日刊経済紙のThe Wall Street Journal(WSJ)が、マンハッタンの連邦検事局によりステーブルコイン「テザー(Tether:USDT)」発行元であるテザー社の調査が始まったと報じました。「経済制裁またはマネーロンダリング防止に関する規則に違反している可能性がある」とのことですが、テザーのパオロ・アルドイーノCEOは「憶測に基づいた無責任な記事」だと全面的に報道を否定しています。

Exclusive | Federal Investigators Probe Cryptocurrency Firm Tether - WSJ

https://www.wsj.com/finance/currencies/federal-investigators-probe-cryptocurrency-firm-tether-a13804e5



WSJの報道内容は「マンハッタン連邦検事局の検事が、麻薬取引やテロ、ハッキングなどの違法行為に資金を提供するために第三者が仮想通貨を使用したかどうか、あるいは仮想通貨によって得られた収益の洗浄を行っていないかを調査している」というもので、情報は「詳しい関係者」からもたらされたものとなっています。

このほか、ハマスやロシアの軍需産業といった経済制裁対象がテザーを広く利用している実態があることから、財務省がテザーに対する制裁を検討しているともWSJは報じています。

記事に対して、アルドイーノCEOはXで「テザーは、ならず者国家やテロリスト、犯罪者によるUSDTの悪用を防ぐため、法執行機関と定期的に連絡を取っています。記事の誤った主張である『テザーは調査を受けている』の通りなら、すぐにわかります。このことに基づき、我々は記事の主張が明らかに誤っていると立証できます」と反応しました。



また、公式サイトには「テザーはWSJの無責任な報道を非難し、強力な法執行の実績を支持する」と題したお知らせが掲載されました。

Tether Slams WSJ’s Irresponsible Reporting, Stands by Strong Law Enforcement Track Record - Tether.io

https://tether.io/news/tether-slams-wsjs-irresponsible-reporting-stands-by-strong-law-enforcement-track-record/



当該声明で、テザーは「情報源が明らかではなく、うわさを確認する当局もないのに、WSJがこのような妄言を記事にするのは、あまりにも無責任です。記事内容は、単なる憶測に基づいたもので、テザーは当社に対する調査についてまったく知りません。記事はまた、テザーや他の仮想通貨を悪用しようとする犯罪者を取り締まるために、テザーが法執行機関と詳細に文書化されたやりとりを大々的に行っていることを不注意にも見落としています」と述べています。

連邦検事局の広報担当者は、この件についてコメントを避けたとのことです。