡がれてきた。そしてシリーズ最終巻を飾るのは、タランチュラ出身の七雲翔とフジミドリシジミチョウ出身の藤見千翠。第1作と同じ構図を持つ、“原点回帰”のカップリングだ。

 主人公の千翠は若くして両親を失った天涯孤独の青年で、「性モザイク」という特殊な体質を抱えている。その性モザイクに関わる薬を開発した医師の息子が、ハイクラス中のハイクラスに属する翔だった。ひょんなことから彼と交流を持つようになった千翠は次第に心を惹かれていくが、翔からは「シジミチョウ出身者とは仲良くしない主義」と線引きされてしまう。

 この超種族格差社会で、千翠はどう翔との距離を縮めていくのか…。シリーズ最終巻にして原点回帰の物語が紡がれていく『愛の巣へ還れ!』。その結末をぜひお見逃しなく。