ガンバ中野伸哉の今。ブレイクスルーを果たせなかった過去の自分に決別を。「とにかく試合に出たい」そのために「やるべきことをやる」
中野と言えば、早くから将来を嘱望されてきた。2019年のU-17ワールドカップに高校1年生で出場し、当時所属していたサガン鳥栖では、2020年8月1日の第8節・FC東京戦でJ1のピッチに立つ。16歳11か月15日でのデビューは当時のクラブ史上最年少出場記録だ。
クレバーなタイプの左SBとしてステップアップし、2021年に開催された東京五輪を戦ったチームでは、飛び級で招集された経験もある。惜しくも本大会出場は叶わなかったが、24年のパリ五輪では主力として大きな期待を寄せられていた。
それでも“壁”を破れない。結局、新天地でもリーグ戦で出場は6試合のみ。完全移籍に切り替えた昨季も出番は12試合だった。
そうした状況下で迎えた今季は、沖縄キャンプから状態を上げている。1月21日に行なわれた水戸ホーリーホック(45分×3本/2−0)とのトレーニングマッチでは、1本目で左SBに配置され、上々のパフォーマンスを披露。24日の北海道コンサドーレ札幌戦(45分×3本/2−2)でも1本目から出場し、2本目の途中まで左SBでプレーした。
インテンシティが高く、攻守の切り替えも素早い。アグレッシブにボールを持ち出すシーンもあり、状態の良さをうかがわせた。
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試合後、中野に話を訊くと、充実した表情でこう言い切った。
「とにかく試合に出たい。そのテーマに向けて、自分がやるべきことをやる」
過去3年は満足のいくパフォーマンスを出せず、試合に絡めない日々が続いたことが中野に危機感を植え付けた。今年の8月に22歳を迎えるが、かつて代表で戦った仲間は海外に活躍の場を求めている者もおり、周囲のステップアップも自身の心に火をつけた
「五輪に出場した選手たちが海外でプレーしたり、昨年までチームメイトだった(坂本)一彩も海外に移籍した。やっぱり刺激は受けますよね」
本人曰くコンディションはまだ完璧ではない。シーズンオフに扁桃腺を切除する手術を行なったため、本格的に身体を動かし始めたのは始動日を迎えてからだった。ただ、現時点で着実に状態は上向きつつある。
閉塞感が漂っていた近年の自分と決別できるか。本来の姿を取り戻すべく、中野はさらなる高みを目ざして邁進する。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
