元受刑者を支える人たち 過ち繰り返さぬよう【徳島】
罪を犯し刑務所へ服役した人たちが、その後どのように社会へと戻っていくか、そこには様々な困難が待ち受けています。
彼らとその居場所を作り、手を差し伸べ支える人たちをカメラが追いました。
夜の街をやさしく照らす、この光。
4月17日は、国際更生保護ボランティアの日でした。
罪を犯した人がもう一度社会へ戻るため、その更生を手助けする人たち。
決して損得ではない、そこにある思いとは。
徳島市北沖洲にある建設会社「鷹鉾組」。
40年ほど前から、刑務所を出所した元受刑者の雇用に取り組んでいます。
(記者)
「これまでどのような罪を犯した人が来たか?」
(鷹鉾組・下坂登 代表取締役)
「一番すごい人が殺人2回、その人が一番すごかった。あとはほぼ窃盗と覚せい剤やね」
これまで300人以上を雇用してきましたが、半年後の定着率は1割程度、厳しい現実です。
(鷹鉾組・下坂登 代表取締役)
「途中で自分の元の刑務所に帰るという人が多い。一番、僕らはつらい」
「(ここに)おってくれたら、前を向いていろいろとできるけど...」
鷹鉾組は土木、解体、塗装などを行う会社です。
作業に励むこちらの男性、窃盗の罪で服役し、2週間ほど前に刑務所を出所したばかりです。
この会社へは、4月27日が初めての出勤日です。
(鷹鉾組・下坂登 代表取締役)
「そんなに突っ込まなくていいのよ、それくらいそれくらい」
一から仕事を覚えます。
(鷹鉾組・下坂登 代表取締役)
「もうちょい、もうちょい、もうちょい。バイブ使ったことないのに器用やな、やるで」
(元受刑者の男性)
「緊張しました。ちゃんと力になってくれる良い社長なので、何でも一生懸命頑張ります」
一方、こちらは働き始めて10年になるという男性。
数少ない定着した一人です。
(勤続約10年・元受刑者の男性)
「バイブ当てたら中のセメントが暴れていく、そこ引っ張らなあかん、見ながら」
社長やほかの社員からも、信頼を置かれています。
新人に指導できる頼れるベテラン社員ですが、そんな彼にも暗い過去がありました。
(勤続約10年・元受刑者の男性)
「薬物です」
(記者)
「何回か(刑務所に)入って出て繰り返し?」
(勤続約10年・元受刑者の男性)
「人生の半分入ってた。今まで働いたことない、スコップも持ったことがない」
「刑務所入ったら帰るところがないじゃないですか、結局前にいた組織に頼る。そしたら結局同じこと(再犯)をしてしまう」
刑期を終え、身寄りのない人が集まる場所があります。
保護施設・徳島自立会。
元受刑者に宿泊場所や食事を半年間無料で提供するなど、さまざまな支援を行い、再出発を支えます。
(徳島自立会・守田 裕史 施設長)
「彼らを見ていると、なかなかコミュニケーションがとれなかったり、困った時に助けてくれる人がまわりにいない」
そんな元受刑者に手を差し伸べ、受け入れる事業主を「協力雇用主」といいます。
県内でも年々増え続け、現在200社を超えています。
(徳島自立会・守田 裕史 施設長)
「協力雇用主さんは、そういった諸々のことを含めて理解してくれて、雇い入れてくれている」
「当施設にとって、協力雇用主さんは大きな意味をもっている」
(勤続約10年・元受刑者の男性)
「(自立会は)仕事から帰って来てお風呂はある、ご飯は食べられる、何も心配ないじゃないですか」
「自立会を出ないといけない時、社長がここに住めと構えてくれた。社長には頭が上がらない」
(鷹鉾組・下坂登 代表取締役)
「よう言うわ、よく頑張ってくれるけんな、そういう心意気の前向きの人がおってくれたら」
「うちの会社やって、どんどん前に向いていける。今もみんな良く頑張ってくれてる」
日本の再犯者率は約5割。
私たちの社会が抱える、目を背けてはならない現実です。
徳島保護観察所の河野さんは、彼らの居場所を作ることこそ更生への第一歩だと話します。
(徳島保護観察所・河野博 統括保護観察官)
「自分がここで働けて、その場所があって、そこで自分を認めてくれる場所があるというのは、大きな更生に力を働かせる」
「そこに本人がいることによって、きょう頑張ったな、きょうこんな風にやってくれたなって」
「俺はここにいていいんだって自信になる、協力雇用主さんというのは大きな存在だと思う」
初めての勤務を終えた元受刑者の男性、過ちを繰り返さぬよう新しい一歩を踏み出しました。
(元受刑者の男性)
「ちゃんと仕事を真面目に頑張ろうと」
(記者)
「周りの人の雰囲気は?」
(元受刑者の男性)
「みんな優しいので楽しい、二度と刑務所に入らないようにちゃんとした生活をしたい」
(鷹鉾組・下坂登 代表取締役)
「6か月、3か月、4か月その間頑張ってやって、その後は、自分で考えておってくれたらいいし」
「出来たら今、人がいないからおってくれたらありがたい」
「受刑者はみんなが嫌ってる感じだから、こちらが来なさいと前向きに雇ってあげたい」
一度は道を踏み外してしまった人たち。
彼らが再び塀の中へ戻るか、こちら側で踏みとどまれるかは、手を差し伸べる人の存在にかかっているのではないでしょうか。
法務省によりますと、日本の再犯者率は20年前の2006年には38.8%だったのが、ピーク時の2020年には49.1%。
しかし、こうした人たちの取り組みもあり、その後は、わずかずつながら減少に転じているということです。
