ホンダ新型「CR-V」ついに発表! 大幅進化の「リアルタイムAWD」で思い通りに曲がる! 雪上試乗で見えた「熟成の“機械式”四輪駆動」の真価とライバルSUVを脅かす実力とは?【試乗記】
進化したハイブリッドと熟成のメカ式AWD
それはまさに「待望の」と言っていいでしょう。2026年2月26日、ついに“燃料電池車ではない”ホンダ新型「CR-V」が発表されました。
グレードはスポーティに仕立てられた「RS」と専用にブラックの意匠を施した「RS BLACK EDITION」のみ。パワートレインはハイブリッドです。
【画像】超カッコいい! これがホンダ新型「CR-V」の姿です!(30枚以上)
幸運にも筆者(工藤貴宏)は、発売直後のCR-Vにスタッドレスタイヤを装着し、閉鎖された雪上テストコースを走る機会を得ました。その印象をお伝えしましょう。
まずはメカニズムのおさらいから。新型CR-Vのパワートレインは、全車とも2.0リッター自然吸気エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド。
エンジンは直噴化され、電動ユニットは従来の2モーター同軸配置から、電気式CVTを組み合わせた並行軸配置へと変更されました。
つまり、現行型のホンダ「アコード」と基本的に同様のパワートレインというわけです(ただしアコードはFFのみ)。
モーターのトルク向上と許容回転数の引き上げにより、加速はより力強く、伸びやかになっています。
さらに新型CR-Vには「ロックアップLow」という新制御が追加されました。これまでエンジン直結は主に高速域に限られていましたが、新型では低速域でも効率の良い領域を選び、エンジン出力をダイレクトに駆動力として使う制御(ローギア直結)を採用しています。
これは欧米市場での牽引能力向上という狙いもあるとのこと。このクラスのフルハイブリッドSUVとしてはライバルを上回る牽引性能を備えており、日本でもトレーラーを使用するユーザーには大きな意味を持つでしょう。
新型CR-VのリアルタイムAWDには、ライバルと大きく異なる特徴があります。それはプロペラシャフトを用い、機械的に後輪へ駆動力を伝えている点です。
このクラスでは、トヨタ「RAV4」、日産「エクストレイル」、三菱「アウトランダーPHEV」など、後輪をモーターのみで駆動する“電動AWD”の採用例が増えています。
しかしCR-Vはハイブリッドでありながら、エンジンやモーターのトルクを機械式に後輪へ配分するシステムを継続採用。
自然な前後トルク配分が可能であることに加え、後輪用モーターが不要なため荷室床下スペースを確保できるというパッケージング上の利点もあります。
この新型AWDの進化点を2つ挙げておきましょう。1つ目は前後トルク配分。従来型が「前60:後40」だったのに対し、新型は「50:50〜60:40」へと変更。状況に応じてより多くのトルクを後輪へ配分します。
前輪の負担が減ることで旋回方向へ使えるグリップが増え、「舵が効きやすい=曲がりやすい」特性を実現しています。
2つ目は制御の進化。従来はアクセル開度や車輪速、前後・横Gなどをもとに制御していましたが、新型ではヨーレートやステアリング操作まで加味しています。
車両状態だけでなく、ドライバーの旋回意志まで推定しながら駆動力を配分します。より自然で、ドライバーの期待に沿う挙動を目指した進化です。
雪上で見せた「思い通り」の走り
試乗当日の路面は、雪解け後に再凍結した全面アイスバーンの上に雪が積もった状態。かなり滑りやすいコンディションです。
試乗車はブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「ブリザックWZ-1」を装着。タイヤ性能の高さもありますが、それでも車両の素性ははっきりと現れます。

まず発進。「これほど滑りやすい路面で、ここまでスリップ感なく加速できるのか」と驚かされました。
前輪駆動ベースでありながら、前輪が空転してから後輪が駆動するのではなく、発進の瞬間から4輪へ駆動力が配分されます。
スリップを検知してからAWDになるのではなく、最初からAWDとして動き出す。この安心感は大きいものです。
コースを走って印象的だったのは、ドライバーの意思通りに曲がること。旋回中にややアンダーステア気味になり「外へ膨らみそうだ」と感じた瞬間にアクセルを緩めると、クルマは自然にイン側へ向きを変えます。「曲がらない」というヒヤリとする場面が減るのです。
開発者はこう語ります。「雪道で怖いのは交差点などで“曲がらない”状況です。新しいCR-VのAWDなら、そんなときはアクセルを戻せばしっかり向きを変えます。」
逆に、十分に旋回している場面ではアクセルオンでリアへ多めにトルクが配分され、テールスライド気味に気持ちよく曲がることも可能。
前輪は旋回にグリップを使い、後輪が車体を積極的に回頭させる。この感覚は実に爽快です。
アクセルオフでスッと向きを変え、アクセルオンで気持ちよく曲がる。滑りやすい雪道でも安心で楽しく、そして心地よい走りを見せてくれました。
もちろん“速度の出し過ぎ”や“急の付く操作”は禁物です。しかしそれさえ守れば、舗装路と大きく変わらない安定感と扱いやすさを感じさせます。
雪道に不安を抱くドライバーには安心を、腕に覚えのあるドライバーには楽しさを提供してくれるでしょう。

なお、ホンダは次世代パワートレインに後輪モーター式の電動AWDを採用する見込みです。つまり新型CR-Vは、機械式AWDを搭載する最後の世代となる可能性が高いのです。
いわば「熟成された最後のメカ式AWD」。その完成度は、あえて味わう価値がある―そう感じさせる仕上がりでした。
