今年で大宮3年目を迎える泉。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第63回は、RB大宮アルディージャのMF泉柊椰だ。 2000年12月生まれで大阪府出身の泉は、ヴィッセル神戸のアカデミー、びわこ成蹊スポーツ大を経て、2023年に神戸でプロキャリアをスタート。その後、同年8月にモンテディオ山形、2024シーズンに大宮へ育成型期限付き移籍し、2025シーズンに大宮へ完全移籍した。 現在、J2・J3百年構想リーグのEAST-Bで4位につけている大宮で、リーグ2位の8得点をマーク。左サイドからの鋭い突破を武器に攻撃を牽引する25歳にとって、バイタルエリアとはどのような場所なのか。自身のプレースタイルを確立するに至るまでの背景とともに訊いた。 
――◆――◆――  バイタルエリアは仕事をする場所です。1番やっていて面白いし、ワクワクするところでもあります。責任感のある場であると同時に、そのプレーヤーが楽しんでいるかどうかで、1番違いが出ると思います。バイタルエリアの位置では、ゴールへの最短距離というか、チームでどうやったらゴールを取れるかを意識してボールを受けるようにしています。 1番ドリブルを意識したのは高校3年生ぐらいです。中学生の時からずっとネイマールが好きで、試合前に映像を見たりしていました。ただ、高校1、2年生になって、フィジカル的に通用しなくなって、ポジションがウインガーや真ん中から後ろに変わったりもしました。 高校で神戸のユースからトップに上がれないと知らされた時、大学でプレーするなら、このままオール3の選手になるよりも、ボールを持った時に相手を剝がせたり、ゴール前で仕事ができる特長を持っていないと消えていくと実感しました。それからドリブルにこだわって取り組むようになりました。 

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 キレ味鋭いドリブルが魅力の泉は、J2・J3百年構想リーグでここまで12試合全てに先発し、すでにキャリアハイの8得点をマーク。目に見える結果を出している。決定的な仕事を果たせるアタッカーへと変貌を遂げたのは、プロ1年目の経験が大きかったようだ。神戸、山形での日々を振り返ってもらった。――◆――◆―― 自分のプロキャリアの中で、神戸での日々は1番大きな時間だと思っています。優勝したヴィッセルのメンバーの中にいて、試合にも少し絡ましてもらいました。 
 3月のサガン鳥栖戦で、J1で初めて先発して、初ゴールを奪えたんですけど、同時にインテンシティやプレースピード的に、まだまだJ1のレベルじゃないと自覚があったので、必然的にプレー時間も短くなりました。 特に今も神戸に在籍している選手が世界基準のレベルの要求をしてくれました。それを肌で感じて、どうやってプレー時間を増やして、その基準まで自分を持っていくかをより考える半年でした。 出場機会を求めて、神戸から山形に移ったんですけど、チームに求められているウインガーの役割が神戸とは違うやり方で、なかなか自分のプレーが出せなかったです。そこでもプレータイムが短くなっていって、最後はほとんどメンバーにも入れませんでした。神戸での基準を目指して移籍したので、苦しい半年でした。 

 
 プロ2年目の2024シーズン、泉は当時J3の大宮で38試合に出場して6ゴール・6アシストを記録。J2昇格に大きく貢献し、ベストイレブンに選出された。 そして、育った神戸から大宮へ籍を移した昨季は、ジェフユナイテッド市原・千葉にプレーオフ準決勝で大逆転負けして昇格を逃したものの、J2で35試合に出場して4ゴール・2アシストをマークした。順調な歩みにも映るが、裏には葛藤と試行錯誤があった――。――◆――◆―― 大宮での1年目は、自分的に手応えはなかったです。元々は左のウインガーで加入したんですけど、テツさん(長澤徹前監督)と出会って、システムの変更もあって、ウイングバックでプレーする機会が増えて、運動量や守備での貢献がより求められました。開幕戦では点を取れたんですけど、なかなか自分のプレーができなかったですね。ドリブルするにしても、後ろから出ていくので息が上がった状態だったりとか、数字は割と残せましたが、全然満足のいくプレーではなかったです。自分の中では悩んだ1年でした。 
 昇格を逃したのは、自分の得点やアシストが足りなかったからだと、かなり責任感を感じていました。 神戸で半年プレーしていたので、J1トップレベルの基準が物差しとしてあったなかで、ウイングバックを経験したり、テツさんから宮さん(宮沢悠生監督)に代わって、中盤がダイヤモンドの形で内側に入るプレーも増えたり…結構悩みながらやっていた2年間でした。 元々はバイタルエリアでドリブルや得意なプレーを出すのが軸だったんですけど、J1トップレベルの基準になると、守備のインテンシティを上げないと試合に出られないといったことや、バイタルエリア以外の部分での貢献がより重要になると感じました。 守備やフィジカル、ボールを持った時の迫力など、色んな壁にぶつかりながら、ひとつずつ壁を乗り越えて今があるのかなと思います。※後編に続く。次回は4月30日に公開予定です。取材・構成●保坂悠輝(サッカーダイジェストWeb編集部)