三木道三(筆者提供)

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2001年に「一生一緒にいてくれや」のフレーズとともに日本の音楽シーンを席巻し、レゲエで初のオリコン1位を獲得した三木道三。

直後に引退し、一時は「死亡説」や「重病説」「服役説」まで流れたが、14年に「DOZAN11」として復活を果たすと、その後は絵本作家やNFTプロジェクト、スタートアップ支援会社設立など多方面で活動している。(山本智行 内外タイムス)

エイプリルフールに大バズリ

伝説のレゲエスターはいまなお健在だ。いまの若者はもう知らないかも、と思いきや、ネット上で話題を振りまいている。

たとえば4月1日、エイプリルフールの夜。自身のX(旧Twitter)に代表曲「Lifetime Respect」のサビの部分を持ち出し「ホントは一生一緒にいてくれやとは思ってないんだよね…」と逆手に取った投稿すると「ウソでもそんなこと言うな!」と、炎上気味に大バズリした。

本人は近年「ウソは午前中に言って、午後はネタばらし」というルールになっているのを忘れていたらしく、翌日に「スイマセン。ホントは一生一緒にいてくれやって思ってます…」と謝罪して撤回した。

過去にもXでしばしば投稿がバズっている。退職代行サービス「モームリ」に対抗した退職引き留めサービス「イテクレヤ」に「はいはい、三木道三三木道三」とリポストした際もコメント欄は大喜利状態に。また株価をリードする半導体最大手企業をもじった「一生一緒にエヌビディア」という株愛好家のネタをリポストしたところ「遂にご本人が!!」と話題になった。

心身の摩耗から引退

しかし、ここにいたるまでの半生は波瀾(はらん)万丈だった。英米中心の世界の音楽に対する反骨心と、その常識破りの創造性に衝撃を受け、ジャマイカのレゲエに傾倒。子どもの時に感じた「日本の音楽から日本語がなくなってしまうかも」「日本語の歌でも東京弁ばかりじゃ面白くない」という思いから関西弁のレゲエアーティストとして活動を開始した。

デビューから5年。2001年に出した「Lifetime Respect」が爆発的大ヒット。名ゼリフ「一生一緒にいてくれや」は永遠のラブソングとして歌い継がれている。

ところが、大ブレークから1年で突然の引退。その後の“沈黙”に「死亡説」や「重病説」「服役説」など不穏なうわさが流れた。中には「泉佐野でイタリアンレストランの店長やってる説」など笑えるものもあった。

実際のところは大ヒット後の全国ツアー中に、過去の交通事故の後遺症で体が悲鳴を上げていた。それと同時に「日本の素晴らしさを日本語で歌いたいと始めたものの、それを外国文化でやるということに限界や矛盾を感じ出した」という。

「それなら今後の活動についてじっくり考えながら手術、リハビリなどメンテナンスする時間をつくろう」。そこで一度ステージから離れた。

ところが、引退直後に旅行で訪れたブラジルで激しい腰痛に見舞われる。ヘルニアと診断され、そのまま2カ月寝たきり同然に。また昼夜逆転の制作活動がたたって自律神経の不調を起こすなど、しばらくは体調不良に苦しみ続けた。

その間「なんとかまたレゲエ歌手に復帰したい……」と願っていたかと思いきや、実はそうではなかった。ブラジルでサンバにハマったり、その後もトリニダード・トバゴなど行く先々の音楽に夢中に。「やはりレゲエが一番好き」と再認識するまでに10年近くかかったと笑う。

レゲエを神仏に奉納

転機は地元の奈良で900年近く続く「春日若宮おん祭」を見たこと。そこで、何百年もの間、古来の芸能を奉納し続けているのを見て「そうだ!日本のレゲエを日本の神仏に奉納していこう。それを何百年も続ければ、外国文化であったものも、いずれ立派な日本文化になる!」と思い立ち、14年に伊勢神宮へ奉納する形で12年ぶりに舞台復帰を果たした。

その後も、奉納活動が自身の日本文化に触れる絶好の機会になり、またそれは日本のビジネスマンが世界で戦うために必要なアイデンティティーの源泉になるものだと確信。その一方で日本の文化や精神がどんどん失われていっていることに危機感も覚え、次なる行動に出た。

コロナ渦中には大学院のデジタルコンテンツ研究科に入学し、下地を学ぶ。25年には大阪・北区にスタートアップへの投資を行うファンドを運営するために「株式会社DOZAN PARTNERS」を設立。また仲間を募り、関西から経済と文化を結びつけて日本を盛り上げようというカンファレンス「RISE KANSAI 2025」を開催した。

活動のベースは「日本上げ」

レゲエの第一人者が行う活動としては、一見意外なほど先進的な取り組みに思われるかもしれないが、DOZAN11に言わせれば、レゲエを使って「日本上げ」「日本最高」という思いを歌った「JAPAN一番」というデビュー曲の頃の思いの延長線上を進んでいるだけだ。

「日本には戦後の大衆向けのものから長い伝統を持つものまで素晴らしい文化がたくさんある。150年前の明治維新、80年前の敗戦で大きな断絶があったが、それらをつなぎ合わせて未来に残していきたい」

そのために「産官学」プラス金融の「金」を加えた「産官学金」というスタートアップのエコシステムの中に自身の本分でもある文化の「文」も加えた「産官学金文」のエコシステム構築に挑んでいる、とのことだ。

もちろん、フロントマンとしてもテレビ出演やライブ活動など精力的に活動中だ。4月25日には和歌山県御坊市のMOUNTQ特設ステージでの「FOREST THE BEAT」に出演。MCは和歌山公式インスタグラムアンバサダーの本谷紗己が務め、マークパンサー、原田真二、元ちとせらとともにライブを盛り上げる。

会場まで大阪から行く場合は往復バスでの移動となるが、大自然の中、夕暮れからたき火を楽しめるイベントとなっており、音に酔いながらリゾート気分を味わえるのは間違いない。DOZAN11は「レゲエは大阪がメッカ。特に南大阪が盛んで和歌山にもファンは多いので、お客さんと一緒に楽しみたい」と意気込んでいる。