その分、1日1食しか食べられない状態だ。

「先輩にごちそうされることもあります。お腹はパンパンでも、酔っ払って『酒マンチ』になっているので食欲はあるんです。それでたくさん食べるのですが、胃が終わっているので、最後は先輩の目の前で全部吐いてしまいます」

◆病院で「見たことない数値が出た」

ここまで読んできて分かると思うが、CANTAさんはアルコール依存症である。病院にもしばらく行っていなかったが、昨年末にようやく血液検査を受けた。

「翌朝、病院の先生から電話が来て、『見たことない数値が出た』と言われたんです。そこから『今日、予約を取るので来てください』ということで、全身検査を受けました」

急いで病院へと向かったCANTAさん。健康診断におけるγ-GTは一般的に40〜60が平均値とされるが、彼は「1100」という数字を叩き出した。

筆者は「2410」のため、「なんだ半分か」と思ったが、そもそも2人とも数値が異常なため話にならない。本来は100を超えただけでも、脂肪肝、肝炎、肝硬変、胆道疾患の疑いがあるのだ。

「それでも、糖尿病、肝硬変、がんは全部平均値でした。肝臓の数値もγ-GTだけが高いようで、医者からは『肝臓強いね』と言われました。それを聞いて安心して、今も飲んでいます」

何も問題は解決していないのだが、いざ体を壊して初めてアルコール依存症に気づくものである。幸か不幸か、アルコール耐性が強すぎる我々は、「その日」が来るまで浴びるように酒を飲んでしまうのだ。

◆買いだめせず、都度買いに行くのはなぜ?

そんなCANTAさんが酒に溺れ始めたきっかけは、ありふれた出来事だった。

「20歳の頃働いていたアルバイト先が、休む間もないくらい忙しかったんです。でも、仕事終わりに汗だくでビールを一気に飲んだとき、初めて『酒がうまい』と思ったんです」

そこで、酒の味を覚えたCANTAさん。とあるコンビニのオーナーと仲良くなり、廃棄の弁当や発泡酒を無料でもらうようになった。

「すぐに酔っ払いたかったので、ワンカップを挟んだことがありましたが、周囲から『それはやめろ』と言われてやめました。意外と高いですしね。今はアパレルショップの目の前がコンビニなので、毎日お酒を買っています。店員さんとも仲良くなって、たまにビールなどを奢ってくれるくらい顔なじみになっています。ほかのコンビニでも毎日買っているので、自然と缶に刺して飲むためのストローが出てくるようになりました」

何度も買いに行くのは面倒ではないか?

「段ボールで箱買いしたほうが安いはずですが、それは『なんか違う』と思うんですよね。ワンカップのように、『それをやったらおしまい』な気がするんですよ」

ここまで読者がどれほど感情移入しているかは分からない。でも、筆者は痛いほどCANTAさんの言っていることが分かる。買いだめしていると、いよいよ毎秒飲んでしまうのではないかという不安に襲われるのだ(実際、すでに飲んでいるのだが……)。

◆酒のおかげで店を始めたし、結婚もした

こうして毎日、504グラムのアルコールを摂取しているCANTAさん。普段から吐き気とむくみが当たり前……。でも、飲まないと仕事にならないのだ。

「人見知りなため、シラフだと接客もできないんですよ。それでも、酔っぱらっていれば酒の勢いで話しかけられるんです。というか、飲まないと会話したくないんです」

いくら、アルコール依存症だと言われても、何度も酒の力に助けられてきた。

「誰もいない新天地に飛び込んだのも、お店を始めたのも、結婚も全部酒の勢い。今はブランドもやっているのですが、それも酔っぱらったときに考えたデザインを採用してもらっています」