消費税減税か、給付付き税額控除か…「1%」案の“折衷案”浮上も、税制改革議論で決して語られない〈2つのタブー〉
6月の中間とりまとめに向け、「税制改革」の行方について活発な議論が続いています。ただし、食料消費税ゼロを実現するためにはレジ改修などで膨大な時間を要することから、「ゼロではなく1%にしてはどうか」といった折衷的な案も浮上しています。こうしたなか、税制改革をめぐる議論ではほとんど語られない、財源確保に関する「現実的でありながら政治的に扱いづらい選択肢」が存在するようです。税制改革をめぐる3つの論点と「2つのタブー」について、本記事でくわしくみていきましょう。
消費減税は実現するのか?…「税制改革」をめぐる「3つ」論調
国民会議は、6月に予定されている税制改革に関する中間とりまとめに向けて、会議の内外からさまざまな意見が出されています。検討の前提となっているのは、高市早苗首相が所信表明で示した「2年間の食料消費税ゼロをつなぎとして、給付付き税額控除を導入する」という方針です。
主たる論調は以下の3点に集約されます。
(1)消費税減税には反対である。
(2)食料消費税ゼロを実施するためのレジ改修等については、労働力不足や技術的課題があり、短期間での対応が難しい。ただし、ゼロではなく1%であれば、時間短縮可能。
(3)2年間の減税は行わず、当初から簡易型の給付付き税額控除を導入するべきである。
日本の財政状況を踏まえ(1)を支持する意見もあるものの、高市首相としては、公に表明した方針を撤回することになれば内閣支持率が低下し、2027年の統一地方選挙等への影響が懸念されます。
(2)は、高市首相の意向を尊重しつつ減税を実施できることから、減税額が約600億円程度縮小できます。ただし、食料消費税の減税には、2年後に税率を8%へ戻す際、国民から減税継続や増税反対の声が強まるという弱点があります。
(3)は、食料消費税の減税を行わないため、高市首相に対する批判が高まる可能性はありますが、その代わりとして、「給付付き税額控除」により低所得者層や子育て世帯への支援が行われるため、批判は一定程度弱まると見込まれます。
問題は、(2)の場合に必要となる2年で約10兆円規模の財源の捻出方法と、(3)実施の場合の財政規模です。この点については、政治的な影響が大きいことから、表立って議論されにくい「2つのタブー」が存在します。
税制議論で決して語られない「2つのタブー」
1つは、消費税率の引き上げです。食料消費税の減税分を税率引き上げで相殺すれば、国庫に入る歳入額に増減はありません。
もう1つは、法人税における「赤字法人率」の改善です。2022年の赤字法人率は約65%であり、普通法人100社のうち65社が法人税を納付していません。赤字法人の多くは中小企業であることなどから、この2つの論点は、選挙を控える状況では票を減らす要因となり得るため、表に出にくい状況にあります。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
