仕事中に眠気が出たらどうすればいいか。ショートスリーパーで睡眠研究家の堀大輔さんは「身体を動かせないデスクワークは、限られた動きの中で仕事の生産性を向上させようと工夫や楽しみを取り入れ眠気を発生させないことが重要だ。椅子の肘掛けに手を当ててお尻を浮かせ肩甲骨を寄せるストレッチをすることで、身体の姿勢を崩さず眠気と1日の疲労を激減させることができる」という――。

※本稿は、堀大輔『「眠りをコントロールする」24の方法 うまくいく人の睡眠の法則』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■眠気を催す会議中に相手の発言の意図を考えられるか

前回は食後の眠気を解消する方法について解説しましたが、本稿では会議や打ち合わせの最中の眠気、デスクワーク中の眠気を解消する方法について解説します。

会議や打ち合わせの最中に眠くなったとき

基本的に眠気が出た場合、対処法では手が限られてしまいます。

会議での眠気を抑えるためには、まずは会議に能動的な要素を入れることが重要です。

会議室のセッティングや率先したお茶くみ、議事録を取るなど、退屈にならない工夫をすることが大切です。

会議で発生する眠気は退屈と受動的な眠気の要素が強く、会議に価値を感じていない、自分が会議に参加する意味がわからないときなどに発生します。

これは、先生や親から掃除を頼まれたときなども一緒で、何かをやらされるとき、人はネガティブな感情と、刺激自体を感じられなくなります。

脳研究者で東京大学薬学部の池谷裕二教授の行った有名な実験で、ネズミの髭(ひげ)に物を当てたときの脳波と、ネズミが自分からものに髭を当てたときの脳波では、後者のほうが10倍も強く出るという実験があります。

自分も重要な発表をしなければいけない会議であれば、眠気は発生しません。これは、適度な刺激があるためです。

新人の方など、発言権がない方は、自分以外の人に視野を広げて、相手がどのような意図で発言しているのかを考えることも眠気に対して有効です。

さらに議事録を自主的にとって、他の方に見せるなど、精神論ではなく実際に行動を伴うと、脳への刺激量が増加するので、非常にオススメとなります。

なお、私はタイピングが得意なんですが、会議のときのすべての発言をメモするという目標の元、タイピングを行っていました。もちろん眠気が出たことはほとんどありません。

■少し早く、スピード感を出し深く息を吸い込む

会議中の3秒スイッチストレッチ

?ゆっくりと限界まで息を吐きます(身体中の空気を全て出す)

?1秒息を止めます

?背筋を伸ばしながら、1、2、3と深く息を吸い込みます(頭のてっぺんから足の先まで身体を風船のように膨らますイメージで吸う)

出典=『「眠りをコントロールする」24の方法 うまくいく人の睡眠の法則』

あなたは、人間が一日で行う呼吸の回数をご存知でしょうか? 安静に過ごしている人でも、2万2000回以上の呼吸を行っていると言われています。

1回1回の呼吸の精度を向上させることで、健康や集中力、快活な活動に対して非常にポジティブな効果を得られます。

3秒で深く息を吸い込むために、少し早めに息を吸うことが重要です。

眠くなるときには、呼吸だけではなく、全ての動作がゆっくりになりがちなので、意識してスピード感のある行動をすることが、眠気解消に大きな効果を発揮します。

眠気の発生前には、呼吸が浅くなることが多いため、会議に入ったときに深呼吸をすることが眠気の抑制につながります。

このとき、吸い込むことに一生懸命になりがちですが、実際に大切なのは“吐くこと”です。

ダイビングなども同じですが、息を吐くことがうまくなることで、吸うこともうまくできるようになります。

肋骨(ろっこつ)を締めるような感覚で、背中や腰からも空気を吐き出すように息を吐くと、さらに深い呼吸ができるようになります。

大きな動きのない状態で、かつ自身の取り組みも少ない状況の会議では、呼吸や姿勢だけで大きく結果が変わります。

より会議に集中するためにも、眠気が発生する前に自分の体にごく簡単な「変化」をつくることが大切です。

■仕事の生産性を向上させ、自分を整える

デスクワーク中に眠くなったとき

デスクワーク時の眠気は、仕事に取り組む姿勢の癖で大きく変わります。

ストップウォッチで仕事の速度を測定しつつ記録を付けることなどで、ダラダラとした業務を防ぎ、眠気を抑制することができます。

基本的に、速度を出す活動は眠気が発生しづらくなり、ゆっくり活動することで眠気が発生します。

これを踏まえて実際に行動してみると、驚くほど自分自身が行動していないことにも気付きます。

身体を動かせないデスクワークは、どれだけ限られた動きの中で、工夫や楽しみを取り入れられるかが重要です。

単純に眠気を飛ばしたいというよりも、仕事の生産性を向上させ、そもそも眠気が発生しないように、自分を整えることが重要です。

納期などが差し迫っている場合は、「やらなくてはいけない」感覚になっていると考えられます。

このときに発生する眠気は、受動の眠気、ストレスで呼吸が浅いことによる酸素不足による眠気、感情の動きによる眠気など、比較的強めの眠気がいくつも発生します。

100%のポテンシャルを目の前の行動に注げる

単調作業やあまり脳を使わなくてもできる作業は、わかりやすい“単調なリズム”や“退屈”の眠気です。

こういった眠気に悩む方も多いと思いますが、全ての眠気を通して普段からテキパキと行動し、仕事に追われない状態をつくることで眠気を予防できます。

それだけでなく、周囲の評価も向上します。

逆に、他人が眠くなりやすい状況で、自分は眠気を飛ばし、頭が冴えた状態で活動することができれば、ライバルと大きく差をつけることができます。

しかもその人たちは、眠気に耐えることにフォーカスしてしまい、その時間を“苦しい時間”として過ごしています。

眠気がとれた自分は100%のポテンシャルを目の前の行動に注ぐことができます。

眠気を出さない自分だから仕事に打ち込める。仕事に打ち込んでいる自分だからこそ、能力が向上する。能力が向上しているからこそ、次に大きなチャンスを得られるといった、非常にポジティブなスパイラルが起こります。

■座ったまま簡単にでき、疲労感も激減する

デスクワーク中の3秒スイッチストレッチ

?椅子の肘掛けに手を当ててお尻を浮かせます(肩甲骨を寄せると猫背予防にも繋がり、姿勢もキレイになります)。肘掛けがない場合、座面に手を当ててお尻を浮かせます(少しだけでも浮けばOK)

?お尻を浮かせた状態で、顎を天井に当てるようなイメージで持ち上げ(目線はなるべく背中側の壁を見るように)、そのままの状態を1、2、3とキープします

?目線や顎の位置を変えずにお尻をつけて座り、ゆっくりと姿勢を戻します

出典=『「眠りをコントロールする」24の方法 うまくいく人の睡眠の法則』

これで、驚くほど頭がスッキリし、思考がクリアになった感覚を得られます。

また、このスイッチストレッチの素晴らしいところは、ストレッチ後の姿勢も崩れにくいことです。

堀大輔『「眠りをコントロールする」24の方法 うまくいく人の睡眠の法則』(総合法令出版)

身体が理想的な姿勢でセットされるので、姿勢が崩れにくく、疲れにくい状態で座り続けることができるのです。

長時間デスクワークをする人は、30分に一度でも、このスイッチストレッチをすることで、終日デスクワークだった日の終わりに感じる疲労感も激減します。

疲れてからストレッチをするのではなく、疲れる前にストレッチを入れることが長時間同じ行動をするときのポイントでもあります。

また、普段の姿勢も良くなり、この座り方をキープするだけで、お腹周りのシェイプアップ効果も期待できます。お腹周りが気になる人は、ぜひ実践してみてください。

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堀 大輔(ほり・だいすけ)
GAHAKU株式会社代表取締役、社団法人日本ショートスリーパー育成協会代表理事
1983年11月2日生まれ、兵庫県尼崎市出身。会社員時代、仕事をしながらさまざまな活動に携わることに加え、1日8時間睡眠をとっていたことから、時間がまったく足りない状況になる。18歳からはじめた睡眠の研究をもとに、25歳のときに短眠に挑戦。2カ月で1日45分以下睡眠のショートスリーパーになることに成功。現在までの14年間、1日平均1時間未満の睡眠時間で活動している。この短時間睡眠を含め独自に研究した睡眠の新理論を構築して短眠カリキュラム「Nature sleep」を開発。このカリキュラムによってショートスリーパーになったセミナー受講生は2200人以上、カリキュラム満足度は98.2%、睡眠の質改善率は92.7%(2023年8月時点調べ)となっている。また現在、短眠カリキュラムを伝えるスクールの代表のほか、経営者や医師、プロアスリートへの睡眠指導を行っている。著書に『できる人は超短眠!』『睡眠の常識はウソだらけ』(ともにフォレスト出版)他がある。
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(GAHAKU株式会社代表取締役、社団法人日本ショートスリーパー育成協会代表理事 堀 大輔)