見上愛さん(左)と上坂樹里さん

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3月30日に放送が始まった連続テレビ小説『風、薫る』。主人公の一ノ瀬りんを見上愛さん(25)、大家直美を上坂樹里さん(20)が演じる。明治期に看護師という職業の確立に貢献した大関和と鈴木雅をモチーフにしたバディドラマ。りんと直美の2人が、看護婦養成所で共に学び、患者や医師との向き合い方に悩み、ぶつかり合いながら成長し、やがては“最強のバディ”になっていく物語。原案は田中ひかるの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)。見上さんと上坂さんに作品にかける思いを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

【写真】りんと虎太郎は思い合っていたようだったが…

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まっすぐなりん、したたかな直美

物語は明治15年から始まる。17歳のりんは、那須の山裾の村で暮らす。父は元家老で愛情いっぱいの環境で育った。一方、東京で暮らす直美も17歳。教会の前に捨てられ、牧師に育てられた。貧しく厳しい生活を送るなかで、教会で学んだ英語を生かしていつかアメリカに渡ることを考えている。りん役はキャスティングで見上さんに、直美役はオーディションを経て上坂さんに決まった。

――りんと直美を演じるにあたって意気込みを聞かせてください。

見上:私が演じる一ノ瀬りんは、すごくまっすぐで優しい、それでいて少しうかつなところのある、愛らしい女性です。彼女の持つ強さと弱さのバランスを丁寧に演じていきたいと思っています。

上坂:直美はすごく人間味にあふれていて、生きることに貪欲。生きるためならプライドを捨てて「何でもやってやる」と思っているような、強さのあるかっこいい女性です。

――『風、薫る』はダブル主演です。お互いの第一印象は?

見上:初めて樹里ちゃんに会ったのは、昨年6月、直美役が発表された会見です。透明感がありすぎて、何にも染まっていないような印象を受けました。この樹里ちゃんが直美色になっていくのを隣で見られるのは、すごく幸せなことだろうなと。柔らかい雰囲気の中に、しっかりと芯の強さがあって、その強さが直美に通じる部分だと感じました。

上坂:見上さんに初めてお会いした時には、私は緊張しすぎて、会見の記憶があまりないんです。でも、私が緊張していることを知って、見上さんはいい意味でリラックスさせてくれました。隣にいるだけですごく心強い。もう本当に太陽みたいな方。現場でも周りをよく見ていて、りんに共通する部分がある。「ついていきたい」と思ってしまうようなたくましさと周りを巻き込む優しさを持っている方です。

――お互いに似ているところは?

見上:掃除が苦手なところ(笑)。食べ物の趣味も多分似ているよね。
上坂:シンパシーを感じる部分が多くて。今日、私は歯ブラシを持ってくるのを忘れてしまって、コンビニに買いに行ったんです。そうしたら、戻るタイミングで見上さんとすれ違って。

見上:私も歯ブラシを忘れてしまって。樹里ちゃんと同じ歯ブラシを買って一緒に歯磨きしました。似ているところはたくさんあります。どこでも寝られるところとか。

距離が縮まって


見上愛さん(左)と上坂樹里さん

――撮影が始まってから半年が過ぎました。りんと直美のようなバディ感は出てきましたか?

見上:ロケの時に、マネージャーさんも一緒にみんなでご飯に行きました。撮影時間が長いので、とにかく一緒にいる時間が長い。お互いに喋らなくても、なんとなく何を考えているのかわかるようになってきました。

看護についてのお稽古があるので、スタジオの前室で一緒に包帯を巻く練習をしたり、樹里ちゃんが台本を読んでいるところを、横から覗いて一緒に見たりすることもあります。

初対面の時に、「ゆっくりと関係を進めたいね」って2人で話していたのですが、その通りに、心地良い速度で距離が縮まっていると思います。

上坂:撮影中、動きが難しくてうまくいかない時に、見上さんが監督に「こうするのはどうですか?」「こうした方が直美は動きやすいよね?」と助け船を出してくれる。何回も見上さんに救われてきました。自分が頼ってもらうのはまだできていないので、残り半年、何か力になれることがあればいいなって思っています。

見上:私も樹里ちゃんに助けられています。「どういうタイミングでこのセリフを言ったらいいのかな?」と悩んだ時に、監督と話をしていたら、樹里ちゃんが来てくれて、「直美はこういう風にできます」と言ってくれて何度も救われました。樹里ちゃんは私より5歳下。私が20歳の時には樹里ちゃんのように言語化して、しっかり伝えることはできなかったです。

看護師へのリスペクト増した

りんと直美が生きる明治の世では、女性は「誰かの妻」になるしか生きる術がなかった。生きづらさを感じていた2人は看護婦養成所に通い、日本社会に「看護」を専門職として根付かせようと奮闘する。

――『風、薫る』では看護師という職業の確立が描かれます。

見上:クランクイン前から、自分が病気やけがをした時にお世話になった看護関係の方のことを思い出していました。もともとリスペクトはしていましたが、演じることになってより一層、尊敬の念が増しました。最初にシーツの敷き方や包帯の巻き方を練習したのですが、看護師さんがさらりとやってくださっていることが、すごく難しい。私たちが想像もつかないようなご苦労もあるんじゃないかと演じていて想像しています。りんと直美も「看護とは何か」を考えながら、看護婦になっていくと思っています。


(『風、薫る』/(c)NHK)

上坂:撮影で着る看護服を見た時に、素直に「かわいい」と思いました。着物を着ての撮影が多かったので、りんと直美が看護学校に入学して、みんなが看護服になった時には「世界が変わった」と感じました。明治時代、社会が大きく変わっていくなかで、りんと直美が看護の道を切り拓いていきますが、看護の稽古は私も難しくて、看護師さん含め医療従事者の皆様へのリスペクトを持ちました。

――第1週と第2週では、栃木で暮らすりんと、東京で厳しい生活を送る直美の背景が描かれます。

見上:今はドラマの中盤を撮影しているのですが、第1週での出来事をりんは思い出しながら前に進んでいます。りんが看護婦を目指そうと思った出来事が詰まっているので、第1週の試写を見た時には身が引き締まるような気持ちになりました。第1週と2週は、りんと直美にとって、看護婦になる決断をするのに大切なエピソードが描かれるので、見逃さずにしっかりとご覧いただけたらと思います。

上坂:撮影が始まってから、早く皆さんに見ていただきたいと放送を楽しみにしてきました。第1週は、りんと直美にとってのすごく大事な始まりの物語が描かれます。半年間、ぜひ、『風、薫る』を楽しみにしていただけたらうれしいです。