軽自動車の5人乗りは原則禁止!

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軽自動車は室内空間の広さに関わらず、原則として最大乗車定員は4人です。乗車定員は、国土交通省が「道路運送車両の保安基準 第53条 乗車定員及び最大積載量」で定めており、これに違反すると道路交通法違反の処罰対象になります。

現在はスーパーハイトワゴンや軽ワンボックスカーのように広い室内空間が備わる軽自動車が多数存在しますが、いずれも乗車定員は4人までです。どれだけスペースに余裕があったとしても、乗車定員は車検証に記載された人数を守る必要があります。 

軽自動車の5人乗りがバレるとどうなる?

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軽自動車の5人乗りで取り締まりを受けた場合は「定員外乗車」の名目で罰せられることになります。その際の罰則は反則点数1点と反則金6,000円です。反則金を支払わず刑事罰となった場合は10万円以下の罰金もしくは6ヵ月以下の懲役が科せられます。

もちろん取り締まりを受けた後は、定員オーバーのまま移動できないため、タクシーやバスなどの公共交通機関を利用しましょう。

また定員オーバーで事故を起こした場合は、さらに重い罰則が科せられる場合があります。2021年1月に神奈川県藤沢市で発生した、軽自動車へ8人が乗り込み電柱に衝突した事故では、運転手が自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)容疑で逮捕されました。また定員オーバーでの事故では、自動車任意保険の保険金も支払われない場合があります。

■定員オーバーだけで捕まるのは非常に稀

「定員外乗車違反」であると警察官が判断するには、後席を目視するしか確認方法がないため、実際に定員オーバーで取り締まりを受けるケースは非常に稀といえるでしょう。そのため、定員外乗車違反は、検問や他の交通違反で取り締まりを受けた際に発覚することが多くなります。

道路交通法施行令別 別表第2 備考1の1には「同時に2つ以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数によるものとする」と記載されていますが、実際に2つの異なる交通違反で検挙された場合は、犯した違反の組み合わせによって罰則が異なります。

「定員外乗車」と「免許不携帯」のように運転開始時から継続して行われる違反同士は「観念的競合」という扱いとなり、その場合は違反点数の大きい方の反則点数の加算のみで済むものの、反則金は両方の納付が必要です。

それに対し、「定員外乗車違反」と「速度超過」や「携帯電話使用等」などのように、継続した違反と瞬間的な違反の組み合わせで同時に取り締まりを受けた場合は「併合罪」とされ、それぞれの違反で個別に切符が切られることになります。

軽自動車の5人乗りが認められるケース

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軽自動車の5人乗りが認められるのは、搭乗者に子どもが含まれている場合です。道路運送車両法の保安基準第53条では「12歳以上の者1人は、12歳未満の小児又は幼児1.5人に相当するものとする」と定められており、12歳未満の子ども3人で、12歳以上の乗員2人ぶんと計算されます。

12歳以上を「大人」、12歳未満を「子ども」とした場合、軽自動車には「大人2人+子ども3人」もしくは「大人1人+子ども4人」のケースのみが4人乗り軽自動車に乗れる上限人数となります。

■5人乗車時のチャイルドシートはどうなる?

6歳未満の子どもはチャイルドシートの装着義務があり、違反をすると違反点数1点が加算ます。しかし、どれだけ広い軽自動車であっても、後席に3脚のチャイルドシートを設置するのは困難です。その場合はチャイルドシートの装着義務が免除されます。

ただし、免除されるのは乗員する子ども全員ではありません。道路交通法施行令 第26条の3の2で掲げられている免除対象条件はあくまでやむをえない場合であり、可能な限り多くのチャイルドシートを使用する努力義務は求められます。

設置場所がなかったとしてもチャイルドシートを無理やり荷室に設置したり、乗員が抱っこ紐で固定して乗車する行為は非常に危険です。荷室への人員の搭乗は「乗車積載方法違反」として反則点数1点、反則金6,000円が科せられます。

やむをえない事情による抱っこした状態での乗車も、免除により「幼児用補助装置使用義務違反」は免れたとしても、見かけた警察官から停止命令を受けるのは免れられません。

【5人乗り】おすすめコンパクトカー3選

子どもを加えて5人が乗れたとしても、軽自動車にはシートベルトが4人分しか備わっていません。

年齢に関わらず5人が乗車するのであれば、しっかりと5人分の安全装備が備わる普通車の利用が推奨されます。維持費を抑えたいなら、5人乗りでも経済性に優れるコンパクトカーがおすすめです。

■トヨタ パッソ

新車販売価格:128万~180万円

パッソは、ダイハツ ブーンと構造を同じくする兄弟車であり、2023年現在新車販売される国産車のなかでもっとも小さな5人乗りコンパクトカーです。ボディサイズは全長3,650~3,680×全幅1,665×全高1,525mmと軽自動車よりも一回り大きい程度。1.0L直列3気筒エンジンを搭載し、WLTCモード燃費は19.0~21.0km/Lです。

パッソは「街乗りスマートコンパクト」をコンセプトとした、使いやすく経済的な車を目標に開発され、ベーシックカーとして5人がしっかりと乗れる居住スペースが確保されています。シンプルな内外装の標準パッソと、上品なフロントフェイスが特徴のMODA(モーダ)の2種類のモデルが用意されています。

■ダイハツ トール

新車販売価格:157万~210万円

トールは、軽自動車の車体を拡張して5人乗りの普通車としたコンパクトトールワゴンと呼ばれる車です。トヨタ ルーミーおよびスバル ジャスティは、外観が異なる兄弟車の関係になります。

子育てファミリーの短距離移動に最適なコンパクトカーとして開発されたトールは、ダイハツ タントの使いやすさを保ったまま5人が乗れる車といえるでしょう。

搭載されるエンジンは1.0L直列3気筒の自然吸気とターボの2種類で、WLTCモード燃費は16.8~18.4km/L。ボディサイズは全長3,700~3,705×全幅1,670×全高1,735mmです。トールならコンパクトな車体と高い経済性により軽自動車からでも容易に乗り換えられます。

■スズキ ソリオ

新車販売価格:158万~222万円

ワゴンRソリオ時代から数えて4代目となる現行型ソリオは、改善が重ねられた足回りと、ライバルよりも排気量が大きい1.2L直列4気筒エンジンにより、幅広いシーンで使えるコンパクトトールワゴンです。

ボディサイズは全長3,790×全幅1,645×全高1,745mm。WLTCモード燃費18.4~19.6km/Lを実現するマイルドハイブリッドモデルが用意され、2020年12月には22.3km/Lの高い燃費性能を誇るフルハイブリッドモデルも追加されました。

維持費や車両価格はライバルに比べてわずかに高いものの、街乗りから遠距離移動まで1台で快適に移動できるのがソリオの優れた点です。三菱 デリカD:2は、ソリオの兄弟車となります。

ルールを守って楽しく運転しよう!

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乗車定員を守ることは、車を安全に扱うための基本的なルールです。無理な人数の乗車は安全装備が適切に機能せず命の危険にさらされます。それだけでなく人員ぶんの重量増は車への負担も増大させることになります。

とくに各部の余力が少ない軽自動車は、定員オーバーや過積載による想定以上の重量増加によってエンジンやトランスミッションへの負担が過大になりがちです。またサスペンションやブレーキの性能を超えてしまえば、横転や衝突の危険性も高まります。

もちろん、最大積載量に余裕がある4ナンバーの軽商用車であっても原則として5人乗りは厳禁です。ルールを守って安全で楽しいドライブを心がけましょう。