ロジクールG「PRO X2 SUPERSTRIKE」レビュー ラピトリ×ハプティックの新体験。“静音派”にもオススメな次世代ゲーミングマウス
2020年代に入って、ゲーミングキーボード界に革命を起こした「ラピッドトリガー」。押下距離をコンマ1ミリ単位で認識できるキースイッチを搭載することで、0.1mm押すとオン/0.1mm離すとオフという精密かつ高速なキー入力を可能にし、昨今のFPSゲーマーの間では必須の機能になるなど、ゲーミングデバイス界隈では久しぶりに大きなムーブメントとなった。
そのラピッドトリガーを“世界で初めてゲーミングマウスに搭載した”のが、ロジクールGの「PRO X2 SUPERSTRIKE」だ。本製品は、同ブランドが展開する「PRO」シリーズのマウスをベースに、磁気式スイッチと触覚フィードバックを組み合わせた「HITS」をメインクリックボタンに搭載。ラピッドトリガー対応を果たすだけでなく、クリック感をカスタマイズできる新機能を備えた次世代モデルだ。
本稿では、世代交代を遂げた「PRO X2 SUPERSTRIKE」のレビューをお届け。外観から「HITS」のクリック感、ラピッドトリガーの効果まで、本製品の魅力を紹介していく。
遂に発売を迎える「PRO X2 SUPERSTRIKE」。その全貌を紹介していこう
伝統の「PRO」形状。重量やセンサースペックは「SUPERLIGHT 2」とほぼ同じ
まずは「PRO X2 SUPERSTRIKE」の外観や形状、スペックを確認していこう。本製品は「PRO」シリーズのゲーミングマウスで初めて「X2」を名乗るモデルということもあり、外観は「PRO X2」や「SUPERSTRIKE」のワードを散りばめ、世代交代を印象付ける少し派手なデザインとなっている。eスポーツの大会などで選手が使っていれば、すぐに「PRO X2 SUPERSTRIKE」だとわかるだろう。
カラーはホワイトの一種類のみで、ゲーミングマウス定番の「ブラック」やロジクールGお得意の「マゼンタ」はラインナップされていない。これはモデルを最小限にすることで、少しでも早く「PRO X2 SUPERSTRIKE」を市場に展開する狙いがある。なお、公式表記は「ホワイト」だが、クリックボタンはブラックのため、正確にはツートンカラーとなっている。
【「PRO X2 SUPERSTRIKE」の外観】
ホワイトとブラックのツートンカラーが印象的な外観
親指側には「X2」と大きくプリントされ、世代交代を印象付けるデザインだ
小指側には「SUPERSTRIKE」と書かれている
重量削減のため、ロゴのライティング機能はない
裏面の様子。マウスソールは「PRO X SUPERLIGHT 2」と互換性がある
裏蓋を外すとレシーバーが出現。ワイヤレス充電マウスパッド「POWERPLAY 2」にも対応している
形状は、2020年12月に発売された初代「PRO X SUPERLIGHT」から変わらない伝統の左右対称デザインで、サイズも125×63.5×40mmとそのまま。「PRO」シリーズのマウスを使用しているユーザーであれば、握り心地に違和感を覚えることはないだろう。
重量は61gで、2023年10月に発売された2代目「PRO X SUPERLIGHT 2(60g)」と比較すると微増している。だが、後述する新機構「HITS」を搭載していながら、わずか1gの重量増にとどまっているのは、素直に評価したいポイントだ。
【「PRO X2 SUPERSTRIKE」の形状・重量】
初代「PRO X SUPERLIGHT」から続く伝統の左右対称デザイン。右手親指側に2つのプログラマブルボタンを搭載している
右手小指側にボタンはなく、実質的に右手専用となっている
筆者が普段ゲームで使用している初代「PRO LIGHTSPEED」と比較
握り心地はほとんど変わらない
だが、初代「PRO LIGHTSPEED(ガラス製ソールに交換)」が実測80gなのに対して……
「PRO X2 SUPERSTRIKE」は実測60g。別物レベルで軽い
そのほかのスペックについても「PRO X SUPERLIGHT 2」から引き継がれており、センサーは最新世代の「HERO 2」を搭載。最大解像度44,000dpi、最大加速88G、最大速度888IPSを実現し、レポートレート(ポーリングレート)も最大8,000Hzに対応している。
接続は、ロジクールG独自のワイヤレス接続「LIGHTSPEED」またはUSB Type-Cによる有線接続に対応。バッテリー持続時間は最大90時間で、こちらは「PRO X SUPERLIGHT 2(最大95時間)」から微減となっているが、必要十分と言えるだろう。
【「PRO X2 SUPERSTRIKE」のスペック】
センサーは「HERO 2」を搭載
無線接続はロジクールG独自の「LIGHTSPEED」。最大8,000Hzのレポートレートに対応している
接続端子はUSB Type-C。有線接続時のレポートレートは最大1,000Hzとなっている
【ロジクールG「PRO」ゲーミングマウス現行モデルを比較】 PRO X2 SUPERSTRIKE(本製品) PRO X SUPERLIGHT 2(2 Dex、2c含む) PRO X SUPERLIGHT PRO 2 LIGHTSPEED 形状 左右対称/右手専用 左右対称/右手専用(2 Dexのみ左右非対称/右手専用) 左右対称/右手専用 左右対称/両手対応 ボタン数 5個 5個 5個 8個 メインクリックボタン HITS LIGHTFORCEスイッチ メカニカルスイッチ LIGHTFORCEスイッチ センサー HERO 2 HERO 2 HERO 25K HERO 2 解像度 100~44,000DPI 100~44,000DPI 100~25,600DPI 100~44,000DPI 最大加速 88G 88G 40G 88G 最大速度 888IPS 888IPS 400IPS 888IPS 接続 無線(LIGHTSPEED)/有線(USB Type-C) 無線(LIGHTSPEED)/有線(USB Type-C) 無線(LIGHTSPEED)/有線(MicroUSB) 無線(LIGHTSPEED)/有線(USB Type-C) レポートレート 8,000Hz(LIGHTSPEED)/1,000Hz(有線) 8,000Hz(LIGHTSPEED)/1,000Hz(有線) 最大1,000Hz 最大1,000Hz(別売の「PRO LIGHTSPEEDレシーバー」で8,000Hzに対応) バッテリー寿命 最大90時間 最大95時間 最大70時間 最大95時間 サイズ 125×63.5×40mm 125×63.5×40mm (2 Dex:125.8×67.7×43.9mm、2c:118.4×61.2×38.6mm) 125×63.5×40mm 125×63.5×40mm 重量 61g 60g(2cのみ51g) 63g 80g 発売日 2026年2月19日 2023年10月13日(2 Dex、2cは2024年10月29日) 2020年12月22日 2024年10月29日 税込価格(2026年2月現在) 29,150円 26,950円 22,220円 15,620円付属品として、USBケーブル(A to C)、レシーバー延長アダプター、グリップテープ、クリーニングクロス、マウスソール付きのPOWERPLAYアパーチャドアが同梱されている。特に「PRO X2 SUPERSTRIKE」をはじめとする「PRO」シリーズのマウスは、表面がサラサラとしているため、グリップテープが付属するのはありがたい。
付属品はUSBケーブル、レシーバー延長アダプター、グリップテープ、クリーニングクロス、POWERPLAYアパーチャドア、説明書類と豊富
「PRO」シリーズのマウスは表面がサラサラとしているため、グリップテープがあるのはありがたい
USBケーブルとレシーバー延長アダプターを使うことで、よりマウスに近い位置にレシーバーを配置できる
マウスソールが付いたPOWERPLAYアパーチャドア。より滑りにくくなるため、お好みでチョイスしたい
遂にマウスにもラピトリ! クリック感をカスタムできる世界初の「HITS」
ここまで見てわかるように、マウスの形状や搭載しているセンサーは現行モデルから変わっていない。これは、世界中のeスポーツ選手に愛用され、確固たる地位を築いた「PRO」シリーズのマウスだからこそであり、新しいモデルに買い替えてもこれまでと同じような感覚でゲームをプレイすることができるのだ。
「PRO X2 SUPERSTRIKE」はそこからさらに一歩進み、ゲーミングマウスに革命をもたらす秘密兵器を備えた。それがメインクリックボタンに搭載されたハプティック誘導トリガーシステム「HITS」だ。
「PRO X2 SUPERSTRIKE」のクリックボタン。ここに秘密兵器「HITS」が内蔵されている
ご存知のように、2020年代に入ってゲーミングキーボードには「ラピッドトリガー」が搭載されるようになった。これは、キーの押下距離をコンマ1ミリ単位で認識できるスイッチを搭載し、入力がオンになるポイント(アクチュエーションポイント)に対して、入力がオフになるポイント(リセットポイント)が追従することで、キーを少しでも戻すと入力が切れ、そこから押すと再び入力される。
これによって、キーを押したり離したりする距離を最小限にでき、より高速な入力を可能にしているのだが、このラピッドトリガーをマウスで実現するための新システムが「HITS」だ。ロジクールGはゲーミングキーボードへのラピッドトリガー導入が遅れていたのだが、この遅れを取り戻すかのように、ゲーミングマウスでのラピッドトリガーは「PRO X2 SUPERSTRIKE」が“世界初”となった。
画像はロジクールG初のラピトリ対応ゲーミングキーボード「PRO X TKL RAPID」(2024年10月発売)
ゲーミングマウスでは世界初のラピトリ対応となる「PRO X2 SUPERSTRIKE」。革新のロジクールGが帰ってきたと言えるだろう
「HITS」の構造は、ラピッドトリガー対応のゲーミングキーボードと似ており、クリックボタンには磁気式スイッチを採用している。だが、磁気式スイッチは「カチッ」とした明確なクリック感がなく、マウスに採用すると“クリックしたかどうか”がわかりにくい。そこで「PRO X2 SUPERSTRIKE」はマウス内部に触覚フィードバックを搭載した。
これは、PS5純正コントローラー「DualSense」のハプティックフィードバック、Switch純正コントローラー「Joy-Con」のHD振動などと同じく、きめ細かく振動するユニットを内蔵することで、疑似的なクリック感を生み出している。つまり「HITS」は磁気式スイッチと触覚フィードバックの合わせ技なのだ。
実際、電源オフの状態だとクリック感は全くないのだが、電源をオンにすると「カタッ」というクリック感が生まれる。音は静かだがメリハリのある感触で、少しわかりにくいかもしれないが、MacBookなどに搭載されている「感圧タッチトラックパッド」と似ている。
「HITS」は磁気式スイッチと触覚フィードバックの合わせ技
直接中を見ることはできないが、隙間から見てもかなり複雑な構造をしている
触覚フィードバックによるクリックの感触は、MacBookの「感圧タッチトラックパッド」に近い
世界初の「HITS」によって、「PRO X2 SUPERSTRIKE」はメインクリックボタンのアクチュエーションポイントを10段階から変更でき、そこに5段階のラピッドトリガーを組み合わせ可能。さらに、クリック感を生み出す触覚フィードバックの強度を6段階から変更できる。史上初めて“マウスのクリック感”をカスタマイズできるゲーミングマウスなのだ。
これらの要素は、ゲーミングソフトウェア「G HUB」から設定可能。実際にクリックボタンがどれだけ押下されているかも確認でき、直感的なカスタマイズが可能だ。なお、デフォルトではアクチュエーションポイント「5」、ラピッドトリガー「オフ」、触覚フィードバック「3」となっているが、この数値は「PRO X SUPERLIGHT 2」のクリック感に近い感触を再現している。
なお「HITS」を搭載しているのはメインクリックボタンのみで、サイドボタンやスクロールボタンには採用されていない。
詳細な数値は発表されていないが、スイッチの押下距離は1mmほど。AP調整機能は10段階なので、0.1mmが1段階だと思われる
「G HUB」で各項目を設定可能。APの設定では、実際にどれだけ押しているかも確認できる
ラピッドトリガーは5段階から変更可能。「1」にすると、指の力を少し抜くだけで入力がオフになる
触覚フィードバックはオフを含む全6段階。数値を「4」以上にすると、消費電力が高くなる警告が表示される
マウスのラピトリはブレイクスルー。クリック音は静かで静音派にもオススメ
今回は発売前に3週間ほど、仕事からゲームまでみっちりと「PRO X2 SUPERSTRIKE」を使用した。まず握り心地は安定の「PRO」シリーズらしく、かぶせ/つかみ/つまみのどの持ち方でもグリップしやすい。比較的手の大きい筆者でも、しっかりと握ることができるクセの少ない形状だ。
だが、メインクリックボタンに搭載されている「HITS」の影響なのか、重量バランスが若干フロントヘビーとなっている。要するにフロント側が重く、リア側が軽いので、素早くフリックした時に前側が少し振られてしまう感覚がある。筆者はかぶせ持ち派なので操作に大きな影響はないのだが、つかみ持ち派の方はグリップにコツがいるだろう。
比較的手の大きい筆者でもしっかりと握ることができる。一方で重量バランスが少しフロントヘビーなのが少し気になった
次に「HITS」のクリック感だが、筆者の場合はすぐに慣れてしまった。むしろ、ゲーミングマウスにありがちな「カチカチ」という高い音を発さず、静かに「カタカタ」とフィードバックしてくれるので、仕事ではより作業に集中することができた。
また、クリック感は犠牲になるが、触覚フィードバックをオフにして“ほぼ無音”にすることも可能。ゲーマーのみならず、静音派にもオススメしたい究極の静音マウスだ。加えて「HITS」は構造上チャタリングが発生しないため、耐久性も向上している。
触覚フィードバックによるクリック感は一般的なゲーミングマウスよりも静かで、作業により集中することができた
触覚フィードバックはオフにすることも可能。クリック感は犠牲になるが、ほぼ無音にできる
そしてゲームでの使用感。先述のように「PRO X2 SUPERSTRIKE」は世界初のラピッドトリガーを搭載したゲーミングマウスだが、その威力はすぐに体感できるレベルだ。今回は「Apex Legends」や「VALORANT」といったFPSゲームを中心にプレイしたのだが、従来のゲーミングマウスと比較して単発武器をより速く撃てるほか、タップ撃ちの精度向上も確認できた。
筆者の場合は、アクチュエーションポイント「4」、ラピッドトリガー「2」、触覚フィードバック「1」がゲームプレイ中はしっくりきた。ラピッドトリガーをオンにすると、より高速なクリック入力が可能になる一方で「カタカタカタカタ」という振動が少し煩わしくなってくる。そこで触覚フィードバックを最小限にした形だが、感覚を掴めればオフにすることもできそうだ。
また「HITS」は従来のマイクロスイッチと比較して、クリック遅延を最大30ms(0.03秒)短縮しているという。今回はここまでの検証はできなかったが、ラピッドトリガーやクリック感のカスタマイズを実現した「HITS」は大きなブレイクスルーといえる。
マウスのラピッドトリガーは単発武器の連射、タップ撃ちなどで効果を実感
今回は「PRO X TKL RAPID」を使用したが、ラピトリ×ラピトリが勝利への近道となりそうだ
ロジクールGの威信をかけたゲーミングマウス。今後の「HITS」搭載モデルにも期待
ここまで「PRO X2 SUPERSTRIKE」のレビューをお届けしてきた。本製品は、間違いなくロジクールGの威信をかけたゲーミングマウスであり、新しい「HITS」はクリック感を残しつつもマウス入力を次のレベルへ引き上げるブレイクスルーだ。
今回の「PRO X2 SUPERSTRIKE」を機に、ラピッドトリガーを搭載したゲーミングマウスが各社から今後登場することが予想される。だが、キースイッチやマイクロスイッチのような汎用品はまだ存在せず、その道のりは決して簡単ではないはずだ。その間に“マウスのラピトリ”がゲーマーにどう浸透していくのかが今後の鍵となるだろう。
現状はホワイトのみラインナップされているが、やはり筆者としてはブラックやマゼンタといったカラーバリエーションに期待したい。また“クリック感オフ”という極限に辿り着いたゲーマーが多くいれば、触覚フィードバック非搭載の軽量モデルがラインナップされる……可能性もあるだろう。世界初を勝ち取ったロジクールG、今後の「HITS」の展開にも期待したい。
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