大河でも「女狐」キャラの吉岡里帆、”5年同棲”が称賛される小芝風花…朝ドラ同期の2人から「女ウケ」の謎を考える
吉岡里帆に定着した「あざとい」イメージ
NHKの朝ドラ『あさが来た』が放送されてから、10年が経った。
朝ドラの長い歴史のなかでも、この作品ほど、多くの役者を飛躍させた作品は珍しい。ヒロインを務めた波瑠はもとより、彼女を助け続ける盟友的存在を演じたディーン・フジオカが大ブレークして「おディーン様」という異名まで誕生。そして、もうひとり、ヒロインの娘の友人を演じた吉岡里帆もこれを機に広く知られることとなった。
役名は「宜(のぶ)」で、丸メガネをかけ、自分を「僕」と呼ぶユニークなキャラクター。実業家として成功したヒロインを熱烈に慕うところも、多くの視聴者に支持された。この作品でこの役をやっていなかったら、彼女の女優人生も変わったものになっていただろう。それこそ、10年後の今、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で主人公の妻を演じるようなポジションには到達できていなかったのではないか。
ただし『豊臣兄弟!』での慶(ちか)という役どころはかなりミステリアスだ。かつては敵方だった主人公に恨みを抱き、また、他の男と密会する謎の動きも。主人公の兄・秀吉の妻からも、
「街ではちょっとした噂になっております。男をたぶらかす女狐だと。(略)銭で男を買いあさっているとか」
と、言われてしまう。
この展開を見たとき、なるほどそう来たかと感じた人も多いだろう。吉岡といえば「あざとい」系というイメージで、それが活かされた「どんぎつね」というCM(日清食品・どん兵衛)での当たり役もある。そのぶん、男ウケに比べて女ウケは今ひとつという特徴も持ち、本人も少なからずそのあたりで葛藤してきた印象だ。
とはいえ『あさが来た』の時点では、女ウケも悪くはなかった。むしろこのとき、損な役回りとなったのは、ヒロインの娘・千代を演じた小芝風花だ。
女ウケ抜群の小芝風花
こちらもこの朝ドラでのブレーク組だが、圧倒的に支持されたわけではない。母の生き方に対し、最初は反発する生意気な設定だったため、ヒロインのファンには不評だったのだ。小芝自身、こう振り返っている。
「唇とがらせてツンツンしてたら、視聴者の方から『ふぐ千代』って言われるくらい、お母ちゃんの気持ちもわからんとって、意見をたくさんいただいたんですけど」
ところが、10年後の今、彼女はアンチの少ない好感度女優のひとりになっている。先日は小関裕太との熱愛が報じられたが、ネットニュースも好意的だ。それこそ「交際中に“フジテレビドラマ”で共演していた!“5年同棲”を隠し通したプロ意識に称賛の嵐」(LASISA)という見出しが躍った。これがもし、吉岡の身に起きたことなら、もっと辛口できつめの扱いになるのではないか。
とまあ、同じ朝ドラのヒロインオーディションに挑み、ヒロイン以外の役に起用されて注目されたふたり。吉岡同様、小芝も昨年の大河『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で主人公と恋仲になる花魁を演じて、存在感を示した。年齢は吉岡が4歳(学齢では5学年)上だが、ドラマや映画、CMなどでの実績は同じくらいといえる。
大きな違いは女ウケということになりそうだが、ではどこでそういう差が生まれてきたのか。そのあたりを解くキーワードが「ギャップ」というやつだ。
吉岡が「女狐」キャラになるまで
吉岡は「メガネっ子」で「僕っ子」というキャラで注目されたあと、それ以前からやっていたグラビア仕事でじつはいかにも男ウケしそうなナイスバディな美女であることが判明。『あさが来た』の翌年には『カルテット』(TBS系)で小悪魔っぽい女子大生を演じ、あの「どんぎつね」シリーズも始まって、どちらも高評価を得た。
さらに「『スッピン濡れ髪』で会いに行った佐藤健宅」(女性セブン)というスキャンダルまで報じられ、意外とあざとい系なのではというイメージが浸透する。そうしたギャップが出世作でのイメージを完全に上書きして、そのまま定着。『豊臣兄弟!』での「女狐」キャラに至るわけだ。
そのあいだの2022年には『しずかちゃんとパパ』(NHKBS)のような主演作も生まれた。彼女の役は、耳の不自由な父と長年二人暮らしをしてきたため、身振り手振りが大げさで、相手の顔の表情を見つめすぎる癖があり、それゆえ、バイト先のファミレスで同僚女子たちからウザがられたり、店長から気があると誤解されたりする設定だ。ある意味、当て書きのような設定であり、吉岡=あざといという図式が世のコンセンサスみたいになっている証明でもある。
小芝の武器は「押しつけがましくない芝居」
一方、小芝もまた『あさが来た』でのイメージを変化させていったわけだが、こちらは吉岡ほど劇的なかたちではない。持ち前のふわりとして、それでいて芯は強そうなキャラに合う役を堅実にこなしているうち、そのキャラがじわじわと認知されていった印象だ。
19年から22年にかけての『トクサツガガガ』(NHK総合)『妖怪シェアハウス』『モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜』(ともにテレビ朝日系)といった主演作は、女優的においしい作品だったのではないか。
それらが上手くいったのは、彼女の芝居に圧の強さや重苦しさがなく、押しつけがましくないからでもあるだろう。本人もこんなことを言っている。
「役の切り替えとか大変ですか、とかよく聞かれるんですけど、私は現場入ってからなので。私生活に役が影響するわけでもないので、カットかかったら、ウエ〜イ!って小芝に戻るので」
とことん役にのめり込むタイプの芝居が好きな人には物足りないかもしれないが、おかげで彼女は素に近い役はもとより、そうでない役もわりとフラットに、普通の女性っぽさを残したまま演じられる。それゆえ、役と本人を同一視されて嫌われる、というリスクも低いわけだ。
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【つづきを読む】ブレイクから10年「吉岡里帆」はなぜアンチが多いのか?朝ドラ同期・小芝風花との比較で見えた意外な答え
