クロスオーバーSUVになった新型「リーフ」

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日産「新型リーフ」SUV化でどう進化?

 2025年1〜12月に国内で新車販売された小型/普通乗用車の中で、モーターを搭載しない電気自動車の割合は、わずか1.4%に過ぎませんでした。ハイブリッドが47%を占めたのに比べると、その販売比率は圧倒的に少ないのが現状です。

 日本で電気自動車が普及しない背景には複数の理由がありますが、筆頭に挙げられるのは車種数の少なさでしょう。

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 小型/普通車市場で50%のシェアを誇るトヨタでさえ、2026年3月時点で国内販売している電気自動車は「bZ4X」「bZ4Xツーリング」、レクサスは「RZ」のみ。そのほかのメーカーも1〜2車種に留まるケースが多く、シェア1.4%という数字も納得せざるを得ません。

 車種不足ゆえに普及が進まない電気自動車ですが、最近はトヨタのbZ4Xツーリング、スバルの「トレイルシーカー」、スズキの「eビターラ」など、選択肢も少しずつ増え始めています。

 既存モデルも着実に進化を遂げ、日産「リーフ」がついに3代目へとフルモデルチェンジを果たしました。量産電気自動車として3代目を迎える車種は、極めて珍しい存在といえます。

 ラインナップは、78kWhの駆動用電池を搭載した「B7」が2025年10月、55kWhで価格を抑えた「B5」が2026年1月にそれぞれ発表されました。

 先代の2代目リーフはプラットフォームを初代から継承していたため、走行安定性や乗り心地に不満を感じる場面もありましたが、新型はその点も抜かりありません。日産の最上級電気自動車「アリア」をベースに開発され、走りの質感は大きく向上しています。

 外観も大胆に刷新されました。先代のミドルサイズ・5ドアハッチバックから、新型はクロスオーバーSUV風のスタイルへと変貌。フェンダーにはホイールハウスやボディ下部を縁取る樹脂パーツが備わり、タイヤサイズも18〜19インチへ拡大されたことで、力強い迫力を感じさせます。

 さらに注目したいのが、フロントドアの電動格納式ドアハンドルです。乗降時には外側へせり出し、走行を開始すると自動的に格納されるタイプが採用されました。

 内装における特徴は、最近の日産車に共通するD字型ステアリングホイールです。開発者にこのデザインの意図を尋ねると、次のような答えが返ってきました。

「今はメーターの情報量が増え、ディスプレイも大型化しています。視認性を確保しようとするとステアリングが大径化してしまいますが、D字型なら左右に広がりを持たせつつ、操作しやすいサイズに収められるのです」

 一方、販売店ではこのような声も聞かれました。「ステアリングの形状について、お客様から特に不満は出ません。むしろ12.3インチのメーターと日産コネクトディスプレイが並ぶ配置については、お客様によって馴染みやすさが分かれますね」

 シートに目を向けると、上級の「G」グレードでは前席が電動式になり、腰の張りを調節できるランバーサポートも完備されています。

 後席にも相応の空間が確保されました。身長170cmの大人4名が乗車した際、後席の頭上には握りコブシ半分程度、膝先にはコブシ2つ分の余裕があります。

 ただ、床下に電池を積む電気自動車なので床が少し高く、座面との間隔は不足気味。長身の人が座ると膝が持ち上がり、大腿部が座面から浮きやすいため注意が必要です。

驚くほど滑らかで力強い加速感がスゴい!

 リーフはモーター駆動の純粋な電気自動車なので加速は極めて滑らかで。アクセル操作に対して駆動力が機敏に反応するのもモーターの特性です。登り坂での踏み増しでも即座にパワーが立ち上がり、失速することなく軽快に登っていけます。

 55kWh電池を積む「B5・X」と「B5・G」は、WLTCモードで469kmの航続距離をマーク。その動力性能は、ガソリン車の2.5リッター前後に相当する力強さです。

 一方、78kWhの「B7・G」は一回の充電で685kmの走行が可能。こちらは出力も高められており、ガソリン車換算で2.8〜3リッタークラスのパフォーマンスを誇ります。

 重い電池を床下に配置しているため重心が低く、走行安定性も優秀です。峠道では鼻先が軽快に向きを変えますが、揺り返しが少なく挙動も乱れにくいため、高速道路の横風にも動じません。

 最小回転半径は5.3m。小回り性能も高く、街中での扱いやすさも光ります。

クロスオーバーSUVになった新型「リーフ」

 乗り心地については、時速40km以下の荒れた路面では細かな振動を拾いやすいものの、突き上げ感はマイルド。時速60km前後に達すれば、快適なクルージングを楽しめます。

 一点、留意しておきたいのがロードノイズです。エンジン音がしない電気自動車は静粛性が高い分、タイヤが路面を叩く音が相対的に目立ちやすく、気にする人がいるかもしれません。

 グレード構成は、55kWh(B5)が3種類、78kWh(B7)が2種類の展開です。長距離ドライブの機会が少なければ、55kWhの「B5・X」(473万8800円/消費税込、以下同)で十分でしょう。

 最廉価の「B5・S」(438万9000円)より34万9800円高価ですが、電力消費を抑えるヒートポンプシステムを搭載。インテリジェントアラウンドビューモニターなどの安全装備や、日産コネクトの機能も充実しており、実用性は非常に高いです。

 2026年3月中旬時点で国から129万円の補助金が出るため、B5・Xの実質的な価格は344万8800円まで下がります。自治体独自の補助金が加わるケースもあるでしょう。

 ロングドライブを重視するなら、やはり78kWhの「B7」が推奨されます。航続距離は前述の通り685km。選ぶなら最上級の「B7・G」がお勧めで、電動シートやアダプティブLEDヘッドライトなどの豪華装備が加わります。

 B7・Gの価格は599万9400円。補助金129万円を差し引いた実質価格は470万9400円となります。

 もし予算に余裕があるなら、40万9200円の「プロパイロット2.0」を含むセットオプションも検討したいところ。ハンズオフ運転支援が可能になるため、長距離移動の快適性と安全性は飛躍的に高まります。

 2種類のバッテリーと多彩なグレードを用意し、幅広いニーズに応える新型リーフ。日本の電気自動車市場において、今なお主力車種といえるでしょう。