現地の子どもたちにファンサービスをする鈴木。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 正直、囲み取材に集中できなかった。

 4か月のリハビリ期間を経て代表復帰した鈴木彩艶選手が記者団の質問に対して丁寧に答えていた。それでも、自分の意識はプレスルームの窓に向いてしまう。

 現地時間3月25日、日本代表が練習を行なったダンバートンFCのプレスルームにはいくつか窓があり、そこを覗くと選手を出待ちしているスコットランド人の子どもたちもいた。彼らが騒ぎ出したのは、鈴木選手がミックスゾーンに姿を見せた瞬間だった。

 鈴木選手の写真を掲げて、窓に頬をくっつけてアピールする子どももいる。彼らにとって、鈴木選手はスーパーヒーローのようだ。

 ただ、その光景は鈴木選手の視界に入っていない。記者団に向き合う彼の背後に、窓越しの子どもたちがいる位置関係だったからだ。
 
 そんな状況では、集中などできない。子どもたちが窓越しにこれでもかとアピールする姿を見て不覚にも笑ってしまった。もちろんその様子に鈴木選手が気づくことはなかったが、それほど子どもたちの振る舞いは愛おしかった。

 鈴木選手の囲み取材が終わろうとしたタイミングで、記者のひとりが「ああやって写真を掲げているファンがいます」と伝えると、鈴木選手は「ということなので、行きます」と彼らのもとに向かっていった。

 その後、鈴木選手が手厚いファンサービスをしたことは言うまでもない。人格者ならではの神対応──。この守護神の人柄を映し出す、微笑ましい光景だった。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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